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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第15章 僕の幼なじみはドS少女
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僕の幼なじみはドS少女 3話

翌日、石川愛との電話を終えて……また彼女に会う約束を交わしてしまった。


俺はどうしてこう断るのが苦手なんだろう。


忙しいから無理と伝えても、じゃあこの時間はどうかな?とちょっとしたスキを突くのが彼女は本当に上手だった。


俺多分将来は保険営業のお姉さんに契約を押しかけられても断れない気がする……。


「あ〜憂鬱だ。」


俺が机で寝転んでると、隣の席の人が動く。


「もう!うるさいなー!直樹くんは……。」

「瑞希……あ、席替えされてたんだ。」

「いや、今更!?昨日の夜に突然諏訪先生がくじ引きやるぞーーってなってて……直輝くんは偶然席変わらなかったみたい。」

「マジか……それはそれでなんか驚きだよ。」


隣にいる小柄な女の子は上原瑞希……、最近転校してきた俺の友達だ。

ちなみにこいつの母親も俺と同じAV女優という共通点がある。


「それで!なんか悩んでたみたいだけど大丈夫?また浮気して舞衣に振られかけてるの?」

「やめて!人の傷に塩を塗らないでよ!別件だよ……。」


おいおい、文化祭の時は舞衣とギクシャクしてたけどみんなにはどう伝わってるのだろうか。

まあいい……こいつには話しても大丈夫だろう。


「その……なんだ、俺に友達がいたんだけど……その子めちゃくちゃ圧が強くて、ちょっと振り回されてるんだよね。」

「あー、あね!そうなんだ……どんな子?」

「隣の女子校に通ってて身長が150位で、黒髪でなんか男子にモテる子。基本的にお淑やかで通ってるけどちょっと裏がドSなんだよね。」

「……。」


すると、瑞希は少し手を口に添えて考えている。

ちょっとこいつには難しかったかな。

まあでも……少し話すだけでも気が楽になる。

彼女には感謝せねばならない。


「ねえ、違ったら申し訳ないんだけど……それって石川愛って子……?」

「なっ!!??なんで!?」


俺は驚愕して立ち上がる。

いや、なんでこいつが知ってるんだ……?


「懐かしいな〜、ほら……転校前も私あの学校にいたんだけどクラス一緒でさー。」

「そ……そうか、そうなんだよ……その子なんだよね。」


そういえば瑞希は天然なだけで地頭はとても良かった。

特徴を網羅するだけでピンポイントで当てるのは流石としか言いようがない。


「そうなんだ……石川愛って、あの学校でも一軍だったよ〜。今は高身長のイケメンと付き合ってて理想のカップルやってたな〜。」

「そうなのか!他に……他にどんな事をしてるんだ……?教えてくれ。」

「……直輝くん。その子のこと好きなの?」


どうやら素直に教えてはくれなさそうだった。

瑞希はジト目で俺の方を見る。


「なんだよ……、なんか教えると不都合なのか?」

「んー、なんというか……ムカつく。」

「なんで!?」


訳が分からない。

どうしたんだろう、俺と彼女は友達のはずなのに何か気に触ったことでも言ってしまったのかな?


「頼む!教えてくれ!」

「じゃあ条件つける!今度私と一緒に勉強してくれたらいいよ。」

「ああ……それなら、何がいい?わかる教科全部教えるから。」

「しょうがないな……。」


ジト目から少し表情が軽くなると……俺たちは屋上に向かうことにする。

俺が彼女の分のコーヒーを奢り、屋上のベンチで並んで腰かける。


昼過ぎの屋上はまだまだ太陽が強く照らしていて、暑さを感じるけど、それに伴って冷たい風が吹いて若干膝あたりが冷えるのを感じた。


「石川愛……まさか直輝くんの旧友だったとはね〜。彼女学校でもお姫様みたいな子だったわよ。」

「んまあ……なんとなく想像は着く。」

「学校終わったら彼氏が迎えに来てはいっつも他校の男子たちとボーリングに行ったりカラオケに行ったりと……もうここ周辺の高校生の一軍みたいなものね。

でも、その子たち……たまにちょっと危ない遊びもするみたい。」

「……危ない?どんな?」

「んー、これは噂だから断言はできないけど……タバコとか吸ってたりしてるらしいよ。」

「いや、めちゃくちゃ法律違反してんじゃねえか。」


どうやら石川さんはひとりが好きだったけど、今は完全に一軍にいる生活を送ってるらしい。

彼氏とは一見ラブラブなようだけど……その実彼女は装飾品扱いされてるのかもしれない。


「なあ、彼女……幸せそうだったか?」

「んー、私もわかんないな……だって彼女いつもニコニコしていて……何考えてるかわかんないけど……みんなといる時は心が死んでるように見えた……かな?」

「そっか……ありがとう。」


彼女がどういう存在か……少しずつだけど見えてきた。

きっと彼女は……今の関係に苦しんでる可能性がある。

そこを出たくてしょうがないけど、抜け出せない。

そんな感じだろうか?


俺は……彼女に何をやるべきでどうするべきか少しクリアになった気がする。


「ごめん……なんか色々相談に乗ってくれてありがとう。文化祭から少し疎遠になってたけど……瑞希はほんと頼りになるな。」

「そう〜?……また、私に沢山相談乗りな。」

「うん!せっかく隣になったしガンガン相談乗らせてもらうよ!」


彼女の150cmもない小柄な体型が、この時ばかりは少し大きく見えた。

でも、どこか彼女はそっぽを向いて少し不機嫌そうなのは気になったけど。


キーンコーンカーンコーン……。


予鈴がなる。

やべえ、そろそろ授業が始まりそうだ。


「そろそろ……戻るか。」

「そうね、あ……でも私、御手洗寄るから先行ってていいよー。」

「そうか……んじゃあまた後で!」


俺は彼女を置いて後にする。

心が軽くなるのを感じた。

思考がクリアになり……次の授業にも集中出来そうである。

やっぱり、良い友達に恵まれたと幸せな気持ちに包まれていた。


「……私も直輝くんの事が好きなのに……ばか。」


ただ、彼女の呟きを……この時は聞き取ることは叶わなかった。


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