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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第14章 僕の役割は文化祭実行委員
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僕の役割は文化祭実行委員 10話

※100日チャレンジ90日目

チュンチュン……


久しぶりに朝の鳥のさえずりに反応して起きる。

明らかに体が軽い。

今日は文化祭3日前、学校も授業ではなく文化祭準備の予備期間として設けてるため、設営などを本格的にやる日だった。


「おはよう母ちゃん。」

「あ、直輝……おはよう!今日は早いね!」

「まあね〜文化祭実行委員も残るところあと少しだよ。」


俺はコーヒーを淹れて、ゆっくりと朝の時間をくつろぐ、そして……トーストを食べて今日の段取りを決めていた。


「……なんというか、直輝少し顔が大人になった気がするな〜。」

「いや、急になんだよ……。」

「前より落ち着いた感じがするし、なんか男らしくなったんじゃない?」

「いや、母ちゃん……それは今の世の中だとセクハラにはいるらしいぞ〜。」

「え?そうなの!?……わかんないわね、今の世の中。」

「いや、ほんとそれ。」


まあ俺は、会長にセクハラ以上のことをされてるのだがね。

ウホッ、いい会長ってホイホイついて行ったようなもんだ。


「それで?最近は舞衣ちゃんとはどうなの?」

「ぶほっ……げほ、げほ。」


俺はコーヒーが逆流してむせかえる。

母ちゃんには言ってはいないけど、地雷をふむ天才かもしれない。


「……うん!いい感じだよ!(グッ)」

「いや、明らかに動揺してるじゃないの。」


ぬっ、流石は母ちゃん。小細工は通用しないということか。


「……まあな、今喧嘩中。」

「ああ、そうだったの。」

「まあでも、何とかなりそう。」

「まあそうよね、じゃなきゃ……こんなに明るそうな顔してないし。」


明るい?はて……俺はスマホで顔を見ると、以前よりも目がキリッとしていて自信に溢れるような気がした。

顔ってこんなにも深層心理を表すんだなと感慨深く感じる。


おっと……そろそろ時間だ。

俺は着替えて早めにいえをでることにした。


「じゃあ、行ってくるね。」

「うん、頑張ってね!」


☆☆


学校に行くと、まだ誰もいなかった。

当然だ、まだ6時台なのだから…誰とも顔を合わせる必要が無いのもなんかシンプルで心地よかった。


俺は生徒会室に行き、承認した予算の書類をまとめたり、オープニングビデオや音楽のチェック入念に行った。


うん、残り三日にしてイベント系はだいたい良さそうだ。


あとはタイムテーブル、こちらもほとんどの人間に伝えてあるし、リハーサルの漏れもない。


そんな感じで最終調整を一人で行っていると、足音が近づいて扉が空いた。


「おはようございます。」

「げ、松本先生。」

「げ、とは何よ。げ、って。」

「あはは……すみません。」


黒髪のロングでメガネをした綺麗系美人の松本みなみ先生だった。


唯一いい方向に行ってないとしたら、この顧問の先生とは少しギクシャクしたままだった。

どうにもプールで突っ込んで胸を揉んでしまったハプニングが脳裏を過って緊張してしまう。


「あ、これ……クラスや部活の出し物の会計監査が終わった書類です。」

「ああ、ありがとう。なんというか……天野くん頼りないかと思ってたけど、いつも仕事早くて助かるわ。」


そう言って先生は嬉々として書類を受け取る。

まあ、業務連絡するくらいだし……あの日のことはお互い無かったことになってるからすぎた心配かもしれない。


「いえいえ、恐縮ですよ。あ、あと設営計画などもある程度作成しておいたので最終日にはほとんど設営出来るように工業科の人間とも話をつけておきましたよ。」

「マジで仕事できるわね!?あー、ほんと……ほかの先生も天野くんのように仕事できたらな〜。」


先生は何故か俺の肩を揉む。

いや、ちょっと何してるんだろうこの先生。

多分感謝の裏返しだと思うんだけど。


「え、俺って仕事できるんですか?」

「できるわよ。ほかの生徒なんかは言われてから行動する子がほとんどなのに、あなたは事前にこうなるかもと思って仕事してるじゃない?」

「まあ、そうっすね。」

「それって……将棋だともう2手3手も先のことをしてるって事よ!」


そうか……俺はそういったことが得意なのか。

確かに気が付かなかったけど、もしかしたらそこは自分の強みなのかも知らない。

これもマインク〇フトや沢山のゲームで段取りを覚えた賜物か?


「あはは、なんか……先生ありがとうございます。」

「いいってことよ!じゃあ、頑張ってね!」


そう言って先生は部屋から出ていく。


そして、文化祭準備が始まった。


☆☆


「天野ー!アーチどうする?」

「この角度でやっていきましょう。柱は設営班の人にやって貰って、装飾は警備班にやってもらいます。」

「了解。」


「会長!食材を取り扱うクラスの検便の提出は終わりました。」

「うむ、あとは食品衛生に、違反してないかなどの最終チェックも頼むぞ!特にタピオカなどの生物はリスクがでかいからクーラーボックスなどの采配も頼む!」


そんな感じで3日前になると聞かれる事がかなり増えてきて俺たちはてんやわんやだった。

事前に対策や打ち合わせは済ませたものの、やはり当日になると物資の不足などが出てくるし、警備をするにしても休憩を回すと考えるとどうしてもセキュリティ上の穴があった。


何とかその問題もPTAからのボランティアであったり、同窓会の人に掛け合うなどの対策をするなど、かなり外部とのパイプを担うこともあり、運営というのは本当に大変だなと実感した。


……気がつくと時刻は19時になっていた。

今日は珍しく会長が親との会食とのことで、残りの作業は俺一人でやっていた。


いかん、なんか終わりそうにない。

警備ルートを改善して人員不足を解消したり、展示も意外と時間がかかってしまった。1部のクラスも間に合ってない所があり、そこのフォローもしなくては行けない。


さらに、最後の後夜祭の演出のチェックや学校全員のダンス動画に1部音ズレがあったのでその修正もした。


「やば、もう20時じゃん。」


許可が出てるとはいえ、さすがに残りすぎた。

あとはゆっくり休んで明日に備えよう。

大丈夫だ、俺には会長がいる。


そう思い身支度をしたらまた誰か入ってきた。

朝と同じ松本先生が少しやつれた顔をしてこっちを見ていた。


「まーた作業してる。」

「あ、お疲れ様です。」

「天野くん……ちょっと頑張りすぎよ。私と労働時間同じくらいってやばいわよ。」

「あはは……確かに。」


すると、先生は親指を後ろにくいっとした。


「えっと……意図が分からないんですけど。」

「朝のお礼、ご飯行きましょ。」

「ええ!?いやいや、それはさすがに申し訳ないっすよ。」

「遠慮しないで、私がお礼したいから誘ってんのよ。」

「……分かりました。、」


先生は俺と一緒に夜道を歩く。

もう夜が更けて夜のオフィス街が廃墟のような不気味な佇まいをしていた。


「ふう〜、つっかれた!もう、歳も歳!」

「いえいえ、先生もまだ20代じゃないですか。お綺麗ですし。」

「……と思うじゃない?私もね、つい最近まで天野くんくらいの年齢のJKだと思ったら……あっという間にアラサーになっちゃった。あっという間だぞ〜、知らないところにシミができるわよ。」


そう言ってお化けのように両手を下げて擦り寄る先生。

クールな女性かと思ったら案外ユーモラスな場面があるらしい。


「それにね〜昔は死ぬほど夜にゲームとかしてたけど……最近は睡眠優先になってきたのよ、怖いわ。」

「え、先生ゲームやるんすか?」

「やるわよ〜。モ〇ハンはタイムアタックでネットに動画上げたりしてるし、ポケ〇ンとかも昔は色違い厳選とかしてゲーム機のカーソルに輪ゴム引っ掛けて自動化なんかもやってたわよ。」

「いや、めちゃくちゃ廃人じゃないですか。」

「えへへ〜、もう最近の人生の楽しみは課金だけよ。」


ヤバい、クール系で仕事熱心な人かと思ったらおもしれー女だった。

どうして俺の周りにはこんなに特殊な人が多いのだろう。


そして、あるお店で先生は曲がる。

それはチェーン店の焼肉屋さんだった。


夜の街並みはまだまだ賑やかに盛りあがっている。

カラオケのキャッチ、盛り上がってるサラリーマンや大学生など、少し俺には高い年齢層である。


その混沌さがまるで祭りのようで少しだけ疲れた体にスリルに近い楽しみが包む様でもあった。






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