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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第12章 学校のマドンナはおとこの娘
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学校のマドンナはおとこの娘 4話

※100日チャレンジ55日目

キーンコーンカーンコーン…


「それでは、本日授業はこれで終わりとする。」

「「「はーい。」」」


学校が終わり、俺は少しだけ残ろうと図書室で勉強をする。

舞衣はバイトが忙しく、飯田も部活で忙しいので俺は1人で行動しようかと思った。


久しぶりの図書室は人が少ない。

図書委員の在籍も少ないので本当に1人になるのだ。


さて、今日は苦手な物理でもやって見るか。

全体的に点数は上がったのだがどうしても物理が点数を下げてしまっている。

せめて独学でも強化せねばと思っていた。

そんな時だった。


「やっほー!直輝くん!ボクだよ〜。」


……物理的に苦手な人が入ってきた。


「さ……早乙女……なぜここに?」

「んもう!直輝くんは冷たいんだから〜。え、勉強してるの?」

「ああ、来年受験だしな…。進学したいんだよ。」

「へー、真面目〜。」


早乙女は空返事をして俺の前に座り、化粧を整えていた。


「つーか、お前なにしにきたんだよ。友達とかいないのか?」

「え、いないよ?」

「え、マジで?お前モテるだろ。」

「モテるのと、友達が多いのとでは全然違うんだよ?」


どうやら、人間関係というのは思った以上に複雑らしい。まあ、気にせず勉強してれば飽きてくれるだろう。


「あはは、直輝くんはいいね〜。このドライさがいい!フラットに接してくれるからボクはとても心地いいんだ。」

「俺は最高に心地悪いんだけどな。」

「そんな〜つれないなー。」

「お前…本当に友達がいないんだな。」

「そーなんだよ、男子はボクをいやらしい目で見ているし、女の子はボクを嫉妬の目でみている。結構ボクは生きづらいんだ。その点、君はいい。僕をやらしい目で見ないからね。」

「そりゃあどうも。」


まあ、早乙女は正直顔を見るとめちゃくちゃ可愛い。

黒髪ハーフアップの正統派美少女であるのでモテて同然なのだ。


化粧が若干濃いのが気になるけど、俺も可愛いと思っている。

しかし、何故だろう。

俺の本能が彼女に惚れては行けないと危険信号を送っているのだ。

それが無意識に彼女を冷たくあしらってしまう。


「直輝くん、よかったらボクと付き合わないかい?」

「えー。」

「……めちゃくちゃ嫌そうだね。彼氏のフリでもいいんだ。実は結構ストーカー被害にもあっていて困ってるんだ。だからこそドライに接することが出来る君の助けが欲しいんだ。」


何言ってるんだ。

俺は何度も舞衣に分からされて少しは学んだ。

俺は今いる彼女にできる限り誠実にいようと誓ってるのだから、そんな不誠実なことが出来るはずがない。


しかし、早乙女は明らかに俺の対応に焦りを感じていた。目が泳いでいるし、本当に困ってるみたいだ。

かと言って彼氏のフリはキツイ。


さーて、どうしたものか。


「友達のフリならいいぞ。」

「いや、そこは友達で行こうよ!?」

「冗談だ!すまんな、彼女がいるからそこは誠実でいたかったんだ。えーっと…早乙女…だっけか?」

「渚でいいよ。迷惑かけて申し訳ないね。」


どうやら勿体ぶる性格なだけで本質は素直な子らしい。多分その振る舞いも相まって無意識に女性から優越感に浸ってると思われたのだろう。


「ねえ、よかったらこの後遊ばないかい?奢るよ。」

「どこ行きたいんだ?俺は渚のことが全くまだ知らないからな。」

「んー、カラオケとかどうだろう?」


☆☆


俺は渚に誘われるがままカラオケに行く。

カラオケ…昔母ちゃんと行って以来初めてなのだソワソワする。

学生だけでカラオケに行くのは少しいけないこたをしてるような冒険感を感じる。


「あんまりカラオケ慣れてない?」

「母ちゃんを除くと初めてかも。」

「そうなんだ!直輝くんは何歌うの?得意な曲とかある?」

「んー、歌ったことないな…。ちょっと怖いかも。」

「じゃあ、デュエットしようよ!」

「え、俺曲わからんよ。」


しかし、そんな俺の制止を気にせず慣れた手つきで曲を入れる。

曲名は…「青春アミーゴ」か。

確かに歌いやすいけど…、歌詞はあんまり覚えていない。


「よっしゃー!歌うよ、直輝くん!」

「お…おう。」


最初の方を渚が歌う。

渚の声は女性にしては若干ハスキーだけど歌を歌う時は少し声が低くなり、かっこいい感じに仕上がっていた。

採点もビブラートとこぶしの加点を連発していて、それだけで彼女の才能を感じる。


見とれていると、彼女は俺を見てウインクする。


俺の番だった。

正直言って…俺は下手くそだった。

音程も安定しないし、若干タイミングもズレている。


先程の渚のパフォーマンスとは打って変わって月とすっぽんくらいの違いになっている。

マジでかっこ悪い…そんな恥じらいの気持ちが強くなるのだけれど、サビになるにつれ…徐々に歌があってきた。


渚が俺の横でハモってくれたので歌いやすくなったのだ。

サビに入ると二人でひとつだったという歌詞がまるで体現されたかのように俺たちはひとつになっていた。


俺はもう音程を外すことはなく、渚と歌う事でひとつになるような感じがした。


歌いきると、妙な達成感が強くなっていた。


「……いいね、直輝くん!最高だよ。」

「いやいや、渚と歌うの楽しいな。」

「そう言ってくれてうれしいよ。」


俺たちはハイタッチをする。

既に彼女への警戒心は無くなっていった。


その後も俺達は思いつく曲を歌い続け、気がついたら2時間も経っていた。

時刻は20時を過ぎたので俺達はカラオケを出ることにした。


「いやー!すげー楽しかった!」

「あはは、直輝くん上達早くてびっくりしたよ!」

「渚がハモってくれるから歌うのがめっちゃ楽しかったよ。」


…正直、めちゃくちゃたのしかった。

勉強とかばっかしてたからこうやって遊んだのは久しぶりだ。


「ねえ!またこうやってあそぼうよ!ボクもめちゃくちゃたのし…あえ!?」


階段で渚は俺の前で歩いていたのだけど、突然踏み外したのかバランスを崩した。


「危ない!」


俺は左手で彼女の手を掴んだ。

しかし、利き手じゃないのか力が入らず、俺もバランスを崩して彼女に覆い被さるように倒れてしまった。


「な…直輝くん。」


渚は赤面し、押し倒したような感じになってしまった。


俺の胸は彼女の小さな膨らみを感じることとなる。

…しかし、それ以上に俺は彼女の違和感を感じていた。


俺は彼女に覆いかぶさり、不覚にも下半身に手が当たってしまったのだが、何やら右手に触りなれた感触があった。

女の子であれば本来ここはフラットなはずなのだけれど、何かがあった。


俺は不思議に思い感触を確かめる。


「あうっ!」


どうやら渚の一部らしい。

彼女は…いや、彼は本能的に刺激に対して反応をする。


「なあ…もしかして渚って…。」


彼は静かにコクリと頷いて赤面していた。

そう、俺は最初からあった違和感が全て繋がった。


歌う時に感じたハスキーボイス。

少し濃いめの化粧。

本能的に嫌悪感が出てしまう。

男がよっては…妙に怒り狂いながら関係が破綻する理由、その他もろもろが繋がった。


早乙女渚という美少女は……男だった。

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