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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第1章 僕のお母さんはAV女優
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僕のお母さんはAV女優 3話

夕方の静寂…、俺と飯田はいつも通りの帰り道だった。

辺りは少し夕焼けに染まっている。


「なんか、思ったより代わり映えしないメンツだったよな〜。ほとんどクラス変わってねえや。」


飯田がつまらなさそうに頭を抱えて見上げる。

確かに飯田の言う通りだった。

クラスのメンツは多少は変化するものの70%あたりはほとんど同じメンツだった。


「そういえばネットで見たことあるんだけど法則があるみたいだぜ?」

「法則?なんだぁそら?」

「例えば…まずは学力の平均をどのクラスも同じようにしてある。そしてスポーツができたりピアノができる子も分けてあるみたいだぜ?」

「学力はわかるが…ピアノは意味がわからない。」

「思い出してみろよ、音楽会みたいなやつがあったと思うけどピアノ弾けるやつがいないクラスなんてあったか?」


飯田は鋭い目になる。


「…そういえばねえな。まじ?そういうこと?」

「そういう事だ、最後に同じ部活で纏まったり、双子とか仲良すぎる人とかぼっちの人も偏らないようにバランス調整するらしいよ。」

「まじかよ!すげーな、直輝!そんなこと知ってるのお前くらいだよ!」


でも気になることがある。

俺…ぼっちで人付き合いうまくいってないからそういう枠で決められてるとかそういう節がないだろうかと話してて不安になった。


「そういえば直輝は明日は暇?」

「まあ、暇だけどさ。」

「そしたら下北沢いこうぜ!」


唐突なお誘いである。

普段あまり誘ってこないので俺は面と食らっていた。


「えー、お前ホモだし嫌だな。野獣邸とかで掘られそう。」

「やらねえよ、確かに屋上で焼いていきたいような気持ちもあるんだけど、じゃなくてサー!古着見に行きたいんだよ!」


あ、そういうことね。

飯田はスケベでホモなのだが、決して俺と同じ陰キャな訳では無い。

古着が好きでスポーツが好きで、音楽もラップが好きだったりと陽キャの中心にいるような性格をしているのだ。

本人はモテないと言っているが実は影でファンがいるのも知っているから、俺とつるんでるのがいつも不思議で仕方がなかった。


まあ、予定がある訳でもないのでそれくらいは付き合ってやろう。


「わかったよ。じゃあ明日下北沢駅に集合ね!気をつけて帰れよ〜。」


そうして、俺と悪友は別れて自宅に戻る事にした。


☆☆


「ただいまー!」

「おかえりー。」


リビングから声が聞こえる。

聞き慣れた声ではあるが不思議と自身の精神に安堵を与える。

きっと本能で母親の声を聞くと安堵するようになっているのだろう。

家に入ると母親が眼鏡をかけてリビングのテーブルで何やら読み書きをしていた。


「なにしてんの?」

「ファイナンシャルプランナーの資格よ。」

「なにそれ?怪しげな資格?」


母親はそれを聞いてうわはは、と高らかに笑った。


「何言ってんのよ!ちゃんとした資格よー!」

「なんで大人なのに勉強してんの?」


俺には理解ができない、だって学生の身からすると勉強なんて時間の無駄だと思う。

ひたすらに将来使わなさそうな知識を聞かされて、学生というのは非常に空虚な時間だと思っていた。

母親は中卒の癖に読書や知識がかなり好きなのである。

見た目は派手だしとても勉強しそうにないのだが、こうしてスキマ時間に努力をしているのだ。


だが、その行動は勉強が嫌いな俺にとっては理解し難いものであったため、ちょっとした嫌悪感に近いものを感じた。


「そうね…、母さんも昔は勉強嫌いだったなー。」

「嫌いだったんだ。」

「でもね〜大人になるともっと勉強しなきゃだなって事が沢山あって、母さん頑張って通信の学校にお金を払って高校卒業の資格取れたのよ!その時嬉しくてね、学生辞めたら勉強なんてしないと思ったけど…勉強をしない日から人って老いていくもんなのよ!」


ちょっと母親がすごいと思った。

仕事もしながら家事もこなして、それでいてこうして自己投資もきちんと行っているのだ。

でも、何かムカつく感情もあった。きっと思春期という人格形成やアイデンティティを固める時期に何も無い自分と何かを持っている母親…その対比が自分を惨めにさせるんだともおもった。


それに、俺にはいじめられてから目標なんて無いから母親の存在は眩しかった。


「ねえ、その資格は仕事に使えるの?」

「んー、あまり使えないかもね。」

「なんで使えないのに勉強するの?」

「んー、仕事では使えないかもだけど…年金とか税金とか知っとくだけでも家系に役に立つものが多いのよ。

それに総務の仕事でも社会保険とかそういうのでも使うから部分的には役に立つのよ。」

「ごめん、ちょっと何言ってるか分からない。」

「だよねー、でも直輝は好きなことやればいいのよ!気になる事とか!」


そういえば、母親はパートの仕事を転々としていた。

最初はスーパーの店員を幼少の頃にやっていた。

その後はコールセンターとかやってたっけ?


今は確か商社のホワイトカラーの仕事で事務や経理の仕事をしている。どうやら様々な資格をとったのでキャリアアップもして定時に帰れてるのが両立の秘訣なのか。


「さて、ひとまず勉強も終わったし、晩御飯にしましょ!」

「今日は何?」

「今日は手軽に豚バラレタスの塩バター鍋よ!」

「なにそれ、超美味そうじゃん。」


俺と母親は晩御飯を終えたあとは、俺はプレイステーションを開いて相変わらず好きなゲームに没頭し、眠る頃には時計は丑三つ時を刻もうとしていたので俺は寝床に着くことになり、気がついたら俺の意識は彼方へと消えていった。


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