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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第14章 僕の役割は文化祭実行委員
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僕の役割は文化祭実行委員 19話

※100日チャレンジ99日目

再び体育館に戻るとオープニングイベントよりもたくさんの人が集まっていた。


主に10~30代の若者に注目を集めているようである。


うむ……再生数もミリオンはいってるのでこの人気も納得である。


「きゃ〜!ゴールデンチリペッパーのライブ聴けるなんて!」

「すげー人気じゃん。なんか、グッズみたいなもの待ってる人もいるよ。」

「当たり前じゃん!多分聞いたらめっちゃ好きになるよ!」


なになに……3曲歌う予定なんだ……。

そして、激しいエレキギターのイントロが流れてきて、それに合わせて心臓を揺らすような激しいドラムが聞こえる。


徐々に曲のペースが上がると中央にスポットライトが当てられる。

ゴールデンチリペッパーの正体はサブカル系のガールズバンドであり、高校生なのに方に桜の刺青が入っていたりと、全く違う世界線の少女たちがいた。


「く〇ないだぁーーーーーーーーーーーーー!!!」


昔ちょっと聞いたことある曲を最初に持ってきた。

会場は熱気とボルテージが赤い照明と共に上がっていく。


ボーカルのすこしハスキーな声が力強さを出していて、俺もついリズムに乗ってしまう。


曲はサビに差しかかる。

前列は曲に合わせてヘドバンを決めて、まるで別世界のようだった。


ロックバンドは全く分からないけど……。

でも、全力で曲を引いて時には暴れるパフォーマンスに俺もついのめり込んでしまう。


「すげーな……舞衣……あ。」


隣では、舞衣もヘドバン決めていた。

せ……せっかくセットした髪だと思ったけど、それよりもこの曲に乗る方がよいみたいだった。


1曲目からまるでクライマックスのような盛り上がりで1曲目が終わる。


「OK!あーりがとーう!ボーカルのウタです!みんなー!盛り上がってるかーーー!?」

「「「いえーーーい!!」」」

「今日は……文化祭ライブ来てくれてサンキュー!!いやー、何人来てるんですかね?1...2...3...4...。」

「いや、数えんなし!」


ベースの女の子が突っ込む。

青髪パーカーのクール系の美少女だ。

何故か片目に眼帯をつけている。


「えー、本日のライブ動員数は会場で800人……さらにSNSライブで1500人が参加してくれました。」

「まじ!?やば!」


俺もその動員数を聞いて唖然としてしまう。

すごいな……同い年なのにこんなにもカリスマ性がある。

俺も頑張ってスピーチできたけど、彼女らには遠く及ばなかった。


「いやでも、最初始めた時は動員数10も無かったわ〜。この学校で活動して……1年ちょい、路上ライブとかTiktokとかでコツコツやってきて、今があります。今日は、ほんの少しの間ですが、文化祭共々……楽しんでくれーーーーーー!!!」


「「「いえーーい!!」」」


その後もゴールデンチリペッパーの曲は続き……2時間に及ぶライブをしていた。

プロのような演奏で会場は時にグルグルと走り回り、

歓喜の声と熱気が体育館を熱くさせ、まるで名前のようにスパイシーなパフォーマンスだった。


オリジナル曲もたまに出るけど、その曲は特にこのバンドらしさがあって、その良さも残しておこうとスマホカメラに写真を収めることになった。


☆☆


ライブは終了し、文化祭もいよいよ終盤を迎える。


少し帰る人が見えてきて、再びインカムもつけてみるけど特にこれといったトラブルは内容だった。


「いやー!めっちゃ楽しかったね!」

「うん!凄いよね……あの人たち学校終わったら毎日新宿とか海老名とか色んなところで路上ライブやってるんだもん。そりゃあ人気出るよ。」

「ね!いや〜一生懸命やってる人たちってほんとすご……あ。」


すると、ゴールデンチリペッパーの皆さんと鉢合わせになってしまった。

どうしよう、声掛けた方がいいのかな?

少し緊張を覚えるくらい俺は彼女らのミーハーになりかけていた。


「きゃー!ゴールデンチリペッパー!」

「あはは……やめてくださいよ。同じ学校じゃないですか。天野さんも見てくれてたんですね。」


そう言ってボーカルのウタさんが俺を見て微笑む。


「え、俺の事……知って……?」

「そりゃあ知ってますよ。文化祭でここまでのセットにしてくれましたし、少し無茶な予算案も去年は通らなかったけど今年は天野さんのおかげで出来たんで……ほんと感謝です。……ライブ、どうでした?」


ライブ中のカリスマ性は突然ベールが剥がれたように彼女らは普通の少女のようになる。

そっか、そうだよな。

彼女らは同い年、天の上と思ってるけど案外繋がりがあるもんなんだな。


……ゴールデンチリペッパーの予算案が少し高い所まで目を通してなかったのはちょっと反省点だけど。


でも、思った通りの言葉を伝えよう。

「ほんと、最高でした!俺……またライブ観に行きます!」

「はい!私達も天野さん応援してるんで……!」


そう言って右手を差し出し、俺達は握手を交わす。


「な……直輝くんが……ゴールデンチリペッパーと……。」


隣で舞衣が少しショックを受けていた。

どうやら、彼女らとの悪手はかなりレアらしい。


「この方は?」

「あ……彼女です。あの、ファンみたいなので握手して貰ってもいいですか?」

「もちろん。」

「きゃー!!ありがとうございます!」


握手をしたあとの舞衣は少し魂が昇天しかけていた。

俺の知らないところで他の人に良い事をしたんだと思うとさらに文化祭実行委員やって良かったと強く感じる。


「では、セットの片付けがあるので……また学校でも声掛けてください。」

「はい、ありがとうございます!」


俺達はゴールデンチリペッパーと別れ、終盤に差し掛かる文化祭を歩く。

俺達は、校舎の角で見つけたドネルケバブのお店を見つけた。


「うぃーっす。どうっすか?ドネルケバブ……美味いよ〜。」


店員さんは俺の知ってる親友の虎ノ門龍だったので俺はびっくりしてこのお店に駆け寄る。


「りゅ……龍?」

「おー、なおっちじゃん!おひさー、いきてる?」

「生きてるも何も……文化祭実行委員で忙しくてね。てか、最近龍を見る機会ほとんど無いんだけど……。」

「ああ、御坂と夜間高付き合ってたからな〜。それにしても……。」


龍は、舞衣をみてから少し安心したように……それでいていたずらにニヤつく。


「なんか、その様子だと……無事だったみたいだなぁ?佐倉さんよ。」

「ん?どういうことだ……?」

「べ……別に何も……。」


そう言って舞衣は少しバツの悪そうな顔をする。

なんだ?二人の間に何かあったのか?


すると、龍がケバブを2人分作って俺たちに差し出してくれる。


「やっぱ二人で揃うと安心するな。ほれ、仲直りサービスだ!」

「ちょっと!虎ノ門くん!やめてくんない!?」

「はは、なおっち……そろそろまた勉強会でもしよーぜ!やっぱお前とも遊ばねえと刺激が足りねえんだわ。」

「ありがとう!ケバブ……頂きます。」


久しぶりに龍の顔を見た。

生徒会も楽しかったけど、いつものメンバーから離れていたことに気がついて、少し懐かしく……それでいてまた集まりたいと感じた。


きっと、この文化祭が終わったらいつものメンツに戻るのかもしれない。

1度バラバラになりかけたけど……そうやって言ってくれる龍にはとても感謝してもしきれなかった。


ケバブを頬張りながら、少し早めの夕日を眺めてふと思う。

文化祭も……もう終わりだ。

あれだけ入念に準備したイベントが、もう終わる。


遊びたいところもあったけど、全ては回ることが出来なかった。

でも……それでいい。

全てを回るのではなく、文化祭そのものを楽しめたのだから。


終わりを惜しむより、さらに始まる物語を俺はまた楽しむとしよう。


「さて……そろそろ後夜祭行こっか、舞衣。」

「うん、行きましょ。直輝くん。」


さあ、最後は……後夜祭である。

俺達は校庭を目指しゆっくりと歩いていった。

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