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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第15章 僕の幼なじみはドS少女
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僕の幼なじみはドS少女 4話

私は石川愛。


どこにでもいる……ただの女子高生である。



今日は駅で待ち合わせである。

人混みは退勤ラッシュの第1波なのでかなり人混みがすごい。

このまま……誰も私の事を気が付かなければいいのにとか思ってしまう。


そして、私の彼氏は不幸にも私を見つけてしまう。


「お?愛じゃん……そんな所にいたんだな。」


彼氏の名前は……ふみや。

背が高く、部活もインターハイに出たり、勉強もできる。

誰もが理想とする彼氏だ。


「わ……すごいイケメン。」

「美男美女カップルだ……。」


このように、私たちが並ぶと周りの人達も煽てるのだけど、私は特にそうは思わなかった。


「ねえ、これからどこへ行くの?」

「あ?うーん、森下達と麻雀か……裏カジノでもいいかな。」


ただ、それはただの見てくれである。

彼は……正真正銘のクズであった。

親が金持ちなのをいいことに悪事を働いてることが多い。


私とのデートは麻雀か裏カジノの連れ添いをするか、彼の友達と合わせて水上スキーとかするくらいだった。


「……ねえ、ふみや?たまには……普通なことしない?」


人気の少ないところにきた時にふと私の本音を言ってみる。

最近……天野くんと話して私の声が少し分かるようになった。

少しはそんな主張をしてもいいのかもしれない。


しかし、それは間違いだった。


「あ?なんだテメェ……。」


そういうと、彼は私の黒い髪を強く引っ張り頭に激痛が走る。


「ふ……ふみや……痛いよ。」

「テメェが口答えするからだろうが……。」


彼は私の腹を殴り、首を絞める。


怖い……いや、もう慣れてしまった。

何も感じない。

目の前の男が怒りを抑えるのを待つ。

6秒も待てば少しは落ち着くはずだから。


「ほら、ごめんなさいって……言え。」

「……ごめんなさい。私が悪かったわ、あなたがすべて正しいのに。」


何も考えてなかったし、この発言をまるでマリオネットのように操られてしゃべる。

ここには、私の意思は存在しなかった。


すると、彼は鬼の形相からいつもの美青年に戻り、私を優しく抱きしめる。


「それでいいんだよ。なあ、愛……お前は俺の事好きか?」

「ウン、スキ、アイシテル。」

「ああいい、それでこそお前だよ。お前は俺がいないと何も出来ないんだから。」


そう言って、彼は私の頭を撫でる。

彼は私が棒読みで愛の言葉を告げてるのにも気が付か無かった。


そして、私はしばらく彼と歩くといつもの雀荘へとたどり着く。


「よぉー!お前ら元気かー?」

「あ、ふみや〜!待ってたわよ〜。今日もかっこいいわね?」

「あはは、当たり前だろ!だって俺モテない日なんてないし。」

「えーじゃあ私と付き合ってよ〜。」

「わりいわりい!俺には彼女がいるから……あ、でもセフレならいいぜ。」


……気持ち悪い。

ふみやは本性を知ってる私からすると不思議なくらいモテる。

私以外の女ともこうして関係を持つなんて普通である。

私は、彼のお気に入りの人形だ。

何も言わず、慎ましく一緒に居るのが彼の理想らしい。


彼は自分のテリトリーに居るとまさにそこは違法地帯だった。

そして、このメンツだと謎の薬も服用してはみんな気持ちよさそうにしている。


私の声は……ここにはどこにも届かない。


「よっしゃー!じゃあ……次はショットでゲームでもしようぜ!」


そう言って彼らは雀荘にあるダーツゲームでダーツをしだす。

ちなみに私は下手くそなのでいつも負けてしまう。

大量に……飲まされて私は私で居られない気がした。


でも、こうなった時は……もう何も意識しないで時間が過ぎ去ってしまう。その気持ちだけが少し私を安心させていた。


「ほら!愛が一気だぜー!いっきー!いっきー!」


私は、しばらく負け続けて意識が無くなる。

血脈が激しく動き、視界がぼやけて気持ち悪い。

私は立つことさえもままならなかった。


「えー!ふみやの彼女弱〜ぎゃははは!」


私は……意識が薄くなり床に背を向けて全身が動かなくなっていた。


誰か……助けて。


しかし、私は意識を止めることは出来なかった。


私は誰かに水をかけられて目が覚める。

氷が背中に入っていて、心臓が止まってしまいそうだった。


そして、私は頬を強く殴られる。

もう何度か殴られていたので、今更驚きもしなかった。

口の中が切れて、血の味がする。

目を覚ますと、ふみやがまた鬼の形相でこちらを見ていた。


「おい……お前何してるんだよ。」

「ごめんなさい……どうしても身体が受け入れられなくて。」

「お前のせいで恥をかいたのは俺だぞ!俺の名前にドロ塗りやがって……。」


彼は強く私の胸ぐらを掴んで顔を近づけている。


「ほら、お前の誠意をみせろよ。」

「……ねえ、もう……終わりにしない?」


また言ってしまった。

私はこの関係を終わらせたい。


しかし、ふみやは怒りのあまり私をさらに殴り付けた。無抵抗な私を……とにかく気が済むまで乱暴する。


「お前……俺がダメならどこに行ってもダメだぞ?お前酒も飲めないし場を盛り上げられないし……そんなやつ受け入れてくれるわけねえだろ。ほら……撤回しろよ。」


そう言って彼は私の服を脱がす。助けを呼ぼうとしたけど……周りを見ると他の女の子や男たちも致していて、私たちの奇行は周りに溶け込み違和感を感じる術もなかった。


全身が顕になり、彼が私の中を乱暴に突き上げる。

無意識に声が出てしまうが、気分は最悪だった。


そして、最後に全身に彼のスパイスを撒き散らされて、誰にも見せられない惨めな私が誕生する。


私は……選択を間違えてしまった。

演じることを楽しんで……バッドエンドに足を踏み入れてしまった。


汚れた私を……彼は抱きしめる。


「ほら、やっぱり俺が1番だよ……俺のこと好きか?」

「…………好きです。」


また、私は彼と私自身に嘘をつく。

私の心は……崩壊寸前だった。


こんなの……簡単に相談できない。

周りから見ると私は羨望の眼差しで見られて私を私で見る人なんて1人もいなかったからだ。


少しずつ消えゆく意識の中で……私を真っ直ぐ見つめる天野くんを思い出す。


彼がこんな私を見たら……どう思うだろうか?


…私の意識はまた静かに消えていった。

このままいっそ死ねればいいのにと……死を希望と捉えてゆっくりと息を引き取るように……喘ぎ声と下品な笑いと大きい音楽が飛び交うこの彼の鳥かごは……まるで私のバッドエンドの鎮魂歌のようでもあった。


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