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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第15章 僕の幼なじみはドS少女
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僕の幼なじみはドS少女 2話

「ただいまー。」


俺は石川さんと別れたあとはまっすぐ家にかえってくる。

若干意識がぼやけるほど疲弊していて、これ以上は何もしたくない気持ちだった。


「おかえりー……ってなんか、疲れてるわね。なんかあった?」

「いや……そんな大したことじゃないんだけど……ちょっと昔の知り合いにあったくらい。」


そういえば石川の存在は母ちゃんは知らなかった。

飯田みたいにガンガン関わって来なかったから特に知るよしもないし誤解を産みそうなので敢えて伏せておく。


「あ、そうなの!……でもそんな疲れる?」

「まあ、ちょっと苦手なんだよ。」


そんなことを言いながら飯を食べる。

今日は麻婆茄子とカプレーゼ、おはぎというなかなかにジャンルがカオスな夕飯である。


ただ、そこにツッコミを入れられるほど元気はなかった。

とにかく目の前の物を口に運ぶ……それだけだった。


「そういえば、母ちゃんも昔の友達の話とか聞かないよね。」


隠しておいて聞くのもなんだけど、母ちゃんの過去も俺はほとんど知らない。


「そうね、私の友達は二人いたわ。」

「へぇ〜いたんだね。」

「うん……二人いた。翔子と愛深って子がいて3人でつるむことが多かったな。あ、これみて!」


すると、母ちゃんがスマホをいじりだし写真を見せる。

俺と同い年位の女の子が3人映っていて……2人は年相応の派手めな女の子で、もう1人は少し表情が冷たくクールな印象だった。


「え、これ母ちゃん……?今と印象全然違う!?」

「でしょー!どう?JKの私可愛い?」


なんというか、AVをやる前の母ちゃんはクールで清楚な日焼けが似合う少女だった。

男も知らないような、そんな女の子。

それが今や目の前で息子にてへぺろ顔を見せるくらいになるとは……人って変わるものだ。


「母ちゃんに可愛いっていうのは息子としてはキツイ。」

「何よー!私まだ32だぞー!ほら……腕だって引き締まって……。」


しかし母ちゃんが見せた二の腕は若干脂肪がムチッとしていて程よく肉付きが着いてしまっていた。

俺はそれを見て気まずくなったのでバカ殿の再放送に視線を逸らす。


「……俺、志村けんのネタは変なおじさんが好きなんだよね。」

「ちょっと!話しそらさないでよ!」

「すまんすまん……、この人達は今何してるの?」


すると、母ちゃんは少しテンションが下がり静かになった。

少しだけ……言うのが辛そうに。


「この愛深って子は……死んじゃった。南海トラフ地震に巻き込まれて無惨な姿になってさ。現実が受け入れられなくて、悲しむことも出来なかった。」

「え。」

「もう1人は……愛深の死をきっかけに仲違いしてから連絡も取ってない。」


母ちゃんは少し遠い目をする。

こうしてずっと友達でいそうな人たちとは……もう会うことも無いのだ。


「でもね、繋がりってそういうものよ。時には出会い……時には別れるもの。その後もわたしは色んな友達が出来た。」

「母ちゃん……。」

「でも、人生で後悔してるのは翔子とお別れをちゃんとしないでサヨナラしちゃった事かな。もっと限られた時間で大切にできたことあったかなって…。

忙しくてもそういう所も悔いなくできるといいかもね!」


母ちゃんは笑っていたけど、きっと今もその翔子さんと話せないことを後悔してるのかもしれない。


少し、俺は考える。

ぶっちゃけ石川さんが苦手だ。

でも、逃げてるだけダメだ。

きちんと友人として向き合うゆうきも必要なのかもしれない。


「ありがとう、母ちゃん……なんかわかったかも。俺もその友達に向き合ってみることにするよ。」

「……うん、今いる友達を大切にね。」

「んじゃ、ご馳走様。あとおやすみ!」

「おやすみ!」


俺は自室に入り……通知を怯えていたが石川とのトークを開く。


「天野くん、今日は久しぶりに会えて楽しかった!また良かったら二人で会わない?」


そんな……ちゃんとみたら友好的なメッセージだった。

俺も彼女へ勇気を持って返信する。


「ありがとう、うん……また今度行こっか。」


そう送信する。

すると、俺のトークはすぐに既読がつく。

少しびっくりしたけど……今日はこれっきりにしよう。


そう思ったが、返信はすぐにくる。


「ねえ、電話してもいい?」


俺は彼女の提案に若干戸惑う。

どう返信しようか悩んでると、電話の着信がなった。


俺はゆっくりと応答のボタンを押す。


「お疲れ様!」

「よ……よぉ、急にびっくりしたよ。」

「あはは、だって既読ついて3分も立ってるから沈黙は肯定と捉えてかけてみたの!」

「何このポジティブ精神!?」


精神が強すぎる。

まあでも……顔が見えてない分少し楽だった。


「なんと言うか……石川って他の人の前だとお淑やかなのに俺の前だと結構印象違うね。」

「んー、なんででしょう!」


え、これどう答えるべきなんだ?

俺のこと好きだから?とか聞くべきなのか?

いや……でも彼女持ちだしそれはタブーな気がする。


「なんか……悩みとかある……とか……?」


すると、彼女は黙りだした。

え、どうしたんだろう。

まさか図星とか……いやいや、そんなことは無いだろう。


「天野くんからみた私ってどう見えてる?」


すると、質問に対して質問が返ってくる。

俺は若干戸惑いつつ正直に答えることにした。


「んー、なんか……最初はお淑やかで男子に人気があって……女子たちに馴染んでるイメージだったけど、なんか演じてるような……ちょっと無理してるような……そんな感じ?」

「じゃあ、天野くんと話してる時の私は?」

「なんか……素になってる感じがする。自分をフラットに見てくれてありのままを見せてるのが……楽しそうな。」


すると、返事は返ってこなくなる。

あれ、電波悪いのかな?


「ん?もしもし?もしもーし。」

「聞こえてるよ。」

「いや、返事してよ!?びっくりするから。」

「あははは!やっぱり君……おもしろいね。」

「そりゃどーも。」


きっと沈黙の時間は何かを考えてるのだろう。

彼女は明らかに俺より頭がいいのだから。


「……私ね、自分のこと可愛い小動物って見てる人苦手なんだよね。気持ち悪いっていうか。」

「いや、可愛い小動物って自分で言うか。」

「だってみんなの評価なんだもん。」


可愛いと自負するのはいいと思う。

だって、実際彼女は可愛いのだから。


「でも、君だけは違う。わたし初めてだったんだよね……人から苦手意識を持たれて離れられるの……なんか、それがあの時たまらないほど楽しくってさ。」

「いや、わかってやってるんだ。」


全く……この性悪女め……。

と、思いつつも彼女の全貌とかが少しずつ見えてくる。

きっと、仮染めの自分を好きになる孤独感から出るストレス発散ができるのが俺だったんだろう。


でも、もう俺たちは高校に行って以来話すことがない男女だ。

お互い色々あるかもしれない。

実際、俺も彼女がいるんだし。


「石川は今は彼氏とかいるの?」

「えー、何ー?私の事好きなの?」

「いや……あの頃もモテてたからさ……今はそんな理解者いるのかなって……。」


すると、彼女は少しだけ黙り込む。

いかん、踏み込みすぎたか?

でも……俺は本音でしか人と話せないから……きちんと聞いておくべきだ。これは舞衣への誠意な訳だし。


「いるよ……彼氏。」

「そっか…まあもう高校生だしあるよね。どんな人なの?」

「うーん……イケメンで頭も良くて背が高くてサッカー部で学校の一軍男子。」

「……なにそれ、俺の対義語?」

「あははは!うん、直輝くんとは真逆かも……直輝くんお世辞にもかっこいい顔はしてないし。」

「いや、めっちゃ失礼だな……。」


でも、気になる。

そんな理想的な彼氏がいるなら彼女はこうして電話を関係の無い男にするだろうか?


「石川は……そんな人が彼氏で幸せ?」

「ううん、全然。私の事お姫様扱いだし……ホントのわたしは見てない気がする。なにより……つまんない。」


ちょっとゾッとした。

彼女は周りに強く照らされるほど影も深く伸びていく。

その闇が……実は見えているものよりも深く感じて。


「ねえ、天野くんは彼女いるの……?」


逆に石川から……こんな質問が来た。

でもここは正直に言うべきだよう。

僕と彼女は友人なのだから。


「うん、いるよ。」

「やっぱり、昔の君なら私から意味もなく逃げてたけど……少し変わったから。」


どうやら……彼女にとって俺はお見通しのようだった。


「ねえ、天野くん……。」


石川は突如話を切り出す。


「今度、その彼女さんにも会わせてよ。」


彼女の提案は相変わらず俺の理解を超えていた。

俺は今でも……彼女を理解するには至ってないことを表すかのようにこの先の事すらも全く予想は出来なかった。

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