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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第17章 遥香と秘境の吊り橋物語
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遥香と秘境の吊り橋物語 3話

車で走ること数時間、私たちは町田をすすんで御殿場線あたりを進み、少しずつ静岡へと近づいて行った。


一応ナビはつけているものの、私は割と方向音痴である。息子の直輝だけが私の道を案内する最後の砦であった。


「直輝ー、これどこまで進むの?」

「んーとね、今ちょっと悩んでて……、例えば静岡のスマートインターで降りて行く道もあるんだけど……。」

「だけど?」

「道が極端に狭くてグネグネしてる道が多分1時間近く続いている。」


なにそれ、SUVの車で絶対行っちゃダメなやつじゃない。


「……他には?」

「少し先の島田金谷ってとこで降りれば比較的真っ直ぐな道で行ける。」


直輝のスマホにはそのふたつのルートがあり、何故かGoogleマップは前者の道の方を推していた。

いやいや、私を殺す気かしら?


「……Googleマップって、時折危険な道を案内しますよね。」

「いやほんと、きっと人通りが少ないから早くつくからオススメですって言う仕組みなんですけど、それにしてもこのこれは怖い。」


ことねさんが直輝に話しかける。

そういえばこの組み合わせは初めてだ。

意外と冷静なふたりだから相性はいいのかもしれない。


「とりあえず、島田金谷ね!!しゅっぱーつ!」

「いや、もう走ってるけどね。」


車はさらに進む。

車のエンジン音が静かに上がり加速するのを感じる。

やっぱり運転するのは楽しい。

知らない景色があってドキドキするし、まるで知らない世界にいるようでもあった。


「ねえ、直輝くん!私今日どう?」


舞衣ちゃんが直輝に話しかける。

彼女はよく家に来るしメイド喫茶で一緒に働いてるから分かるけど、今日はカラコンの色が少し明るくなっている。

それでいて、昨日美容院に行ったのか髪がサラサラになっていて、しっかりも巻いてもいる。

あとは……ファンデーションが変わったあたりかしら?


さて、私の愛する息子はこんな可愛い子を上手に褒められるのかしら?


「……爪がいつもと違う?」


おいいいいい!?

直輝、褒めるにしてもちょっと簡素すぎるわよ!

え、今日彼女全体的に力入れてるけど、さすがに怒るんじゃない?


「そうなの!行きつけのネイルアーティストさんにめちゃくちゃ可愛くしてもらったの!今日一番気合い入れてきたんだ!」

「うん、やっぱ舞衣は紫似合うね。」

「もう〜褒めすぎ。」


え、正解なの?

髪とかめっちゃ綺麗にしてるし、カップルによっては喧嘩案件よ?


「髪も綺麗になったわよね!?舞衣ちゃん、カラコンもいつもより明るめでかわいくなったわよね!直輝!?」


ちょっとだけ彼女の努力をフォロー入れる。

流石にここまで言えば鈍い息子でも分かるだろう。


「あ〜確かに。いつもの舞衣もいいけど今日のも好きだよ。」

「えへへ、直輝くんには敵わないな〜。」


どうしよう、この子達とは16しか違わないのにこんなにも感性が違ってくるのか。

どうしよう、私がおかしいのかしら?


「ダメよ!直輝くん!」


そこで友達の川崎ちゃんもツッコミにはいる。

良かった、やっぱりこんな簡素な褒め方だと愛想尽かしちゃうわよね?


「そんな金があるなら、今日のパチ代に使わせてくれって行った方が彼女喜ぶわよ?それでその体で稼いでこいって言われるとなお良しね。」


おいいいいいい!?何うちの息子に変なこと吹き込んでるの、このギャル!?


そんな事言ってたらうちの息子がどうしようもないクズ野郎になってしまうじゃない!


「ああ……それもいいかも。」


いいの!?それでいいの!?

どうやら、舞衣ちゃんは彼氏を間違えたら必ず不幸になりそうな体質らしい。

でも確かにうちの息子には母性本能をくすぐって何かを食べて欲しくなるような雰囲気はある。

本人は気づいてないみたいだけど。


「もし直輝くんがそうして欲しいなら……いいよ?」


舞衣ちゃんは満更でも無い顔をしていた。

あ……あの……目の前に親いるんですけど……。


「いや、流石にそれはクズすぎて出来ないよ。」


良かった、比較的うちの息子がまともだったよ!

最近帰るの遅かったから心配だったけど、心優しい直輝のままだった。


「……皆さん、ものすごい話してますね。アラサーの私には異世界のような話です。」

「え、ことねさん分かってないな〜男って今はダメな方が可愛いんですよ?」

「……そうなんですか?私は変化とか褒めて欲しいですし、そういう所に惹かれますけど。細かい気遣いとかできてこと細かく褒めてくれる感じ……好きですね。」


ことねさんは比較的私よりの意見だった。

うんうん、わかる!さり気なく気遣いのできる男っていいよね!

すると、高校生組はそれを聞いてちょっと考える。


「……なんか、おじさんっぽいね。」

「うん、小さい事を褒められすぎると気持ち悪いかも。」


「「おじっ!?」」


私とことねさんはダメージを受ける。

わ……分からない……私たちのイケメン像はこの子達のおじさんの典型のようで私達とは世代の違いを押し付けられる。


これが……ジェネレーションギャップと言うやつか。


「み……みんな、次のサービスエリアでご飯でもどう?

なんか、気軽にごはん食べれるか分からないかも。」

「確かに、お腹すきましたね!」

「……賛成です。」


これ以上は私もダメージを受けそうなので話を逸らすことにする。普段感じることの無い歳の話がこんなに怖いとは思わなかった。


車の中は、各々の食べ物と香水や柔軟剤の香りも入り交じっていて、車に長くいることがストレスにかんじて外気を吸いたくなる。


晴天の中、私は少し疲れたことに気がつき、ウィンカーをつけてサービスエリアに入る頃にはちょっとくたびれていた。

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