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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第13章 メイド長と優男シェフの慰安旅行
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メイド長と優男シェフの慰安旅行 5話

※100日チャレンジ69日目

ザザーッザザーッ


波の音が決まったリズムを刻みながら音を立てる。

太陽が砂浜を乱反射し、少しだけ汗が出るのを感じる。


私は普段家にいることが多いから新鮮だ。

暑さを心底嫌っていたのに、今はこの暑さが心地いい。


それに、程よく潮風が吹いていて私の髪を靡かせた。

自然の中というのはなんと心地いいのだろう。


しばらくすると、ザッザッと音を立てて尾崎さんがイカ焼きを持ってきた。


「すみません!持ってきましたよ!」

「ありがとうございます…あの、お金は。」

「いえいえ!お気になさらず食べてください!」


私は尾崎さんにイカ焼きを貰う。

まずは耳の部分から噛むと、そこからジュワっと焦がし醤油とイカ、そしてほんのりとバターの香りが鼻を通って行った。


すごい、これだけでとても美味しそうである。

少しだけ…食べずらいのだがこれも風情があって楽しさを感じた。


「いか…美味しいですね。イカそうめんとかアタリメも好きですけど、こういうのもいいです。」

「あはは、ことねさん……なかなかいい趣味してるね。」

「ええ、それで芋焼酎を水割りにして飲むととても良いんですよね。」

「え、なんというか……ことねさん見た目とギャップがあって中々渋いね。」

「おっさんみたいですか?」

「まあ……その…。」


尾崎さんは少しだけ目を逸らした。

でもさっきよりは焦りを感じなかった。

なんか、受け入れてくれそうな安心感があるのだ。


そんな感じで二人でいるとあっという間にイカ焼きはなくなってしまった。

案外美味しかったので口が寂しくなる。


ああ……なにか無いかな。

と、思ってる間もなく私はセブンスターを吸っていた。


ああ、やっぱこれ…。

疲れた時と幸せな時に吸うタバコってなんでこんなに気持ちがいいのかしら。

もう明らかにニコチン中毒だけど、それを差し引いても心地いい。


その様子を尾崎さんはじっくりと見ていた。


「ちょっと…恥ずかしいですよ。」

「ああ、ごめんごめん!タバコ僕全然吸えないからね〜。結構キツイのも吸えて凄いなって思って…。」


まあイメージ通りである。

爽やかで明朗快活な尾崎さんにはタバコはあまりにも似合わないのだから。


「吸わなくていいですよ。依存性やばいし、税金もかなり取られますからね。私の給料全部こいつ行きですよ。」

「ちょっと…吸ってもいい?」


そんな事を言う尾崎さんを見て、少しだけ固まる。

きっと、私の好きな物を理解してくれようとしてるのかな。

なんといえ優良物件、ほかの女なら既成事実を作ってるところだろう。


「少しだけですよ…。」

「えへへ、ありがとう。」


初めてタバコを吸う大学生のように吹かすように吸う尾崎さんを見て笑いそうになる。

なんだろう、とてつもなく可愛い。


「ゲホッ!ゲホッ!いや〜やっぱりきつい。」

「もう〜勿体ないじゃないですか。」

「ごめん…やっぱり僕は吸えないみたいだ。」


私は彼からタバコを取り、ちょうど今吸ってるのが吸い追えるので彼のタバコを吸っていった。


「ちょっ…?ことねさん…なにして…?」

「尾崎さんのなら、嫌じゃないんで。」


私、少しとんでもないことをしてるけど彼の吸ったタバコはより美味しく思えた。


「それで、これからどこへ連れてってくれるんですか?王子様。」

「ちょっと、やめてくださいよ!……富山に行こうかなって思ってるんですよ。」


富山と言われてはて…と考える。

富山といえば何があるのだろう。


ホタルイカ…白えび…寒ブリ…富山ブラック…って全部食べ物じゃない!でも私にとっての狭い知見だとこれが限界だった。


「黒部峡谷って知ってます?」

「わかんないです。」

「そこ…レトロなトロッコ列車とかあって、自然の中を電車旅できるんですよ。し・か・も…温泉付きです。」


温泉っていう尾崎さんは子どものように目をキラキラとさせている。

きっとこの人…温泉とかサウナすきなのかも。

そういえば私も先月舞衣とサウナ行って来たな。


「温泉いいですよね。個人的にサウナも好きなんですよ。」

「え!!」


すると、尾崎さんは目を見開いて私の両肩を触って興奮する。

いけない、それは反則すぎる。


「え、ことねさん…水風呂とか大丈夫なの?」

「ええ…最初はキツかったですけど、ちゃんとやると気持ちいいですよね。」

「ま…まじか…何セットするの?」

「もちろん3回です。」


どうやら100点満点の回答だったのか尾崎さんは嬉しそうに悶えていた。


「ああ…うれしい、こんな身近にサウナ好きって言ってくれる人がいて。」

「いつでも誘ってください。」

「もちろん!」

「というか、そろそろ暑くなってきましたね。そろそろ行きませんか?」

「あ…ああ、そうだね!ごめんごめん!サウナ好きがいると思うといてもたってもいられなくて…。」

「今から行きましょ、サウナ行って…最高の休日にするんです。」


私たちは立ち上がり身体が暑くなり汗が滴るのでその場を後にする。

そして、私たちは飲み物を買ってから、またロードスターに乗り込んだ。


すると、また涼しい冷房が車内下部を循環してる、オープンカー特有の解放がに包まれた。


「さて、行きますか!温泉に!」

「うん、一気に行くよ!」


車は少し早めに走った。

法定速度ギリギリのスピードで浜辺を走り出す。


目指すは黒部峡谷ということで行き先は宇奈月駅を目指していた。


「あ、そうだ…ことねさん、ちょっとお願いしてもいいかな?」

「なんでしょう。」


お付き合いの提案でもなんでも言って欲しい。

プロポーズは…ちょっと早いかもだけど。


「宿予約取っといてくれる?」

「え。」

「僕ギリギリまで決めないタイプでさ〜、忘れてた。」


ちょっと!?そこ結構肝心なところじゃないの!?

尾崎さんは旅をしていて距離が近くなった今だから言えるけど、結構抜けている。


仕事は完璧なのに、プライベートはポンコツなところがあるのだ。

でも、私にとっては運転してもらってるし、助け合ってる感じがしてドキドキするので受け入れることにした。


私は、近辺の空いている宿を調べて予約サイトで予約をする。


温泉があって……私と彼が好きなサウナがある宿があった。

しかも予算内で料理も美味しそうだった。

そこを予約する時に、1つ選択肢があって悩んだ。


えーっと…ベッドのタイプを選ぶのか。

シングルはわかる、1人用だ。


ダブルとツインっていうのがわからない。

ツインってことは…ベッドがくっついてるのかな?


いけない!そんな……まだ私にそんな勇気は無い。

ということは…ダブルは離れてるはずなので私はダブルを選択した。


そして、その選択は後に大きな過ちだと気がつくのには…そう時間がかかることは無かった。




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