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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第14章 僕の役割は文化祭実行委員
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僕の役割は文化祭実行委員 4話

※100日チャレンジ84日目

翌日、俺たちは正式に生徒会、及び文化祭実行委員の顔合わせを体育館で行った。


「みんな!今日は集まってくれてありがとう!生徒会長の神条だ。我が文化祭の成功のために力を貸してほしい!」


女性陣がザワつく。

そう、生徒会長の神条 翼は学校では有名人だったりする。

170cmの程よい身長に、細身の体。

体育館を響きわたらせる明朗快活なアルトボイス。

中性的な端正な顔立ちなど、全てがイケメン要素で包まれている。


まるでジャ〇ーズのスターのようでもあった。

今はなんて言う事務所名なのか知らんけど。


チームは設営、運営、誘導、イベントなどで別れていて今回は地味な誘導だったのでやることはあまり無さそうだった。

基本的にメインは生徒会の先輩が多いので俺たちはサポートというような地味な立ち回りなのだ。


とりあえず、やることがないので缶コーヒーでも取りに行こうとしたその時だった。


「やあ、天野くん……だったかな?上級生ばかりで窮屈ではないか?」


うおっ!?びっくりした。イケメンが急に至近距離にいるとこんなにも内臓が潰されるような感じがするのか。


「神条会長……、少し休憩しますね。」

「あはは、水臭いな。私もご一緒してもいいだろうか?」

「は……はい。」


高嶺の花のような存在だったのに、どこか距離感が近いのは気のせいだろうか?

わかった、きっとこの人はホモなのかもしれない。

つい最近男とラブコメを経験した俺だ、おそるるに足らない。


そんなかんじで俺は神条会長と自販機へ行くことになった。

俺は一緒に歩くのだが、以外に神条会長は歩幅が小さいのか歩くのがゆっくりで、少し俺はぎこちなく歩く。


「その……なんというか、神条会長ってイケメンですよね〜、遠い存在というか……。」

「あはは、どうしたんだ急に。」

「あ、でも会長……俺は性自認は男で、恋愛対象は女なんですよね。」

「……ん?君はなんの話しをしている?」


あれ、少し話が噛み合ってない。

違うのか?どうやら俺はイケメンに狙われてるわけではないらしい。

それにしても横顔の会長は特にイケメンだった。

鼻は高いし、まつ毛も長く顔も小さい。

背が俺よりも高いのに顔は小さいのでどうにも一緒に歩いていて劣等感を感じていた。


俺と会長は微糖を選び、お互い屋上で飲んでいる。

少し落ち着いた。

多分普通に気にかけてくれてるのだ。

自販機にお金入れようと思ったけど、会長は付き合ってもらってるし奢りだ!とコーヒーを買ってくれた。


そりゃあ慕われるわけだ、男は見た目ではなく中身から出来てるのだと先輩を見て思う。


「ふーっ!やはりコーヒーは美味い!デスクワークにはやはり不可欠だな。」

「ですね。」

「天野君、慣れない環境で疲れるかもしれない。もし悩んだら私でもいい、こうして二人でコーヒーでも飲みに行こう。」


ああ、ちょっと勘違いしていたかもしれない。

この人はシンプルに大人数が苦手な俺を気にかけてくれたのだ。

俺を真っ直ぐと見守る会長はどこか暖かく心の中がとくんとするような感じがした。


「じゃあ、戻ろうか。」

「はい!会長!」


こうして、俺の秋のストーリーは本格的に始まった。


☆☆


その後は黙々と作業に入った。

例えば文化祭用のアーチを彩ったり、花を作ったりなど意外と地味な作業が多かった。


先輩達は楽しそうに作業に入っていて、俺もそれをサポートするのは楽しかった。

飯田はどうやらイベントのMCをするようで、リハーサルや台本作りに励んでいたりと大忙しだった。


しかし、少し采配に違和感を感じた。


「じゃあ天野くん!次の会議のレジュメなども作ろうか。」

「う……うす。」


デスクワークが比較的あるのと、会長と一緒に作業をやる機会が多かった。


隣の席で俺は会長とスプレッドシートで書類などを一緒にこなすことが多かったのだ。


会長はとにかくデスクワークが多かった。

予算案の決議とか、ミスコンなどのイベントの台本の作成とかやることが多種多様なのである。

こんなに仕事量が多いのに元気でいられる会長が尊敬に値した。


それにしても、なぜ俺は会長と同じ仕事をしてるのかだけは少し疑問だった。


「あの……会長?」

「なんだ?天野くん。」

「次の会長候補……飯田ですよね?」

「ああ、飯田くんだ。」

「なぜ飯田はMCで俺は会長の補佐を?」

「飯田くんはデスクワーク苦手らしい。でもな……本来トップに立つ人間はデスクワークなどの裏方はやる必要が無くて、号令やスピーチ、あとは周りが見えてればいいのだよ。」


そして、会長は俺を指さす。


「そこで君だ……。君は議長という立場から飯田くんをサポートするんだ。言うなら君は影のリーダーをやってもらう。」

「はあ……、あれ?そうしたら現副会長と現議長が本来このデスクワークをしてるんじゃないですか?」


少し疑問に思う。

会長の視点だと、あまりに仕事が多いのだ。


「……実は、副会長と議長は現生徒会の体制が始まる前から恋仲でな、生徒会が始まってから喧嘩が耐えず……役割を放棄してるのだ。」

「……マジすか。」

「えらくマジだ。」


どうやら、生徒会というのは名ばかりで中々問題のある組織らしい。


「まあ、私の任期もあと少しだ。それまで君に託そうと思ってるんだ。多少の打算もあり、申し訳ない。」

「い……いえいえ!お気になさらず。」


俺たちはその後は無言で作業をして、夜の7時まで仕事をしていた。

なるほど、これは社会人の前としてはいい練習になるかもしれない。


終わったあとに肩が重く、目に疲れが溜まってるのを実感した。


日照時間が短くなってるので景色はもう夜そのものになっている。


「天野くん、そろそろ帰るとするか。」

「はい、会長。」

「あはは、そんな畏まらなくていいのだぞ。」


お互いに生徒会室を出て二人で歩く。

夜の学校は恐ろしいほどに不気味だった。

俺は特に何も感じなかったけど……会長は違った。


「……天野くん、お願いがある。」

「なんでしょうか?」

「……手を、繋いでくれないか?」

「どうしたんすか、急に。」

「暗いのが苦手でな……ほら、お化けとか出そうじゃないか。」


お化けって……なんか可愛いな。


「仕方ないですね……ほら。」

「かたじけない。」


会長の手は男にしては柔らかく、指先まで細く肌が滑らかだった。

会長は少しだけて目を閉じてる。

いや……イケメンと手を繋いで歩く今の方が怖いんだけど。


すると、突然奥の部屋からもの音が聞こえてきた。


「きゃあああ!!!こわいいい!」


先輩のアルトボイスが突然別の声に豹変する。

まるで普通の女の子のような、喉仏の無い声をしていた。


そして、会長は俺にベッタリと抱きしめるようにくっつく。

すると、イケメンフェイスからは想像もしないような柔らかい感触が全身を包んでいった。


まるで……女の子に抱きしめられたような、そんな感覚だ。


「……会長、近いです。」

「はっ!すまない!」


俺は……この時あることを確信してしまった。

目の前のイケメンは……実は少女であることに。


会長は学校の暗がりを怖がっていたが、俺は情報量の多さに景色がより反転してるようにも見えた。

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