僕の役割は文化祭実行委員 1話
※100日チャレンジ80日目
今日は学校が再開して、2回目の土曜日が来た。
9月に入り日本の四季上は秋という季節になる……のだが、日本の気温上昇は激しい。
気温が未だに30℃を超えていたので今日は涼んでいた。
「あ〜暑いわね〜直輝くん。」
「なんというか……舞衣も家にいることが当たり前になってきたね。」
「そー?」
ちなみに涼んでいたのは、俺ではなく舞衣だった。
人の家で人をダメにするソファーに腰かけては、自分の方向にサーキュレーターを浸かって、ガリガリ君のソーダ味をかじっている。
俺は涼む要素がないのに……こいつは2つも涼む様子に若干イラッときてしまう。
カチッと音を立て、風の向きを俺の方向に向ける。
すると、少しだけ暑さのストレスから開放されるのを感じた。
やはり、東京の暑さは常軌を逸している。
「……ねえ、直輝くん。暑いんだけど。」
「いや、アイスあるからいいじゃん。」
「良くないの!私はどんどん暑さでファンデが溶けていくじゃない!いいの!?可愛い彼女がファンデ溶けても!」
「いや、おもろいくらい化粧崩れてないんだけどね。」
「ちっ!」
そう言って悔しそうに指を鳴らす舞衣。
どうにも花火大会以降は彼女との距離感は完全に新婚夫婦のそれに近いものになっていた。
すると、舞衣がこちらに来て膝枕をしてスマホをいじり出した。
「これで二人分涼しい!」
「おお〜考えたな。」
サーキュレーターは2人を涼んでいく、風が心地よく2人の体温を下げていく……ように見えた。
しかし、不思議と体温は上昇してるように思えた。
「なあ、舞衣……暑くね?」
「なんでかしらね。」
「そりゃあこの真夏に二人でベタベタくっついてたら暑いに決まってるじゃない。」
そう言って、母ちゃんが俺たちの行動にツッコミを入れる。
そう、今この家には俺と母ちゃんと舞衣の3人でいたのだ。
母ちゃんはそうめんをザルに乗せてテーブルに運ぶ。
「ほら、そうめん出来たわよ〜。」
「「頂きます。」」
そう言って、3人でそうめんを口に運ぶ。
俺は少し辛味が欲しかったので食べるラー油をめんつゆに入れる。
思い返せば先週は色々あった。
学校のマドンナの早乙女渚との家族を巡ってトラブルがあったり、そろそろ文化祭実行委員が決まりそうだったり、秋というのはなんというか……イベントが地味に多い季節だったりする。
ほら、夏は夏休みで消えちゃうし、冬は冬休みと受験とかもあって忙しいじゃん。
さて、今年は秋はどう過ごそうか……。
「それにしても、秋に入ったし俺もなにか挑戦しようかなと思う。」
「急にどうしたの、直輝。」
「ほら、秋って何かと過ごしやすいから何かに挑戦しやすいと思うんだ。食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋……。」
「妊活の秋。」
「しねーよ!なんてこと言うんだ、舞衣。」
相変わらず舞衣は想像を超えてくる。
思春期の発達は男子より女子の方が理解が早いとは聞くけどそこまでは行かないでしょ。
「直輝……そんなに兄弟が欲しいの?」
「いや、母ちゃんも妊活しなくていいよ!もう高校生としてはキツいから!色んな意味で!」
すると、楽しそうに舞衣と母ちゃんは笑っていた。
全く……こういう所はこの2人も似ている。
は……話を戻さないとな。
「あ、それなら……あれやって見る?」
「「あれ??」」
ふと、ある提案を舞衣が上げる。
こうして、小さな俺の非日常は生み出されたのだ。
☆☆
「というわけで!室内プール来てみました!」
「「おお……。」」
俺たちは舞衣に連れられて、市営の室内プール施設へと到着をする。
お盆が終わると、プールというのは一気に人気が下がるもので人数も閑散としていた。
そういえばプールなんてほぼ久しぶり……というか、小学校以来かもれない。
「でも、夏が終わったのにプール?なんで?たしかにまだ暑いけど。」
「ふっふっふ……甘いよ直輝くん。水泳は全身運動よ、全身の筋肉が刺激されて、しかも有酸素運動も同時にできる最強の運動なんだから!」
「みょ……妙に詳しいね。」
「ちょうど私も……ダイエットしようとおもってたし。」
「え、そんなに太ったの?」
「……あ、いやいや!全然!別に3kgも太ったりとかはしてないよ!」
「舞衣ちゃーん、めっちゃ墓穴ほってるわよ〜。」
「はっ!?」
なんてこった。
そりゃあ大問題である。たしかに彼女は大食いではあるものの……まさかここに来て体に出るとは思わなかった。
どうやら、俺たちは利害は一致してるようだった。
こうして俺たちは一足遅いプールを楽しむことになった。
☆☆
「……んー、なんというか……俺の体は貧相だな。」
俺の裸を見て思う。
猫背だし、手足が細くお腹もほとんど出てない。
弱そうである。
少しでも筋肉つけたりとしてみたい。
今日から勉強も頑張りつつ、こういったところも変えていこう。
そう思い、室内プールへ行く。
「お待たせ〜、ってうお!?」
集合場所に行くと2人の水着姿に驚く。
舞衣は年相応の可愛らしい水色を基調とした水着を着ていた。
腰にはパレオを巻いてエレガントに仕上がっている。
そして、お腹を見ると少しだけぷにっとしている所に気がついた。
「……あ〜。」
「ちょっ……どこ見てるのよ!?」
「ごめんごめん。」
対する母ちゃんは……黒のレース調の水着を着て色っぽかった。
舞衣と俺とは違って適度に体を動かしてるみたいで身体は引き締まっていた。
「どう〜?直輝、母ちゃんエロい〜?」
「んー、生理的に無理。」
「酷!?」
「いや、母ちゃんエロいねって普通言わねえぞ。」
まあ、とはいえ……母ちゃんはやはり元人気AV女優なのでプロポーションは完璧だった。
そのせいで、めちゃくちゃ周りの人達も視線が集まっていた。
「……ねえ!タクロー!なんで他の女みてるの!」
「す……すまん!すまん!」
「タクローほんとおっぱい星人なんだから!」
どうやら、カップルの視線も奪っていたみたいで後ろで男がしばかれていた。
多分俺も息子補正がなかったら違ったかもしれないな。
室内プールは流れるプールが外周しており、中に2種類のウォータースライダー、そして波のプールなどがあった。
だけど、今日はそんなアクティビティには目もくれず25mプールに入る。
そう、今日は身体を鍛えに来たのだから。
そして、俺は思い切ってクロールを漕ぎ出した。
暗い……何も見えない……。
水の音が耳を塞いで不気味にうごめいている。
そして、俺は真っ直ぐ進むと……、何かに当たった気がした。
俺は不審に思い、水の中を出ると目の前には25歳の女性がいて……俺は間違ってその女性の胸を鷲掴みしてしまっていた。
水がほんのり冷たいのか、俺の冷や汗が体を冷ましたのかはこの時ばかりは判別しなかった。




