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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第14章 僕の役割は文化祭実行委員
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僕の役割は文化祭実行委員 3話

※100日チャレンジ83日目

キーンコーンカーンコーン……


「それでは、本日の授業を終了する。」


挨拶を終わらして、月曜日はなんとか乗り切ることが出来た。

月曜日というのは、終わるとどっと疲れるものである。

5日学校に行っての疲れが2日で取れるものなのだろうか?


今日は文化祭実行委員ということで生徒会の面々と顔合わせをすることになる。

まあ、俺の場合生徒会に入る一環もあるのだがね。


すると、担任の諏訪先生が迎えに来る。

今日も肌が浅黒く、50代だというのに筋肉がハッキリしていてまさに生命力の擬人化のようなものだった。


「天野と飯田、いるか?」

「「はい。」」

「ああ、いたいた。じゃあ2人とも私に着いてきてくれ。」


そうして俺たちは生徒会室に向かう。

生徒会室は俺たちにとって未知の領域のようなところだった。

あ、でもよくアニメに見るようなめちゃくちゃお金かけて会長が紅茶とか飲んでるとかそういう感じではなく、寧ろ涼宮ハルヒとかで出てくるSOS団の部室のような質素なものだった。


俺たちは生徒会室にノックして入ると、そこは7情程度の部屋があり、そこに安いデスクトップと山積みの書類があった。


「なんというか、アレっすね。意外と普通というか、事務所みたいですね。」

「あはは!飯田〜アニメの見すぎだぞ。」

「え、まじっすか。ここには紅茶とか、ソファーとか権力とか、会長と副会長の読み合いラブコメとかないんですか!」


俺より想像力豊かな奴がいたよ。


「もし不満があるなら、お前がやってもいいんだぞ?会長候補よ。」

「いや〜、つーか……なんで俺が選ばれてるのが不思議でしょうがねえんすわ。」


まあ確かに……飯田はスケベで2枚目かと言われたら3枚目キャラである。

イケメンだし部活も活躍していて友達も多いんだけど……抜けてるとこも多いしな。


「あはは、多分お前がそれを気づくのは10年先だな!じゃあ……多分担当の松本先生が来ると思うから待機しててくれ。」


先生はあははと高笑いして部屋を出る。

相変わらず、掴みどころのない先生だ。


「そういえば、直輝は何に推薦されてるんだ?」

「あ〜生徒会議長だって。」

「なんか、わかるわ。」

「え?」

「いやさ……直輝は人の意見とか引き出すのがうまいんだよな〜、上というのはちょっと似合わないけど、冷静に物事見れるとことか……最適性じゃん!」

「それ、褒めてるのか?」

「ああ、褒めてる褒めてる!」


そんな事を話してると急にバタバタと走る音が聞こえた。

ゆっくりと歩く諏訪先生とは対照的に落ち着きがないような。


「はぁはぁ……書類ここかしら……もう〜会計監査今日なのに!」


この先生らしき人物は切れ長の目とロングストレートの髪をしていた。

スタイルはややスレンダー寄りで程よく引き締まってるような感じがする。

年齢は25くらいのいかにも真面目な新任教師……って感じだ。

普段この先生はクラスを持つとかそういうのは無かったため、俺たちとも認識はなかった。


「ああ〜松本先生……でしたっけ!」

「えっと……2人……だれ?」


俺たちはガクッとズッコケる。


「えっと……文化祭実行委員で次期生徒会候補の飯田です。」

「同じく、天野です。」


「ええ!?そうなの、私……全く聞いてないわ。もう〜諏訪先生ったら。」


……案外、教師間の報告連絡相談は出来てないようだった。

あれ、諏訪先生……おおらかで安定感のある先生だと思ったら案外抜けてるけど図太い人って線ないか?


「いっつもそう!これやっといてね……あっはっは……って!私、残業したくないのに〜!公務員って残業代出ないのよ!」


なんか、一人で愚痴りだした……。

俺と飯田は戦慄した。この先生のあまりの幸薄そうな感じといい、既視感がある。

今まで知り合った女性達との共通点があり、アンテナが反応するのを感じる。


そう、この先生は……残念美人だった。


「ま……まあ、先生……それくらいにして!俺たち何も聞いてないから!なんか、趣味とか持ったらいいんじゃないですか?」

「あるわよ!私に趣味の一つや二つくらい。」


飯田が先生を落ち着かせてフォローに入ってきてるが、先生のヒステリックは止まらない。

相当来てるな……これ。


「ほら、先生はどんなのが好きなんですか?」

「……水泳。」


あれ、なんか……この先生、俺知ってるかもしれない。

水泳、切れ長、そして黒髪。


「……でも、この前ストレス発散してたら男の子にぶつかって、台無しになっちゃった。」


ああ、ヤバい。

道理で既視感があるとおもった。

この人……俺とは気づいてないみたいだけど、プールであったお姉さんだった。

俺が間違えてぶつかったあのお姉さんだった。


一気に冷や汗を感じて居心地が悪くなるのを感じた。

どうしよう、痴漢とかで訴えられたら死ぬかもしれない。


「あ、あの!俺ちょっと缶コーヒー買ってくるわ!飯田もいる?」

「あ?なんだよ急に……じゃあ微糖で。」

「おっけー!ちょっと行ってくるわ!夕陽に向かって逃げるんや〜。」


俺は少し離れた自販機にダッシュする。


部屋を出て、階段をおりて舞衣に電話をかけた。


「もしもし?直輝くんどうしたの?」

「舞衣……俺は、おっぱいで死ぬかもしれない。」

「……ごめん、ちょっと何言ってるか分からない。」


しまった、色々と端折りすぎだ。


「……プールでぶつかったお姉さんがいた。」

「え?あのおっぱいの?」


辞めてくれ、彼女からその単語は色々ときついものがある。


「まあ、その……そうだ。それが、生徒会の顧問らしいんだよ。」

「え……えー……。」


無気力な返事が返ってくる。

どう返せばいいのか分からないらしい。


「直輝くん、逮捕されたら……毎日手紙と面会に行くわね。あとは望むなら脱獄も協力するから。死ぬ時は……一緒に」

「やめれ!なんで捕まる前提なんだよ!というか……その際の展開怖すぎて聞くに聞けねえよ。」


今日も俺の彼女は想像力豊からしい。


「冗談よ!まあでも……言われない限りは言わない方がいいと思うわよ!知らぬが仏って言うし。」

「まあ……確かに。」

「ああ、というか……私以外の女の胸を触ったというのも癪だし……後でマインドコントロールして記憶を抹消……あ、ごめん!直輝くん……電車きたから切るね!」

「え、ちょ……おま。」


電話が切れて。スマホは無音を奏でる。

途中まで何言おうとしてた?なんか、聴き逃したら行けないことも言ってた気がしたんだが……まあいい、

俺は頭の中で決心を決める。

大丈夫、俺は長男だから我慢出来る。俺が挫けることは、絶対にないとどこぞやの鬼狩りの少年の如く全集中をして生徒会室に戻る。


「でね……もう大変なの。留年した妹の学費を立て替えることになったりして、この前合コンで知り合ったイケメンに振られて、…先生たちも仕事が出来ない人が多くてその分私に仕事が回ってきて!なんで生きてるか分からなくて!」

「あ〜うんうん、辛かったっすよね〜。」


なんか、飯田がいい感じにしてくれていた。

多分なんでこいつが会長候補なのか少しわかる気がした。


「あ、直輝……すまんな〜。ふう!うめぇ〜やっぱ微糖だな。」

「ごく……ごく……ぐす……そうね、ちょっと落ち着いた。」


みんなでコーヒーブレイクをする。

なんか、少し俺も落ち着いてきた。


「天野くんも優しいわね……ありがとう。」

「い……いえ……これくらいしか出来ることは無いので。」


痛い!その純粋な視線が痛い!罪悪感からなる行動とは死んでも言えない。


「あ、今日は生徒会のみんなは進路説明会で活動できないみたいだから、また後日顔合わせでも良いかしら?」


「え、そうだったんですか?じゃあ……今日のは。」

「諏訪先生の勘違いよ。ごめんね……。」


ガクッと俺たちはズッコける。

俺はこの時二つのことを知った。

諏訪先生が案外適当な事と、松本先生は信頼が出来る人なんだということだ。


こうして、俺の戦慄のある時間はあっさりと終わりを迎えた。


「いや〜、まさか諏訪先生あんなに抜けてるとはな〜。」

「いや、まじでそれ。」

「にしても、直輝今日は明らかに挙動不審じゃなかったか?」

「い……いやいや!んなことねえよ。」

「ほんとか〜?……お?」


雲に淀んだ空模様は少しずつ水滴を垂らす、気がついたらそれはいくつも重なって気がついたらゲリラ豪雨になっていた。


秋は雨も強くなる。

しかし、その雨の強さと冷たさは妙に頭を冷ましてくれるようで心地が良かった。


しかし、その不気味さはこの先の波乱万丈具合を示唆するようでもあった。

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