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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第1章 僕のお母さんはAV女優
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僕のお母さんはAV女優 2話

桜並木の並ぶ校門。

その辺には見知った同級生や上級生、初めて顔を見せる新入生が混沌を表現するかのように散りばめられていた。


「うわぁ。」

「人多すぎぃ!」

「黙れ野獣先輩。」


俺は人が多いことに対しては嫌悪感をいだいているが、飯田は普段から外に出ては古着などを下北沢に見に行くことが多いのでそこまで感じてはいなさそうだった。


俺たちはそんな人混みをくぐり抜けて、自身の教室を探す。

えーっと、俺は2-3だからどうやら3階のクラスのようだった。

もちろん飯田も同じクラスで2-3である。


「しかしまあ……これも縁だよな。

同じクラスになる予感しかしなかったよ。」

「当たり前だよなぁ。今年は可愛いこと一緒がいいなぁ。」


相変わらず飯田は頭の中はピンクかホモビデオの事しか頭にない。これでも水泳は県大会に出ていたりと実はモテてるのだが、サシになると本性を現してドン引きされるタイプなので本当にもったいないと思う。


「あれ、そういや直輝は部活やってたっけ?」

「ああ、母親に野球部入れられたけどちょっとね……。」

「なるほどな、まあ合う合わないがあるから気にすんな。」


飯田はみなまで言わなくてもすぐに理解をしてしまう。そう、俺は母親から集団生活で市場価値の高い野球をするように言われて部活に入ったのだけれど正直野球はあまり好きじゃなかったのと周りに合わせることが出来ず、幽霊部員になっていた。


そういうのもあってか母ちゃんと顔を合わせるのも気まずい時があるのだ。

だから俺は部活に行くフリをしては教室でダラダラソシャゲをして時間を潰すのが日課なのだ。


「ついたぞ。ここが俺らのクラスみたいだ。」


他愛もない話をしてる間に俺たちはクラスに着いていた。

コンクリートの学校の角部屋に位置する教室で、光がよく当たりそうな教室だった。

とりあえず俺は自分の席に座る事にした。

特にやることも無いので早速Xえっくすで適当にポストをチェックをする。


「おはよー天野くん。」


すると、隣の席から声が聞こえる。

ああ、知ってる声だな。


「佐倉さん、君も同じクラスだったんだね。」

「うん!今年もよろしくね!」


この子は佐倉舞衣さくらまいさん。

小柄な身長と目を奪われるような綺麗な黒髪のセミロングが特徴的な子である。

前に同じクラスになっていて、学級委員をやらされていたので少し繋がりがある程度のクラスメイトだった。これでも彼女は看護士希望で成績もそこそこいいのだが、サブカルなどの趣味が多いのでスペックよりも個性が勝っている。例えば化粧が少し濃いめだったり、耳のピアスの穴の数も異様に多かったりする。今日は付けてないのだがたまに舌ピアスをつけている日もあるくらいだった。


「今日も天野くんは眠そうだね。」

「ああ、わかる?」

「うん!クマだらけだもん。」

「そういう佐倉さんこそ、コンシーラーで誤魔化してるけどクマみえるよ。夜更かししてたのかい?」

「あちゃー、やっぱ天野くんには分かるか……実は昨日趣味のスプラッタをみててね!それはもう血が……。」

「すまん、その話はまたゆっくり聞かせてくれ。」

「えー!なんでよー、もう!」


彼女は個性が多いと前述したが、このようにグロテスクなものがとても好きなのである。

たまに話をするのだがグロすぎて途中意識がフラフラするのでヤバそうなら止めるようにしていた。


そのせいか、彼女は友達がほとんど居ないため俺は数少ない彼女の話し相手になっていた。


「みんなー!席に着けー、これから出席を取るぞー!」

「はーい!」


先生が教壇に立ち、黒いのをもって出席をとりはじめる。

先生は生活指導も兼任している諏訪すわ先生だった。

短髪で肌が若干浅ぐろいのだが、目は温厚な50代の男性だった。

確か趣味でトライアスロンをしていると噂されている。

走って……泳いで……チャリを漕ぐのだがただやるだけではなくて、きちんとそれぞれの科目でスピードの設定をされているとの事で、彼は朝4時に起きてはランニングをしているクレイジーだった。


そんなこんな先生の事を思い出してると、出席が終わろうとしていた。


「さて、出席を終えるけど……この中から学級委員を2人ほど決めなきゃ行けない。誰かやりたい人はいるかな?」


…………。

みんなは目を逸らす。

そりゃあみんな部活やらバイトやらでやりたくは無いもんな。

俺も去年はそんな感じで前の先生にもこき使われてたっけな〜。


「まあ、やりたい人はいないよな。でも大丈夫だよ、だって去年実績のある天野にしようと思ってるからな。」

「おおおおい、先生!ちょっとそれは聞き捨てならないぞ!」


待て待て、温厚さで軽く尊敬はしていたけどそんなバッサリ決めてるの?怖いよこの先生!


「大丈夫だよ、天野と佐倉は仕事が早いって先生たちの間では評判でな!若い間にそういう経験をすると将来いい財産になるから……頼めるかな?」


先生は低い声であははと笑う。

この先生は正直言われて嫌な思いをしない言い回しをするのがとても上手い。経験なのかそれとも天性なのかわからないけれど、正直手の内で転がされてるような感じもしなくもなかった。


「だってさ……、どうするよ佐倉。」

「いいわよ。私も内申点欲しいもの。」

「決まりだな!じゃあ頑張り屋な若者にみんな拍手!」


ぱちぱち……と乾いた拍手をするみんな。

いや、そんなことで拍手はしないだろう。

とにかく去年同様に学級委員の仕事をすることになってしまった。


☆☆


キーンコーンカーンコーン。


学校のチャイムが鳴りだす。

一通り科目のガイダンスを終えると、時刻はもう昼休みだった。

今日はどうするか……一人で食べようかな。


「おーい、直輝!飯食おうぜー!」


そんなことを思う前に、飯田が声をかけてくる。


「いいよ、屋上にするか。」

「りょーかい!」


すると、佐倉さんも声をかける。


「私も一緒に食べていいかな?」

「いいけど……珍しいね。」

「なんというか……、今年は便所飯卒業しようと思ってね。」

「あ、色々察した。」


そういえば佐倉さんは昼飯の時は便所飯に行ってたんだった。

彼女は見た目が可愛いのと強すぎる個性ゆえに本当に女子の間では浮いている。


「飯食ってる時にグロい話をするなよ〜!」

「しないよ、ね!お願いします!」

「大丈夫だよ、じゃあ行こっか!」


ちなみに飯田も佐倉さんの本性を知る数少ない人物である。それ故に性的興奮も彼女に対して起こることも無かった。


3人で屋上に行くと、晴れ渡るそらと木のベンチがいくつもあった。春風が暖かく心地よい。


3人は弁当を食べ出す。

俺は母親の作ったハンバーグ弁当、飯田はカレー味のカップ麺、佐倉さんは……。


「え、佐倉さん蒙古タンメンにするの?」


真っ赤な蒙古タンメンをもっていた。

赤と黒のパッケージがより辛さを際立たせていた。


「わたし、いつも辛いもの大好きなんだ!辛くないと食べた気がしないのよ。」


俺と飯田は少し引くが、まあ佐倉さんだしという解釈であっさりと納得をする。

実際俺達も少し動きは止まったがあっさりと食事に入っていった。


「にしてもよー、佐倉ってホント独特だよな。俺こんなに個性強めの人あんまり見ねえよ。」

「ありがとう、よく言われるわ。」

「佐倉って休みの日何してるの?」


確かにそれは気になる。

飯田は若干空気が読めないところがあるが話を切り込んでくれるのはむしろ有難い。


「んー、スプラッタ映画見てるか地下アイドルの女の子のライブに行くか……バイトしてるわね。」

「バイト?佐倉働いてるのか!?」

「学級委員やりながらやってたんだねぇ。」


それにしてもなんのバイトをしてるんだろう。

パッと見アパレルとか飲食店かな〜、そういう人前に出る仕事は引っ張りだこだろう。


「これ誰にも言わないで欲しいんだけれど……メイド喫茶やってるの。」

「「メイド喫茶!?」」


飯田とハモってしまった。

いや、予想の斜め上を彼女は行く。


「……え、じゃああれか?もえもえきゅーん!っとかやるのか?」

「やるわよ。」

「おじさんたちの前でダンスとかも。」

「やるわよ。」

「配信とかXとかの広報も。」

「やるわよ。」


……なんというか、彼女がさらに遠い存在に感じてきた。若干食い気味の返答に彼女の覚悟を感じた。


Xでの彼女のアカウントを見つけると、なんとフォロワーが2.3万人と莫大な数になっていた。

いや、まあ確かに彼女は可愛いのだけれどここまで世間に反響を見せるものだったのか。通りで一つ一つの行動に個性があるわけだ。


「なんというか、すごい方だったんですね。」

「好きな方向で行くといいと思いますよ。」

「ちょっと〜!急に敬語やめてよ!私この学校だとボッチなんだから、さらに距離感じるからやめて〜!」


そんな感じで話してると、予鈴が鳴り響く。

俺たちの昼休みは終わりを告げるので、俺達は教室に戻ることにした。

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