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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第14章 僕の役割は文化祭実行委員
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僕の役割は文化祭実行委員 5話

※100日チャレンジ85日目

会長は女だった。

先程の感触を思い出すと無駄に緊張感を覚える。

時刻は19:30、比較的先輩とは家が近かったみたいでしばらく無言で歩いていたのだが、突然先輩はあるお店の前で立ち止まっていた。


そう、それは……サラリーマンが御用達の中華のお店があった。

メニューを見ると、ラーメン……そして餃子や炒飯などがお手頃価格で用意されており、座席にはサラリーマンがズラリと並びレモンサワーと生ビールを飲んでいた。


いや、美味しそうだけど学生の俺達には少しハードルが高いなと思ったら会長はあわわ……と顔が少しだけ柔らかくなり、お腹がぐぅぅぅ!と大きな音を立てていた。


「か……会長。」

「すまない、天野くん……ここ一緒に行かないか?好きなんだよ。」


ええええええええ!

マジか……なんと、サラリーマン御用達の日から始まる中華屋さんは先輩の行きつけのお店だったらしい。


マジかよ……白馬の王子様のような見た目からは想像もつかないくらいのおっさん具合だった。

先輩はなんか勝手にフレンチとか食べてそうだと思ったのに。


俺たちはカウンターテーブルに隣になるように座る。

会長はラーメンと餃子とチャーハンと唐揚げを頼んでいた。


俺はラーメンを普通に選ぶことにする。


流石は大型チェーンの中華屋さんということで食べ物はすぐに運ばれてきた。

確かに食欲をそそる……これが1000円前後で食べられるかと思うと確かに破格である。


先輩はサラリーマンと同じようにガツガツと男食いを初めて、俺もラーメンを腹いっぱいすすることにした。


美味い、定番の醤油ラーメンだけどスープもしっかりと塩味の旨みがあってこれぞラーメンという味だった。


会長は餃子を食いながら涙目であった。


「くうう!美味い!仕事終わりは最高だな!」

「あはは……会長、なかなかワイルドですね。もっと上品にフレンチのコースとか食べるかと思いました。」

「ああ、もちろん親と食べに行くことが多いんだけど……たまに親のレールから外れたい時があるんだよ。家柄作法とかそういうの厳しかったりするしな……。」


やっぱり、立ち方からして背筋がピンとしていたり、さり気ない仕草にも気品を感じていたのだけど、これは家柄そうなってるらしい。


「でもある日、家と生徒会のストレスでこのお店に入ったら……私を誰も気にしない環境が心地よくてな……敢えて下品に男らしく食べるのが心地よくなってきたのだ。」

「へ……へえ〜。」


どうやら、動機はストレスによるものらしい。

まあ、普段あんなに学校の王子様をしてるし、家柄金持ちだから厳しい家なのだろう。


「……女で幻滅したか?」

「い……いえいえ!そんなことは無いですよ!会長にはお世話になってますし!」

「……そうか。それなら良かった。」


会長は少し安心したようにほっとしていた。

確かにボーイッシュではあるし、背景にバラが見えるくらいのイケメンだけど、時折見せる表情は女子高生のそれだった。


「でも、先輩なんで男っぽい振る舞いと服装してるんですか?性自認は女なんですよね?」

「ああ……なんというかスカートが苦手なんだよ、あとは長い髪も鬱陶しい、それだけなんだ。だけど絶えず女の子から告白される事が多くて。」


ちくしょう、羨ましいなぁおい。

でも中性的な女の子って同性からモテるって話はよく聞くよな。


「天野くんは……私を抱けるか?」

「いや、急になんですか。」

「……やっぱ女として見れないか。」


先輩は少し残念そうに俯く。

ああ、普段はかっこいいけど素は可愛いのかもしれない。


「いや、彼女はいるんで誠実にいたいんですよ!浮気厳しいんでそういうのはナシでお願いします!」

「え〜、厳しいな……あはは。」


あれ、なんか俺イケメン会長に口説かれてる?

まあ女の子なんだけどさ。

すると、会長が突然俺の顎を親指と人差し指で掴んで顔を近づく。


「別に付き合わなくてもいい……世の中は色んなことがある。例えば身体だけの関係とかだ。」


ヤバい、イケメンすぎる。

アーモンドのような切れ長の目がまつ毛が長くて……端正な顔立ちが歪むのが感じたことの無い色気を出している。

そして、獲物を捕まえたかのようにベロを出し、自分の上唇をペロリと舐める仕草全てが俺に緊張感を出している。


「い……いや……会長、そういうのは。」

「やはり私に魅力はないか?」

「いえ!あります!」

「あはは、君は正直で話してて気持ちがいい!……どうだ?別に愛さなくてもいいんだぞ?」


い……いや、どうしよう。

この人好奇心旺盛だし、リスクを楽しむ傾向にある。

多分性欲も普通の女の子より隔たりがある分強いのかもしれない。


☆☆


俺は、この時どうすれば良いのか分からなかった。

その後も何度か断ったのだが、会長はそのやり取りすらも楽しんでいて……結局会長に言われるがままホテル街へと着いてしまった。


「あの、会長……やはりこういうのは。」

「初めてか?」

「あ……その……。」

「なんだ、経験があるのか。」

「え!?い……いやいや。」

「普通、本当に初めてなら無いですと出るんだぞ。」


確かにそうだ。

この人心理学にも長けてるのか駆け引きが上手すぎる。

そして、会長に手を引かれてホテルに入ってしまった。


部屋には大きなベッドがあったり、ジャグジー付きのお風呂があったりと豪華な作りになっていて、非日常を演出している。


もう、何をしてるのかよく分からなかった。

いや、絶対まずいよな……なにしてるんだ。

はっきり断らないといけない気がする。


俺は回れ右をすると会長は俺の手を掴んで顔を向けさせ、キスをしてきた。


「ん……んー!!」


俺の口の中に会長の舌がぬめりと入って這いずる。

俺は少しもがくけど会長は猟奇的な目をして楽しんでいた。


そして、会長に抱きしめられ大きなベッドに押し倒されてしまう。

ダメだ、抵抗は何一つ動かない。


「ダメです!もう終わりにしましょう!怒りますよ。」

「……何言ってるんだ、天野くん。身体は正直みたいだな。あはは……嬉しいよ、私で興奮してくれてるのだから。」


どうやら俺の身体は会長の女性的な体に反応をしてしまっている。

普段王子様スタイルに隠れていたけど、会長の体は程よく発育していて、しなやかな体つきをしていて俺の目を奪っていった。


会長は器用な手つきで俺の服を一つ一つ脱がしていく、その様子も楽しんでいるようだった。


会長は俺の身体を弄び、反応をしてしまう。


「どうやら、上手くできてるみたいだな。この日のために事前に練習をしてよかった。」

「……会長、もう辞めて下さい。こんなの間違ってます。彼女を悲しませたくないんです。」


俺は会長を突き放すと誠実に土下座をする。

すると、会長は正座をしてしまった。


「…………なんか、傷付くな。」

「ごめんなさい。」

「…………。」


しばらく二人で無言のままベッドで過ごす。

失礼なのは分かっているけど、こういうのはきちんとするべきだと思った。

身体にまとわりつく会長の唾液が……妙に冷たく感じた。


「うん、辞めよう。すまない……魔が差した。」

「会長!」

「大丈夫だ。君は誠実なだけなのだからな。君を軽んじていた。」

「大丈夫です。だから今まで通り……。」


土下座から顔を上げると、会長は……顔は笑顔なのに泣いていた。


☆☆


俺たちはしばらくシャワーを浴びてから、何事も無かったかのように部屋を出る準備をする。


時刻は21時を回っていた。

人生初のラブホ体験は……少しだけ後味の悪いものを残していった。


「終わったよ。」

「じゃあ……出ますか。」

「そうですね……その……会長。」

「気にしないでくれ、私の落ち度だ。」


そう言って会長と俺はラブホテルを出る。

辺りは人気が少なくなっていった。

完全に夜になっていて、そろそろ帰らなきゃと思ってしまう。

さて、家の近くまで送るか……それともここで解散しようか……そんな時だった。


「直輝……くん……?なに……して……るの……?」


俺の彼女の……舞衣が何故かホテルの前にいた。


「な、なんでここに……。」

「GPSみたらこんな所にいるんだもん、ねえ……どうして?」


俺は、気が動転していた。

彼女のために誠実にいようと思ったのに、この状況は言い逃れができない。

そうだった、俺の彼女は独占欲が強いからこういうことは平気でする子だった。


「ち……違うんだ!舞衣、俺は確かに流されたけど……きちんと断って……。」


パシンッ!と俺の頬に衝撃が走る。

いつもの怪力はなく、普通にビンタされたみたいだった。


「……嫌い。」

「話を聞いてく」

「大っ嫌い!!!」


そう食い気味に怒鳴り……彼女は闇の奥底へと消えていった。

俺は、目の前の状況が理解できず、いくつも見えるラブホの看板の光が酷く歪んで見えた。


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