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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第14章 僕の役割は文化祭実行委員
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僕の役割は文化祭実行委員 13話

※100日チャレンジ93日目

「天野くん?あーまーのーくん?」


誰かの声が聞こえる。

まだ聞き慣れてないような……俺はまだoffになりきってない身体を何とか鞭を叩き体を起こす。


すると、先生が目の前にいた。

化粧をしてないみたいだけど、全く気が付かないほど先生は凛とした表情で綺麗だった。


「ねえ〜、てか……なんで天野くん私の家にいるんだっけ?」

「……引っぱたきますよ。昨日泥酔してたから介抱ついでにおぶっていったんですから。」

「え、そうなの?」


どうやら、先生は昨日のことを全く覚えていないようだった。

この筋肉痛の痛みと眠気を返してくれ。


「冗談よ!……ほんと、助かったわ。家まで片付けてくれたみたいで……なんか、綺麗な部屋っていいわね。」

「それなら良かったです。……ん?なんか、焦げ臭いですね。」

「あ、わかる?いや〜、お礼に目玉焼きを作ろうと思ったんだけど……焦がしちゃったみたい。」

「先生、料理はしたことあるんですか?」

「んー!家庭科の授業くらい!」


いけない、この人相当ズボラみたいだ。

どうりで全く家事ができないのも納得いく。

なんというか……令和のミサトさんだな。


「まあ、無事で何よりです。そろそろ行きますね。」

「え、なんでよ。一緒に行きましょうよ!」

「えー。」

「……いや、そんな露骨に嫌がられても先生悲しいわよ?」

「いや、ここで変な噂でも経ったらどうするんですか……って言っても、もう時間も限られてますね。背に腹はかえられません。」

「でしょ!もしあれならシャワー使ってもいいわよ!」


俺は先生のご好意に甘えて俺はシャワーを浴びることになった。

それにしても、先月ハプニングでおっぱいを触ってしまった人の家でシャワーを浴びてると考えると人生とは分からないものだ。

見慣れないシャンプーも使って俺は身支度を済ませた。


気分は少し眠い。

だけど、気持ちを改めて残り二日の準備を確実に終わらせることにした。


☆☆


俺は先生と一緒に最寄りのコンビニに行ってから学校に到着をした。

途中で解散して、俺は生徒会室に直行して、先生は職員室でやる事があるということで作業をすることになった。


「おはよう!直輝くん!」

「あ……会長……おはようございます。」

「ん?なんか……少し元気ないか?」

「い……いえいえ!大丈夫ですよ!」


いけない、先生の家で一晩眠り泊まってたなんて伝えたらどうなるか分からない。

俺は会長を振った男だ。

全くの無実だけど、先生が良くて会長がダメと思われたらそれこそ人間関係の崩壊になりかねない。


だが、会長は少しだけ俺を見つめたあとに、資料を持って立ち上がってしまった。


「会長、どちらへ?」

「ああ、早乙女くんと打ち合わせでな……。」

「おお……そうなんですね。」

「早乙女くんはいい……話しやすいし、意外と……話すと男らしいところもあるからな。」


ん?どうしたんだろう会長、いつもの凛とした顔でなく少し顔を赤らめた顔をしている。


まあ、そんなことよりも作業を終わらせなきゃ……とは言ったものの、俺も頭の回転が致命的に悪い。


あれだけ夜更かししてゲームしていた男がまさか夜更かしで殺されかけるとはな……。

そんなことを思いつつ、パソコンには後夜祭のシナリオを書く……のだが、どうにも調子が悪かった。


俺は少し風に当たろうと廊下を歩く。

いつものお気に入りの屋上に行けば少しは落ち着くと思った。

しかし、少し歩いて人気の少ないところを歩くと景色が酷くボヤけて、身体が重力に逆らえなくなる。


最後に背中に強い衝撃が来たかと思うと……俺は景色が真っ暗になるようだった。


☆☆


俺は、ただ暗闇を走っていた。

どこがスタートで、どこがゴールか分からない道をただひたすらに。

そして、その先ではみんなが走っていた。

いつものメンバーや会長、早乙女に……舞衣。


俺は彼らを追いかけるのだが、彼らはとにかく足が早く追いつけない……俺は、いつの間にか誰にも追いつけず、ただただ走ることしか出来なかった。


ただ、舞衣だけは姿が見えていたのだけれど、落ち着くことが出来ず、俺は地面に吸い込まれてしまった。


「はっ!?」


知らない天井……、学校の中とは分かるけど、行ったことないところだ。

しかし、こんなに大きなベッドがあるのだからここは……保健室だということに気がついた。


そうか、俺は寝不足と疲れで倒れてしまったのだ。

普通に先生の近くで寝ればよかったのだけど、それは体が許さなかった。


もう二度と……舞衣に対して裏切る行為はしたくなかったから。

少し、ベッドの上で無心になる。

ああ、でも……いけない。

まだ仕事があるんだ。動かなきゃ……動かなきゃと俺は起き上がろうとした。


「ダメよ!まだ寝てないと!」


俺は目を見開いた。

そこには……舞衣がいた。

俺は言葉が出なかった。学校で1番会いたくなっていた人が目の前にいる。

だけど、今俺は倒れた後という不恰好もいいところだ。

なんて、話せばいいんだろう。


「びっくりしたよ、直輝くん……廊下で倒れてたからさ。大丈夫?」


そういって、俺の横に座ってくれた。

なんというか、普段は当たり前すぎて気が付かなかったけどこうしてそばに居てくれるってめちゃくちゃありがたいことなんだなと、懐かしいこの落ち着く感覚に感謝していた。


「昨日……先生と作業を終わらして飯行ってら……先生めちゃくちゃ酔っ払ってさ、家まで送ったんだけど終電逃して……先生の家にいた。」

「うん。」

「でも、俺はこれ以上は裏切りたくないから、先生の家を片付けてた。」

「え?なんで?」

「いや……床が分からないほど散らかってたからさ、何もしないのもあれかなと思って片付けてたんだよ。」


それを聞いて、舞衣は目をパチクリとして固まってしまった。

ああ、しまった……ドン引きしたかな。


しかし、その思いとは真逆のことが起きていた。


「あはははは!」


舞衣は……笑っていた。

お腹を抱えて笑っていた。


「なによそれ……相変わらずお人好しすぎ!それもど正直に。」

「ああ……ごめん。」

「いいの!それも直輝くんの好きなところだからさ!そんなに謝らないで。」


それを聞いて、俺は伝えなきゃ行けないことを伝えないと決心をする。

そうだ、今ここで謝るんだ。

きちんと事実も伝えないと……。

まだ、俺は許されてることにならない。


「あのさ、あの日のことなんだけど……。」

「うん、知ってるよ。」

「え。」

「昨日、会長が謝りに来てさ……一緒にご飯食べたのよ。」


まさか、会長……用事とは俺たちのことを弁明してくれてたのか。


「直輝くん……あの日、私を裏切らないために必死だったんだね。あの日裏切られたかと思って私酷いこと言っちゃった……ごめんね。」


「あ……ああ……。」


俺は涙が溢れてしまった。

1ヶ月分心に詰まったものが一気に流れたかのように俺は無様にも泣いてしまったのだ。


「ごめん……ほんとごめんよ。」

「ううん、私も……もっと直輝くんのこと信じられたら良かったのに。」


泣いて声が出ない俺を舞衣が抱きしてる。

なんと、心地よいのだろう。

懺悔をした人間がまるで贖罪を済ませ、澄み渡る空を見るような……そんな清々しい気持ちでこころがかるくなっていた。


そして、俺はこの時初めて無理をしていたことにも気がついた。


俺は5分ほど泣いた後に少し気が落ち着いて再びベッドに戻る。


安心感と一緒に……かなりの眠気が襲ってきた。


「……俺、みんなが頑張ってるのに、寝てていいのかな。」

「大丈夫よ、1人が抜けても誰かがいるもの。直輝くん……今年の文化祭の段取りとか全部決めたんでしょ?そうであれば……あとは、みんなが自分で動いてくれるわよ。社会って……そういうもんだから。」


そういって、彼女は俺の左手を握ってくれた。

俺はその体温に少しずつ落ち着きと眠気が襲ってきて……ゆっくり……ゆっくりと眠気が襲ってきた。


この日は、久しぶりによく寝れた。

悩みひとつない、まさに快眠というものを実感した。


保健室は、不気味な程に外界の喧騒を閉鎖して独特の雰囲気を放っている。

アルコール消毒の匂いなど、普段感じないケミカルな匂いが漂っている。


その中で、俺は眠った。とにかく眠った。

俺はこの睡眠で、夢をみないほど……安心してぐっすりと。



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