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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第14章 僕の役割は文化祭実行委員
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僕の役割は文化祭実行委員 15話

※100日チャレンジ95日目

「……おきー!」

「ん……。」

「なーおーきー!」

「んだよ……うっさいな。」

「なーおーきーーーー!!遅刻するよ!」

「はっ!」


俺はスマホの時計を見る。

時刻は7時半を過ぎていたので、いつもより1時間も寝坊していた。


流石にやばいと感じたのか、母ちゃんが俺を起こしに来てくれた。


「……ごめん、ありがとう母ちゃん。」

「最近頑張りすぎじゃない?昨日も22時に帰ってきたし、その前なんかは帰ってこなかったし。」

「昨日は先輩がやる気出ちゃってさ、急ピッチで作業が進んだんだよ。」

「え?なんで急にやる気出すの?幽霊役員もいるって聞いたけど……。」


いけね、墓穴を掘っちまった。

倒れた……なんて口が裂けても言うまい、心配かけちまうし。


「もしかして、頑張りすぎて倒れた……とか?」

「いっ!?いやー!んなわけねえじゃん!俺……学生じゃん!」

「そっかーそうよね!」

「「アッハッハッハッハッ。」」


2人の乾いた笑いが部屋を包み込む。

妙に俺も顔がひきつって寒気がした。


そして、母ちゃんは笑顔が少しずつ目が笑ってないことに気がついた。


「で、ほんとは?」

「……働きすぎて倒れました。」

「もう!何やってるのよ!」


母ちゃんは怒る。

まあそりゃあそうだ、学生の本文は勉強だ。こんな事頑張ってもあんまり役には立たないだろう。


「直輝、体をもう少し大切にしなさい。きっと、責任感感じて楽しいのも分かるけど……体を犠牲にさせて得るものは何も無いわよ!」

「そうだった……ごめん。」


元AV女優、尚且つ毎月25本のビデオを撮影した猛者中の猛者の母ちゃんは言うことが違う。

きっと、俺のこの頑張りすぎな性格は母ちゃんが遺伝したんだろう。


「どうなの?それで文化祭は間に合わなそうなの?」

「いや……あとは後夜祭のシナリオを書いたら終わりだよ。」

「うん!じゃああとは休むのに徹しなさい!それが私との約束よ!」

「う……うす。」


母ちゃんはまたいつもの笑顔になって部屋を出た。

俺も急いで身支度を整えてから急いで家を出ることにした。


☆☆



俺は、学校始業前ギリギリに学校について、生徒会室へと直行する。


すると、既に会長が作業をしていた。

隣には、副会長と議長も作業をしていて部屋は活気に賑わっている。


「お……おはようございます。」

「おー!きたか!」

「おはよう、天野くん。体調は大丈夫か?」


会長を初めとするみんなが声をかけてくれる。

つい先月まで顔も名前も知らなかった人達だ。


繋がりとは不思議なものである。

何か一つの大きな課題をするにあたってたくさんの人と繋がって乗り越えるって、当たり前のようでとても感動的なものなのだと実感した。


「ええ……お陰様で、すみません。進捗が遅れましたよね。」

「いやいや、天野が作ってくれたタイムテーブルのおかげで作業がスムーズに終わったよ!あとは全体の最終調整と、クラスごとの展示や出し物を仕上げたら終わりだぞ!」


副会長も人なみはずれた行動力と声が通るので指揮力にも長けていた。

議長は喋ったり前に出ることは無いけど書類関係を見事に終わらしている。


どうやら、役員としての名前が伊達にならない位の実力はあったみたいだった。


「ここぞと言う時に前に出る三上くん……かっこよかったよ!」

「ああ……これもお前がいてくれてるおかげだよ。」


そして、このバカップルはここぞと言うばかりにイチャついている。

どうやら、どうしようもないくらいラブラブなようだった。


「うおっほん!」


そして、当の負けヒロインである会長は咳払いをする。

どうしよう、前言撤回……ここ居心地悪すぎる。


「そ……そうだ!俺もここで作業しますね!」

「そうか?じゃあ俺はこいつと一緒にPTAの人達との打ち合わせに行ってくるわ!」

「お、お願いします!」


そう言って副会長は議長と一緒に生徒会室を出る。

どうしよう、この人確かにいい所はあるけど結構デリカシーがないぞ。

なんか、会長の背中には矢が何本かぶっ刺さってる気がするし。


「……(カタカタカタ)。」


どうしよう、会長がちょっと死んだ目になって作業している。

俺も無理に傷を痛めないようにしなくては……。


「ああ、気にしては無いぞ?もう決めたんだ、あいつにこだわらないって。」


いや、自分から話振ってくるんかい。

まあでも、そこで女々しくならないのは会長のいい所なんだけどね。

まあ、俺も仕方ないとはいえ振った身だからなんとも言えない。


「え……ええ、それならいいんですけど。」


お互い無言でパソコンをいじって作業をする。

何故か、タイピングの音たマウスのクリック音が少し強く感じたけど、気にしないようにした。


そして、二人で作業すること1時間……何とか後夜祭に着いてもタイムテーブルが完成して、その内容を当事者にラインで送った。


まあ、シンプルにこの白いキャラクターのモニュメントを火矢で燃やして、フォークダンスと飲み食いをするものである。


何もそんなに難しいことは無い。


作業を終えて、俺たちは伸びをした。


「んー!なんとか……終わりましたね!」

「ここまで……本当にありがとう、感謝するよ。」


失恋を経験した会長は、どこが大人びていて窓の光に照らされながらその感謝を告げる姿は見とれてしまう程美しかった。


全く、なんでこんな綺麗な人が恋人がつかないんだろうな。


「お疲れ様ー!直輝くん、会長!」


そんな中、渚が生徒会室に入ってきた。


こいつもこいつで撮影とかミスコンとかのイベントも企画してくれたりと大きく貢献してくれた。



「渚、そっちも落ち着いた感じ?」

「うん!やっぱ昨日あそこまで作業したから今日はほとんどやること無かったよ!はい、これ差し入れ!」


そういって渚は俺と会長に缶コーヒーを渡して3人で飲む。

缶からほんのりと香るコーヒーの香りと微糖のほんのりとした甘さが自分をキリッと気を引き締めてくれるようだった。


「そういえば、彼女とはどうなの?」

「ああ……何とか渚のおかげで仲直り出来そうだよ。倒れたあとも看病してくれてたりとかしてさ。」

「かー!見せつけてくれるね〜!全く……。ラブラブで羨ましいよ!」

「あ、渚……今はその話題は。」


会長が振られに振られまくってなんかメンタルぐちゃぐちゃになっちゃいそうだからその話題はやめて欲しい。


「じゃあ、僕も腹を括るよ。」

「え?腹を括る?何を言って……。」


そう言って渚は会長の両肩を掴んで顔を寄せて、すこしだけ息を吸った。


「会長……いや、神条 翼さん。僕は……1人の男性としてあなたが好きです。付き合ってください。」

「……え?」


まさかの渚から出た言葉は会長への告白だった。

確かに前々から食事にいったり、二人でいるところもあったのだけど、そこに好意があったのは俺も今初めて知った。


会長は表情がフリーズしている。まるで今伝えられてる気持ちがまだ理解できてないように、そして本当の自分を初めて承認してもらったかのように。


「最初は、頼りになるかっこいい人だと思ってました。でも、実は繊細で……一人の女性らしいところがあるとおもったら惹かれていきました。もう二度と……孤独で辛い思いはさせないです。僕でよければ、一緒にいてくれませんか?」


ほとんど女っぽい見た目の渚から出た言葉はどんな男よりも男らしかった。

会長の全てを受け入れた上で愛する。

そんな覚悟が詰まった言葉だった。


「……はい。」


会長は、昨日ぶりにまた泣いた。

この文化祭は本当にたくさんの人に変化をもたらしてくれる。

俺はこの2人を誰よりも祝福した。

普段誰よりもかっこいい会長と、誰よりも可愛い渚が今だけは、その印象が反転してるように見えた。


明日は、とうとう……待ちに待った文化祭だ。


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