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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第12章 学校のマドンナはおとこの娘
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学校のマドンナはおとこの娘 3話

※100日チャレンジ54日目

突然現れた転校生、上原瑞希。


140cm台の小柄な彼女は少し緊張してるのか、落ち着きがなくキョロキョロした様子だった。


俺は彼女の関係者のクラスメイトを1人ずつ見る。


飯田→あれ、見たことあるようなって顔してる。

舞衣→なぜこいつが!?って顔してる。ついでにシャーペンを握り潰してご臨終されている。

龍→そもそも朝礼に出席すらしていない。流石アウトロー。

彩奈→朝は体調が悪いみたいで保健室にいる。


どうやら、みんなこのことを知らなかったみたいだった。


「おいおい!これはなんの冗談だ!?」

「あ、直輝くん!久しぶり〜。」

「なんだ、お前ら知り合いだったのか。じゃあ天野の隣の席で良さそうだな。」

「え、先生……それは……。」

「いつも頼りになるから、今回も頼むよ!それでは朝礼を終わりにする!新学期なので気を引き締めるように!」


担任の諏訪先生は教室を出る。

すると、普段は絡みもしないクラスメイト達が集まってきた。


「ねね!上原さん、可愛いのにオシャレだよね!彼氏いるの!?」

「ちっちゃくて可愛い!」

「前の学校はあの女子校だよね!お嬢様とか?」


おいおい、と言わんばかりに質問ラッシュが彼女を襲う。

瑞希も暑さと不器用さもあって頭からプシューと煙が出ていた。


「おいおい、お前らそれくらいにしといてやってくれ。こいつ不器用で一気に質問されてフリーズしてるんだ。」

「な……直輝くーん!」


瑞希は怯えながら俺の後ろにくっつく。

全く、妹というか……チワワのようなか弱さは健在のようだった。


「そういえば直輝くんとは仲良いよね!付き合ってる?」

「あ、いや夏期講習が一緒だったってだけで……。つ……付き合って……なんか……。」


あ、いかん。

その話題はちょっとタブーに近いかもしれない。


「あ、俺と瑞希は付き合ってないぞ。ただの友達だ。」

「え(ガーン)。そ……そうだよね……私たち……ただの友達でしかないもんね。」


瑞希には可哀想だけど事実は事実なのでそこはキチンと伝えておく。誤解を招くことを言ったら舞衣に八つ裂きにされるか東京湾に沈められそうなので真摯に対応せねば。


「そっかー、また話そっか……よろしくね、瑞希ちゃん。」


ちょっと興味が逸れたのかクラスメイトたちはその場から立ち去っていく。

まあ転校あるあるだな。

いや、これでいいんだ……ちょっとずつ友達を作ればいいんだ。俺はそのためならどれだけでも力になってやるぞ。


「待って!みんな!」

「「「ん?」」」

「私……直輝くんとは今はまだ友達だけど大好きなの!二人でカフェに毎日行ったり、お家に行って色んなことを手とり足とり教えてくれたりしたし、初めての事ばかりで楽しいんだ!そんな関係なの!」


おいバカ、その言い方は誤解があるぞ。

引っ込み思案を治そうと前進したのは微笑ましいが、今はその成長を見せる時じゃないでしょ。


「え……天野くん、そんな事をこんなちっちゃい子に?」

「天野くん……最近色んな女の子と入れ替わりで見てるとこ多くない?」

「私も見た!酔っぱらいのお姉さんを背負ってお持ち帰りしてたもん!」

「……浮気してたんだね。あとで分からせなきゃ。」


おいおい、まてまてまて!女性陣から明確な殺意を感じる。つーか、約1名飯田と笛吹さんの事例が混在してるよ!


「いや、話を聞いてくれ!これにはワケが。」

「「「サイテー。」」」


結局、飯田と俺で弁明をして事なきを得たが朝からヒヤヒヤすることになった。


☆☆


キーンコーンカーンコーン。


お昼休みに入り、俺たちは久しぶりの授業でものすごく疲れた。

肩がいつもより凝ってるのを感じる。


まあ、朝から少々カオスな展開が続いたのもあるのだがね。


「くぅー!終わった〜。進学校だけど何とか着いて来れた〜。」


なんか、夏期講習のような絵面である。

俺がホッとして、瑞希が伸びをする。


「みんなで昼飯でも食べるか。保健室で彩奈とかもさそっていくか。」


そういえば、この前彩奈にヘアカットしたりとか、メイクして遊んでた気がするしあの二人は仲良いのだろう。


「え!行きたい!」

「お、嬉しそうだな。じゃあ簡単に場所の案内とかもしつつ、保健室を目指そう。」

「うん!」

「……待って、私も行く。」


突然俺たちの道をヤンデレモードの舞衣が道を阻む。

しまった、まだ弁明しきってなかったっけな。


「あ、あの……舞衣さん?怒っていらっしゃる?」

「え?なにが?」


しまった、めちゃくちゃ怒ってる。目が笑ってない。


「いやいや、だから俺たちなんも無いよ!な、瑞希。」

「私……直輝くんのことが好きだから。」


バカヤローーーーーー!

なんで俺よりも現代文分かるのにそこだけ読解力低いんだよ!


「……まあでも、直輝くんとのあの夜の様子を見る限り初めてだったからお互い何も間違えてないみたいね。」

「え?え?」

「気にしないでね。独り言よ!」


おい、バカ。そんなドヤ顔で白昼堂々何言ってるんだ。


「まあ、そしたらみんなで行こう。な?」


少し2人は困惑していたのだが納得してくれたみたいで、結局3人で行くことになった。


☆☆


「しっかし、瑞希が転校してくるとな……元々決まってたのか?」

「ううん!なんか、夏期講習と彩奈ちゃんと遊んだのがきっかけだよ。その後お母さんに無理言ってもらった。」

「あのAV女優の母さん?仲悪かったんじゃないのか?」


確か、母親のせいで虐められていて、憎んでいたはずだったけど。


「意外と話したら分かり合えたの。その上で勉強楽しくなってきたから変わりたくて転校お願いしたの。」

「なんだ、普通にいい母さんじゃないか。」


まあ、喧嘩なんてちょっとした気持ちのすれ違いで起きるもんだ。

彼女も前に進んでるようで何よりだった。


そして、保健室の前に立つ。

大方音楽室や職員室などの案内も終えたのでこれが終わったらみんなで昼飯だ。


「彩奈〜入るぞ。」


ガランッ


と部屋を入ると具合の悪そうな彩奈が一点を見つめていた。しかし、俺たちを見て少し泣きそうに……嬉しそうにしていた。


「あ、瑞希!それに舞衣や直輝くんも久しぶり!」

「あの時背中押してくれてありがとうね!これからはクラスメイトとしてよろしく!」


どうやら本当に彼女がきっかけだったらしい。

彼女も面倒見がいいのできっとお互いに通じ合うところもあったのだろう。


「体調は大丈夫?」

「うん!たまたま2日目でね〜。」

「2日目?風邪か?」

「……直輝くんには一生分からない悩みよ。」


3人とも俺から目をそらす。

なんなんだろうな。しかし、これ以上は聞いても教えてくれなそうだったのでどうやらシビアな話をしてるらしい。


さて、道案内というひと仕事も終わりだ。


俺は、ダルそうにスマホを眺めるとひとつのLINEが来ていた。

あの、朝にトラブっていた早乙女渚からだった。


「おつかれー!さっきは助けてくれてありがと!放課後良かったらボクと帰らない?少しお礼したいしさ!」


彼女からの熱烈なお誘いの内容だった。


俺は、朝からトラブル続きだったので気だるそうに簡単なメッセージで終わらせた。


「考えとく。」


しかし、これがこの後に更なるトラブルを引き起こすことになる。

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