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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第15章 僕の幼なじみはドS少女
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僕の幼なじみはドS少女 6話

ここは、都内のあるタワーマンション。

入口には警備員…及びオートロックと用意されていて、中には親切にコンビニもある親切設計だ。


俺はしばらく愛さんの匿う場所を模索していたけど、ここなら何時いかなる時も彼女を守れそうだった。


「というわけで、しばらくここで生活してもらうか!学校にも休学届を明日郵送するように手配するよ!」

「そ……そう、ありがとう。」

「ちょっと…!?直輝くん…私まだいいって言ってないんだけど…!?」


ああ、言い忘れてました。

ここは以前1度だけお邪魔した舞衣の家です。


相も変わらず俺は彼女の前で正座して顔面にはアイアンクローを喰らいながらお話してました。


「あの……ほんとうに申し訳ないと思ってるから……その、頭蓋骨がミシミシいってて……い…いたい。」


そう、舞衣はパワーが最強級!

俺や龍が腕相撲をしても負けるほどのフィジカルギフテッドなのだ。

何より最もセキュリティになりそうなのが彼女なのである。

突然の事なので彼女は不動明王が背中に見えるほど静かに怒っていた。


「で……言い残すことは?ちょっと今失礼なこと考えてなかった……?」

「い……いえいえ……滅相もございません。」

「あははは!直輝くん……君、高校生になっても相変わらずだね!」


その様子を見て愛さんは最初はひいていたけどちょっとずつその様子を面白いと感じて来ていた。


いやいや、待って……俺死にかけてるのに笑ってるんだけど。


「まあでもいいわ……直輝くんお人好しなのは今に始まったことじゃないし。全く……どうすればこのラブコメ体質治まるのかしらね。」

「えっと……佐倉さん……でいいのかな?石抱きの刑というものがあってね?」

「おいいいいい!?愛さん!それは江戸時代の拷問だから!何やばいこと吹き込んでるんだよ!」


どうしよう、意外と俺にとっては最強に危険なコンビが誕生したかもしれない。

ドSコンビ、ここに現る。


「まあでも、直輝くんヤバいやつにまた喧嘩売っちゃったんでしょ?直輝くんの家が特定されると遥香さんと石川さんも危ないから……、ここは素直に協力するわ。」

「舞衣……ありがとう!」


今回のふみやという男は大学生なのだが、愛さん曰く本当に危険人物なのだそうだ。

裏社会の人間と繋がっていたり、一部では違法薬物にも手を出していたりなど危険なことばかりだった。


その旨を3人で共有する。


対する舞衣はちょっと怒ってはいたけど協力してくれるみたいだった。

いつも彼女には迷惑をかけてばかりでほんとうに申し訳ないと思う。

だけど、それほどまでに彼女の存在は頼もしかった。


ふと、時計がもう21時を指していることに気がつく。

彼女はコレで匿うとして……母ちゃんも心配だ。


「すまん、俺は帰るとするよ。何かあったらすぐ連絡して欲しい。」

「直輝くん……!」


俺が出ようとすると、愛さんに止められる。

俺は振り返ると、彼女は初めて見せる信頼の顔をしていた。


「ありがとう。今は君を頼るよ。」

「……ああ。」


そう言って、俺は佐倉家をでる。

俺は途中で刺されないか用心しながら人目の多いところを経由して帰っていった。


☆☆


直輝くんが家を出て、私は少し心が重かった。


事情が事情とはいえ……初対面の女の子とひとつ屋根の下でしばらく一緒に暮らすのだから。


彼女……石川さんは小柄で小動物のようだけどしっかりしていてとにかく可愛かった。

私よりも髪にトリートメントしていたり、細部に至るまで洗練されている感じがする。


「ねえ、佐倉さん……お腹すいてる?」


彼女は私にそう微笑む。

確かに、私はさっきまでバイトをしていて、おなかはかなり空いていた。

もう秋になり冷え込んできたというのに背中が汗で濡れているほどだった。


「うん、空いてる。」

「ああ……よかった!お礼と言ってはなんだけど……ちょっとキッチン借りてもいい?ご飯作るよ。」


そう言って、石川さんはお湯を沸かしパスタを入れる。

冷凍庫にあった残り物のしらすと小松菜と魚の粉末出汁を使ってあっという間にペペロンチーノ風のパスタを作り上げてしまった。


「はい!召し上がれ!」


どうしよう、このパスタから食欲をそそられる。

しかも、香り付けにレモンの皮と果汁も使っていて女子力の敗北を感じた。


私はパスタを口にすると…しらすの塩味とレモンの爽やかな味がして、麺は魚の出汁の旨みが入っていてあっという間に平らげてしまった。


「…………!」

「おいしい?」


どうしよう、直輝くんは彼女をドSと比喩していたけど……すごくいい子じゃない!


「おいしい!!こんな美味しいパスタはじめてだわ!」

「あはは、良かった!」


彼女はにこやかに笑う。

その可愛らしさに心を奪われるようだった。

私の警戒心はあっという間に取り除かれてしまったのだ。

私も結構……チョロいのかもしれない。


その後は……かなり二人で直輝くんのことや生い立ちについても話し込んでしまった。


「へー、直輝くんとは緑化委員で知り合ったんだ。」

「そうなの、いつも一緒にいても飽きなかったな〜。彼優柔不断だけど……ちゃんと向き合ってくれるし。」

「分かる!そうなの……直輝くんって真っ直ぐだしちゃんと私の言動とかフリを拾ってくれるから一緒にいて楽しいんだよね!」


あっさりと打ち解けてしまった。

私の知らない中学の頃の石川さんに翻弄される直輝くんの話も聞いてて面白かった。


彼女が基本的に男性が苦手で見た目で告白されてる時は苦しかったけど、彼にだけは本音で居られるところとかもすごくわかった。


その後の努力をする直輝くんの話をきちんと聞いてくれたし、初めてじゃないくらい打ち解けてしまっていた。気がついたら、時計は夜の12時を超えていた。


「あはは!もう〜、愛とは初めて会った感じしないかも!」

「うん、私も……舞衣みたいに本音で話せる女の子もいなかったから楽しい!私、直輝くんとの2人の恋を応援してるから。」

「ありがとう!」


しかし、ふと感じてしまう。

なぜ彼女は今は彼氏がいるのに不幸なのかと。

彼女は私が悔しくなるほど非の打ち所がなかった。

それゆえ、何がそうさせたのかは少し気になってしまった。


「ねえ、なんで今の彼と付き合ったの?」

すると、少しだけ彼女の笑顔が曇り少し遠い目になってしまった。


あ、変な事聞いちゃったかな……と、私はふと口を抑える。

「……寂しかったからかな。私高校に行ったらみんな私をお姫様扱いするから、直輝くんのように遊ぶ友達もいなくて……。」


少しわかる気がする。

私も直輝くんに会うまでは1人だった。

高校でイメチェンしたけど、返ってそれが孤立を作るきっかけにもなった。


「そんな時に、今の彼に告白されたの。最初は優しい人だったけど、少しずつ自分を大きく見せるようになって悪い人とつるむようになってからは今の彼になってしまった。」


きっと今トラブってる彼も、最初はいい人だったのかもしれない。

でも、もう戻れないところまで来てしまった。

私は彼女を守らなきゃと心から思うようになった。


「私、どこで間違えたのかな。」

「大丈夫よ!あなたは間違えてないわ!」


私は彼女の背中を押す。

彼女は、自分が思ってる以上に幸せになるべきだと思ったから。


「私もあなたもこれからも間違い続けるわ!でも、それを楽しんで前向ければいいんじゃないかな?大丈夫よ、私はあなたの味方よ。」


そう言うと……彼女は静かに、嬉しそうに涙目になって私に微笑んだ。


「最後……その彼氏くんにビンタでもしてあげましょ。あなたはあなただから、自分に素直になって!」

「舞衣、ごめんね……ありがとう。」


そう言って、私たちはハグをする。

彼女はきっとこれを踏み台に成長出来るはず。

私もそれを……見届けて行ければと思う。



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