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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第17章 遥香と秘境の吊り橋物語
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遥香の秘境と吊り橋物語 2話

夜が明ける少し前に私たちは車を走らせる。

駅の近くのコンビニで待ち合わせで、天野家は少し早めの朝だった。


CX-5を停めてから、コンビニに入り直輝は微糖のコーヒーを、私はペットボトルのレモンティーを飲んでいた。


「あー、温まるー。」

「眠い……。」


直輝は少し眠そうである。

身支度は整えたけど、まだ心ここに在らずの状態だった。

コンビニは普段は行かないけど、こうして旅で使う時は安心感がある。

滅多に食わないおにぎりを食べて、少し冷たい朝の空の下で伸びをする。


これだけで十分に非日常だ。


「今日結局誰が来るんだったっけ?」

「えーっと……神宮寺さんと、舞衣と彩奈かな。」

「おお……中々濃いメンツ、賑やかになりそうね!」


そんなことを言ってると、奥から声が聞こえてくる。


「直輝くーん!」

「おはよ!彩奈!」

「もう聞いた時びっくりしたよー!大井川行くんでしょ?あそこ絶対行けない気がしたから嬉しいよ!」


確か、直輝の友達の川崎彩奈ちゃんだったはず。

アニメのバッジをつけていて、それでいて髪は金色のアニオタギャルという感じの見た目をしている。

多分このメンツの中で1番テンション上がってそうである。


その後、道路からは見慣れたふたりが並んで歩いていた。


「……おはようございます、遥香さん。」

「直輝くん、おはよぉ!」


メイド喫茶で働いている神宮寺ことねさんと、直輝の彼女の佐倉舞衣ちゃんである。

ことねさんは少々化粧が薄目で若干眠そうで、舞衣ちゃんはバッチリ化粧を整えていた。


「なんというか……みんな化粧とか気合入ってるのね、私ほぼすっぴんみたいなんもんよ。」

「え、そうなんですか!?いやいや、必要ないくらい綺麗ですよ!」


彩奈ちゃんがフォローを入れてくれるけど、普段の私のズボラさが際立ってこれはこれで恥ずかしい。

とはいえ、これから先はサバイバルのようなものなので、気にならないかもしれないけど。


「じゃあみんな、これから東名高速を通って行って、一気に静岡県まで行くからここで食べ物とか準備してね!」

「「「はーい。」」」


みんながコンビニで準備をしてくれている。

私たちは車に乗りこんでルートを検索していた。


「今日はどうやって行こうか。」

「んー、海辺に行き過ぎても混みそうだしな〜。そしたら……環八とかまで下道で行ってから世田谷区あたりから高速乗るといいかも。」

「インターチェンジでいうと?」

「用賀とかかな。そっから島田金谷って所まで2時間半くらいで行けるかも。」

「そっか、さっすが直輝〜。ご褒美にハグして進ぜよう。」

「え、やだ。」

「即断!?」


直輝はこんなにガード固いのに時折なぜこんなに女の子に囲まれるのか不思議な時がある。

まあ、多くは語らないところがいいところでもあるんだけど。


そんなやり取りをしてると、みんなが車に乗りこんでいた。


「……お待たせしました。天野さん。」

「いや〜、ちょっと買いすぎたかな。」

「舞衣……、朝からカツカレーたべるの?お会計4000円くらい買ってなかった?」

「……いつもの事よ、川崎さん。」



全員揃ったので出発をする。

都内とはいえ、朝はまだ静けさに溢れてるので車は思いの外快適に進んでいた。

まだほかの人たちは寝てるんだなと思いつつ、少し暗みがかった道を進んでいく。


「ねえ、直輝くん!今日の目的地はどんな感じなのー?」

「ああ、彩奈はアニメで詳しいのか。」

「ええ、なんせあのキャンプアニメ12周はしたからね!」


それはちょっと見過ぎだとおもう。

キャンプはした事ないけど、それ程の魅力が詰まってるのかな?

まあでも、この子好きなことには一直線だし私にはとてもこの子が輝いて見えた。


「さすがにキャンプは難しいから、今日は寸又峡で宿を取ったから今日の目的地はそこになるかな。」

「おお〜寸又峡!美女の湯とかあるよね!あとは……夢の吊り橋とかになるかな!」


直輝は既に宿まで手配済み。流石は私の息子である。

彩奈ちゃんもピンポイントで名所を抑えてるみたいだし、今日の私には2人が頼もしく見えた。


「美女の……。」

「……湯?」


そんなことよりも、他の女性陣が美女の湯に過剰に反応していた。

でも確かに魅力に感じてしまう。

さすがの私も去年まではなかったところに小さなシミかホクロか分からない黒ずみができていてショックだったし、温泉を通じて少し綺麗になれればいいかな。


「……私の肌のくすみも取れるかしら?」

「体重減るかしら?」


どうやらことねさんも舞衣ちゃんも各々で悩みがあるようだった。

舞衣ちゃんは今手に持ってるカツカレーが原因だと思うんだど?


とはいえ、2人はこれ以上美しくなる必要ないとは思うんだけど、それでも美の執着は女性にはあるものだった。


そんなこんなで話していると、いよいよ私たちは世田谷区に入り、用賀インターから高速道路に進んでいく。


高速道路は、少し閉塞感のある壁と空を走ってるようで相変わらず少し慣れない感覚があったけど、しばらくして慣れてる自分がいた。


空から朝の日差しが入ってくる。

高速道路が照らし出され、私たちの旅が始まって車も一気に加速していく。


まだ車の中は若干眠気が溢れてるけど、これから旅がスタートするようでもあり、私は運転しながらも心は踊っているようでもあった。






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