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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第16章 スケベな友人が泥酔お姉さんのせいでまともになる件
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スケベな友人が泥酔お姉さんのせいでまともになる件 2話

秋の朝はかなり冷え込む。

日照時間が短くなり、少しだけ身体が冷えるのを感じる。


ただ、この季節になると朝のジョギングがかなり心地よい。

夏だと息苦しくなってしまうが、それも無いため俺はこの季節が結構好きだった。


文化祭を終えて、先日直輝の野暮用も終わったので俺はいつも通りジョギングをする。


そして、家に帰りシャワーを浴びて、いよいよ旅行の準備をする……はずなのだが。


「笛吹さん!来てくださーい。」


俺の布団で笛吹さんが寝ていた。

先日抱きしめられて洗ってない犬の匂いがすると言われよほどショックだったのか昨日はちゃんとお風呂に入ってくれた。


「あぇ!?れんれん……今日は何の日だっけ。」

「え……ちょ、二人で旅行の日だったじゃないですか!」

「あー、忘れてた。」

「いや……たった一日前の出来事ですよ。」


この女……新聞紙にくるまって記憶ごと無くしたのか?


「もう、ちゃんとしてください。近所だと笛吹さんいい歳したニートだと思われてますよ。」

「まあ〜半分正解というか……なんというか。」

「思い出してください!あなた一応ベストセラー作家なんですから。締切……結構近いんじゃないでしたっけ?」

「うっ……。」


そう言うと彼女は冷蔵庫に直行し出したので俺は羽交い締めにする。


「こらー!にげるなー!酒に逃げるなー!」

「はなせー!ネタが無いんだよ!このままおっぱい鷲掴みしててもいいから酒だけは飲ませてくれ!」

「この……干物女め。」


彼女は少し嫌なことがあるとすぐ酒に走ってしまう。

シラフの日がほとんど無いくらいだ。


「そういえば……れんれん、温泉ってどこ行くの?」


ふと、彼女が不思議そうな顔をする。

そういえば目的地は伝えてなかった。


「今回はですね……下呂温泉というとこに行きます。」

「れんれん……ゲロ温泉?私の吐瀉物触りすぎておかしくなった?」


ちょっと失礼なのでゲンコツをする。


「下呂市の皆様に謝れ……。」

「すびばせん。……で、下呂温泉ってどこにあんの?」

「下呂温泉は岐阜県にありますよ。日本三大温泉と言われてるとこで結構人気高いんですよ!」

「へー、なんで?」

「ちょ……もう少し興味を……例えば、飛騨牛とかありますし、牧畜が盛んなので乳製品とかも美味しいんですよ……あと、地酒もかなり人気だとか……。」


彼女に酒の話をするのはいささか卑怯だと感じるけど打診をしてみる。

さて、彼女の反応は……。


「れんれん……。」

「は……はい。」

「さけぇ!行きたい!なんだよ〜私の身体を労りつつ酒も飲んで行けるなんて……しかもツマミも沢山ありそう!今すぐ行くよ!」


良かった……あっさり乗ってくれた。

俺は安心して彼女用のヘルメットを用意して、バイクの調子を確認する。


彼女も酒とあれば準備を進めてくれていてスムーズに用意してくれそうだった。


「お、笛吹さん気合い入ってますね。」


久しぶりに家を出るので彼女は最低限の身なりは整えていて、小説の執筆に使うタブレットも持っていたのでこの旅は期待できそうだった。


「えへへ〜、私は決めた……この度でスランプを脱却するということを。」


俺も初耳だったのだが、どうやら飲酒量が増えたり風呂に入らなかったのはスランプで悩んでいたかららしい。


俺たちはバイクを走らせて高速に乗る。

秋口はバイクの風か気持ちいい。

やはり春と秋がバイクのシーズンだ。


エンジン音が心臓の鼓動に共鳴するのが心地よかった。


「さて……どのルートで行こうかな。」


少し悩む。東海道から通って静岡を経由して名古屋から北上するのもいいけど……。


「秋の紅葉とか見たいし、長野県から行こうかな。」


俺はそう言ってルートを長野県から行くようにする。

どうやら、長野県の南側で高速を降りると木曽という地域で人気のツーリングロードがあるらしい。

そこを通って行くのもいいかな。


「まずは……長野県ですね!」

「いぇーい長野!って……行ったことないからイメージ湧かないけど。」

「あれ、笛吹さんも初めてなんですね。」

「えへへ……施設にいるか書くか、ホームレスしてるくらいだからな〜私。世界は広い……!」


どうしよう、ホームレスしてると言われてもびっくりしない自分が少し嫌になるようだった。


俺たちは中央道を通り、八王子をぬけて山間の高速道路を進む。

八王子を抜けてからはひたすら快適な道があって走らせるのがとても楽しかった。


少し風が冷え込むのだが、太陽も照り付けてむしろ心地が良い。

途中で見える山々はところどころ紅葉に包まれており、赤色や黄色のコントラストが目に留まるようだった。


普段都会慣れしていると、感じることの無い空気の美味さというのも感じる。

透き通ってるような……そして、若干舌が甘いような感覚を示している。


「れんれん……。」


突然、笛吹さんが良いずらそうに方をポンポンと叩く。


「ん、なんすか?」

「その……おしっこしたい。」

「……分かりました。お昼も兼ねて双葉サービスエリアが近いのでそこで休憩しますか。」

「……ありがとう。」


気がついたら、俺たちはもうかれこれ2時間は運転していたようだった。

少し冷え込む身体で駐車場に停めて、俺たちはひと時の休憩を楽しむことにした。


空は驚くほど快晴で澄みわたり、秋口に入りぼやけた青色であり、そこには家族やライダー……会社員などがカオスに入り交じっていた。



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