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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第17章 遥香と秘境の吊り橋物語
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遥香と秘境の吊り橋物語 6話

「……予定より、早く着いちゃった。」


ここは、千頭駅を北上した道である。

道は二手に分かれており、あと30分程度したら寸又峡に着くのだけど、まだ13時頃なのでチェックインにはまだまだ早かった。


「ねえ、彩奈ちゃん……聖地でもなんでもいいんだけど、なんかいい所ないかしら?」


ここは彩奈ちゃんに聞いてみよう。

想像以上にここ詳しいし、旅先でアニメのキャラが書いたるるぶを見ては「あー、ここもまわりたいわね!」なんて言ってたし。


彩奈ちゃんをバックミラー越しでみると、彼女はチークを直してたりしていた。


「ああ、お取り込み中だったかしら?」

「いえ!大丈夫ですよ……!うーむ、結局ここに戻ってくるし……あ!さっきのダムカレーのゆで卵の部分見ていきませんか?」

「ゆで卵?」

「そう!奥大井湖上駅って言うらしくてですね!湖の上に島があってそこに駅があるんですよ!」


確かにそれは見る価値がありそうである。


「じゃあ、そこに行ってみるわね!」

「はい!」


私は車を再度走らせて木のトンネルをくぐり抜け曲がりくねった道の川沿いを走っていく。


意外と山並みの景色は綺麗なのに運転の道がハードなのでじっくり見ることが出来ない。

さーて、このトンネルをぬけたら奥大井湖上駅なんだけど……駐車場はどこだろうか?


「あ、母ちゃん!駅の入口抜けちゃった!」

「え……。」


ふと減速して後ろを見ると、アルファベットのYのような道になっていて、急な下り坂のが細く伸びていた。


困ったな……、そもそも道がそんなに広くないから戻るの難しいかも。

安全面を配慮して、途中で戻れないか当たりを探すも……数百メートル道は細いままでしばらく戻るの難しかった。


「あー、ごめん……全然気が付かなくて。」

「いや、俺も言うの遅かったよ。」


またトンネルを抜けて行くと、やって広い道に到着する。

どこまでも続く芝生が生えており、広大な駐車場がそこにはあった。

しめた!ここなら戻れるぞ。

そう思ったのだが、突然彩奈ちゃんがこれを見てテンション上がっていた。


「あー!ここ、ラブロマンスロードじゃないの!」

「「ラブロマンス?」」


急なカタカナに私たち親子は目をぱちくりとしてしまった。

ひとまず駐車場に行って、車を停める。

「彩奈ちゃん、ここも行ってみる?」

「いいんですか!?ここすごくいいとこなんですよ!橋が8つもあってちょっとしたハイキングロードになってるんですよね!」

「楽しそうじゃん!直輝も舞衣ちゃんも行ってみない?」


2人も二つ返事で了承をして車を降りてみる。

すると、広大な芝生と綺麗な川が流れていて景色ほほんのりと紅葉がかっていて夏と秋の狭間の絶妙な色合いが私たちの目を癒していた。


最初は巨大な橋を渡る。

南アルプス接岨大吊橋という金属でできた現代にはよくあるタイプの橋である。


「どう?カップルさん!ラブロマンスかんじる?」


彩奈ちゃんがちょっとイタズラに直輝と舞衣ちゃんのカップルに聞いてみる。

最近の子達は結構ストレートというかドライなのね。


「んー、普通だな。」

「何言ってんのよ彩奈!私と直輝くんはいつも吊り橋の上のようにラブロマンスだもん!」

「あー、うん……確かにスリルはあるかも。」


ちょっと直輝は遠い目をする。

このふたり仲はいいけどたまに直輝にGPSとか付いてたり、ことある事にアイアンクローの制裁をかけられてるからある意味吊り橋効果のような恐怖感が恋愛感情にすり変わってるのかもしれない。


「彩奈ちゃんは彼氏とか作らないの?オシャレだし可愛いじゃない!」

「あー、私は…………すっぴん受けいれてくれる人が居ないので暫くはパスですね。」


すっぴん?私には少し理解が及ばなかった。


「あの遥香さん……私すっぴん凄いですよ。」

「あ、確かに彩奈のすっぴん見た事ないかも。」


親友の舞衣ちゃんでさえ、彼女のすっぴんを見たことがなかった。


「い……いやいや、若いし可愛いし……。」

「遥香さんにだけ見せますね……ほら。」


彼女はスマホを差し出すと、そこには彼女と髪色が同じ全くの別人がそこにはいた。


眉毛が無く、目が一重でありまつ毛もほとんど短かくて分からない。

でも、それ以外の目鼻は整っているのでこれはこれで十分に可愛い部類だとは思った。


「え、普通に可愛いじゃない。」

「何言ってるんですか!私……ドラゴンボールのスーパーサイヤ人3みたいだから別れるわって言われたばかりなんですよ!」

「え……そうなの?どれどれ……。」

「ちょ、直輝くんは絶対見ちゃダメ!」


流石に男子には見せられないようだった。

だから、こと細かく化粧を直していたのか。


「直輝くん……浮気は許さないよ。ほかの女のすっぴんに興味持つなんて!」

「ちょ、怖い怖い!それ絶対浮気カウント入らないよね!?」

「直輝くん、ちょっと来なさい……お仕置よ。」

「助けて!母ちゃん!いだだだだだ!」


直輝は然るべき制裁を受けていた。

全く……ドライ故にノンデリケートなとこはたまにキズね。


「じゃあ皆さん……今日は化粧してるんですか?」


彩奈ちゃんが涙目で私たちを見る。

う……、私はすっぴんだし、ことねさんはそもそも美人なのでほぼナチュラル、舞衣ちゃんも若干濃いめではあるけどそれでも整形メイクには至ってなかった。


「え、別に気にならないよ?いつメンの中でもオシャレだし……メイクが上手ってことはそれも彩奈の努力による魅力ってことだし………話してて楽しいし、彩奈は見た目とかそんなものを差っ引いても俺は好きだよ。人としてだけど。」


直輝が舞衣ちゃんにアイアンクローをかけられながらも絶妙なフォローを入れる。

ナイスだ直輝!ノンデリケートって言ってごめん!


彩奈ちゃんは嬉しそうだけど……舞衣ちゃんは少しだけ不満そうな顔をしていた。


「むー、直輝くん!こ・こ・に・も!可愛い子がいるんですけど!」


まあ、目の前で彼氏がほかの女の子の良いところとか褒められてたらそりゃあ嫉妬するか。

でもちゃんと友達にフォロー入れて自分の良さに気づいてもらおうと言う意図を汲み取ったのか、彼女は直輝を許す。


なんだ、ちゃんとこの二人いいコンビじゃない。

パワーバランスはちょっと歪だけどね。


大きな吊り橋を渡り終えると、ラブロマンスロードという看板が見えてくる。

ここから橋を渡る旅が始まるようだった。

林道は人2人しか進めない細い道となっており、少し険しい道が続いている。


私は達は並びながら進む。

少し自信を持った彩奈ちゃんが先導して進んでいって、旅は私たちを少しだけ成長させてくれるようでもあった。

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