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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第12章 学校のマドンナはおとこの娘
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学校のマドンナはおとこの娘 10話

※100日チャレンジ61日目

「もしもし、ママ…?」


渚が申し訳なさそうに着信に応答すると、電話越しでも大きな声が聞こえてきた。


その声の主は少し圧が強く酷く怒ってるようにも感じた。


しばらく渚は困ったかのように対応をしたあとは少し表情は青ざめて会話が終了した。


「……すまない、そろそろ行かなきゃ。」

「えー?食べてけばいいのに。」

「すみません、母親は普段遅くまで働いてるのだご飯作らないと酷く起こるんですよ……これから作らなきゃ。」


渚はそういって、心底帰りたくなさそうな顔をしている。

こいつ、学校でも仮面を被ってるのに家でもいい子のフリをしてるのかと思うと胸を締め付けられた。


どこか心がソワソワする。

せめて彼になにか言っておかなきゃ、そんな衝動が走っていた。


「渚!」


渚は少しだけこちらを向く。

その目は恐怖に脅えて、今でも泣き出しそうな顔をしていた。


「その……なんというか……なんでも言ってこいよ!何かあったら力になるからさ。」


すると、渚は嬉しそうにこちらを微笑んでくれた。


「あはは、気休めかもしれないけど少し元気でたよ。直輝くんは、やっぱり人たらしだな。」

「うるせぇ!俺ともお前は友達だからな。それにみんなもいるから、大丈夫だ!」

「うん、ありがとう。また明日ね。」


俺と渚はハイタッチをすると、渚は少し急いで玄関を出ていった。


「いや〜直輝もちゃんとリーダーしてるわね。」

「よせやい、俺はそんな器じゃないよ。」

「ううん、大事なのは力があることでも財力がある訳でもなく、ああやって人を見てあげるとそれだけで救われる人がいるのよ。それができる人とできない人がいるからこれも立派な才能よ!」


母ちゃんに褒められて鼻がむず痒くなる。

色々カオスな状況だったけど渚に母ちゃんを紹介できてよかったな~。


渚もきっと嫌な思いをこれからするけど、俺が全力でフォローするから大丈夫だろう。


「けほっけほっ!」


急に咳が出る。

少し体を冷ましちゃったかな。


「さて、晩御飯にしますか。」

「おう、そうだな。今日の晩御飯何ー?」

「えへへ、美味しいマッサマンカレーだよ~。」

「なにそれ?」

「え、しらないの?」


☆☆


チュンチュン……


朝の小鳥のさえずりで目が覚める。

しかし、朝だと言うのにいつもと違って違和感を感じた。


「けほっごほっ……!」


昨日から妙に咳がでる。

頭もぼーっとして……少しだけ鼓膜がトンネルを車でくぐった後のように抑えられてるような感覚がある。


体の節々も痛く、気だるさがあった。


俺は心音計を測ると37.6℃と微熱が出ていた。

俺は……風邪を引いたようだった。


急いでリビングに向かう。


「おはよう~って……妙に顔色悪いわね。化粧落とした?」

「落ちてるわ。……少し風邪っぽい。」

「え、大丈夫?」

「……大丈夫じゃないかも。」


立つ気力もないので、人をダメにするソファーに腰かけて無気力に上を向いていた。


最近頑張りすぎたのもあって疲れが出ちゃったのかもしれない。


「どうする?今日学校休む?」

「ああ、休む。」

「わかったわ、あとなんか欲しいのある?」

「んー、ポカリとうどんと……杏仁豆腐かな。」

「了解、今作るわね。」

「かたじけねえ。」


さて、俺は自室で療養することになった。

とはいえ、やることがなくて暇である。

見慣れた天井を見つめては時折鼻水がでるのでティッシュを使うか、咳が出て痰で喉が苦しくなるなどの呼吸器との戦いだった。


まずは、ソーシャルゲームでも消化するか。

最近勉強やらイベントが多く、ソーシャルゲームのイベントが積まれていた。

キャラ育成もぼんやりと行う。


久しぶりにやると、小さなイベントをクリアすることで少しだけ達成感を感じる。


夏休みを過ぎるとソーシャルゲームは少しだけ閑散とするのかガチャなどの面白いイベントは少なく、すぐに飽きてしまう。


なのでファイヤーステックを使っては動画やアニメを見てみるだけで本当に惰性の一日になりそうだった。


ガチャン


「うどん作ったよ~、あとポカリね。」

「ああ、ありがとう母ちゃん。」

「この借りは老後の介護に返してね。」

「何その悟りきった打算、息子としてはものすごく複雑なんだけど。」


母ちゃんはたまに恐ろしいほど頭がいいんじゃないかなって時がある。

元々医者になるように言われてたし、生きる道が違えばもっと優秀な人だったかもしれない。


「しっかし、風邪なんて何年ぶりかしら。昔っからあなた身体だけは丈夫だったと思うけど。」

「……歳かな。」

「いや、17歳が何言ってるのよ。でもたまにはこうして頼ってくれるのも親としては安心するのよ。」

「そんなもん?」


俺はポカリを飲みながらぼんやりと話を聞く。

しかし、ポカリってたまに飲むとものすごく美味い。

甘いだけなのにほんのりと感じる酸味も相まって体調悪い時は身体に効率良く水分が吸収されるのを感じた。


「じゃあ、母ちゃんにイキイキして貰えるようにクロちゃんの教えに習って50超えても情けない息子でいようかな。」

「やめてよ、そんなのされたらノイローゼになっちゃうわよ。」


体調は悪いけどこうやって冗談を言えるくらいには身体は元気だった。

たまにはこういう日もいいのかもしれない。


「さてと……もう一眠りしようかね。早く治さなきゃだな。」

「そうね!ゆっくり休むのよ。今日はずっと家にいるからなんかあったら言ってね。」


なんというか、風邪ひいた時って心細い感覚があるのだが母ちゃんがいるのがとても幸せに感じた。


俺はポカリを飲み干し、うどんを食べ切ると身体が血糖値が上がり意識がフワフワして、俺はさらに眠りにつくことになった。

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