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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第12章 学校のマドンナはおとこの娘
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学校のマドンナはおとこの娘 1話

※100日チャレンジ52日目

ジリジリジリ……


残暑残る中、いつも通りの朝が来る。

東京にはもう四季がないのではと思うくらい俺の感覚は夏のままだった。


しかし、明確にカレンダーは夏休みが終わり二学期が始まったのを残酷に教えるのだった。


まだ時刻は5:00である。

俺は昨日母ちゃんに明日から朝に歩くという宣言をしてしまったので少し歩くことにした。


母ちゃんは起きてこない……。

俺はキッチンの湯沸かし器にスイッチを入れて外に出かける。

頭は働いてないのだが、少しずつ頭が冴えてくるような感覚があった。


宿題はちゃんとやったし、やれることは全部やったはず……うん、ちゃんとスタートができる。


道を歩くと人は少なく車も走っていなかった。

あれ、意外と快適だぞ。


普段歩かない道を歩いてみると、見たことないカフェがあったりでものすごく楽しい。

これ、続けられるかもしれないな。


そんな事を思っていたら程よい時間になったため、俺は家に帰ることにした。


「ただいまー。」

「おはよー直輝。」


母ちゃんがキッチンで弁当を作ってくれている。

昨日は喧嘩(?)したのに俺たちは恐ろしいほど普通だった。


「ちゃんと歩いてたのね、直輝最近めちゃくちゃ有言実行になったよね。」

「まあ、言ったからにはやるわな。てか、今日の朝飯何ー?」

「ベーコンエッグと味噌汁。」

「ほえ〜。」


俺はシャワーに直行し朝のシャワーを浴びる。

そして、着替えを済ませるとテーブルに朝の献立が並べられていた。


「お待たせ致しました!ご主人様♡」

「母ちゃん……息子として俺は複雑だよ。」

「いや、冷静に突っ込むのやめて!?」


いかん、母ちゃんがメイド喫茶でバイトしたことで何か可能性が芽生えてしまった。

世間的にはニーズはあるのかな?


朝飯を食べると久しぶりに聞いたインターホンの音がする。

普段あいつしか鳴らさないからな。


ピンポーン


「おっはよー!直輝!」


そう、俺の親友の飯田である。

しばらく会うのは久しぶりだったので少し俺もその声が聞けて嬉しかった。


「おはようございます!遥香さん……今日もお綺麗ですね!」

「まあ、私も会いたかったわよ。」


相変わらず見境無いな。

速攻で鼻の下伸ばしてやがる。


「お前……笛吹さんはいいのか?」


その名前を聞いた瞬間飯田は苦笑いしていた。


「あー、あの人な〜。いや、かわいいよ?でもさ……。」


少し意味深に口が籠もる飯田。

なんだ、きれいな女性が隣にいるというのにそこは違うのか?


「なんというか、たまに女に見えない時があってな。むしろ……保護者のような気分になるんだよ。」

「ねえ母ちゃん、これが蛙化現象ってやつなのかな?」

「違うと思うわよ。」


俺らがボケてると飯田が泣きそうだった。


「だってよ……空いたビール缶、喉をつんざくタバコ、俺の布団で自慰行為をするから、たまに布団が湿っていたり……。」


想像を絶するほど苦労してるみたいだった。

飯田が遠い顔をしている。


俺はまあそんな様子を見て飯を食べ終えていた。


「ああ、遥香さん……今日も麗しいですね。今度デートでも行きませんか?」

「なにナチュラルに人の母ちゃん口説いてるんだよ。」


飯田は良くも悪くも手馴れている。

クラスの中心にいて陽キャのメンバーに入ってるので人を誘うのにも慣れていた。


「えー!ちょっと考えてもいいかも!」

「直輝……俺のことはお父さんって呼んでもいいからな。」

「やめろマジで!?」


親友がお父さんになるとか昼ドラでも無いレベルの案件である。やめてくれ、それだけは。


「んな馬鹿なこと行ってねえでさっさと行くぞ。」

「お、おい!待ってくれよ直輝。」


俺は淡々と久しぶりのワイシャツを着てズボンを履き、ベルトを締めて玄関を出る。


出る直前に母ちゃんが玄関まで立ってくれていた。


「2人とも、行ってらっしゃい!」


「「行ってきます。」」


☆☆


俺たちは家を出て、学校まで歩いていった。

久しぶりに通学路はむしろ新鮮な気持ちさえ教えてくれる。


「にしても、元気そうでなによりだよな〜直輝。」

「まあな、そっちは夏休みどうだったよ。」

「んー、水泳の大会に行ったり、あとはカラオケとか誘われたりで中々忙しかったよ。やっぱ陽キャの奴らと話すよりもお前と話す方が気軽だわ。」


飯田は相変わらずハイスペックと人当たりの良さ故に忙しそうだった。

人間関係の維持というのも広くなればなるほど生きずらいと言うのを見事に体現する。


「お前はどうだ〜色男。」

「いや、誰にもモテてないわ。」

「いやいや!インスタ見たぞ〜、佐倉と花火大会でイチャイチャしやがって!」


俺はあげた覚えがないのだけれど、どうやら舞衣がインスタで今回の件をアップロードしたようだった。

おいおい、何を上げてるんだろう。俺はインスタ持ってないから尚更気になる。


「まあ、諏訪湖花火は良かったよな。4万発の花火は圧巻だった。あ、龍にもあったな。」

「え、虎ノ門?なんであいつが長野県に?」

「知らん。なんか御坂っていう背の高い彼女が出来てたぞ。」

「まじか!?くぅー!俺なんか合コンの主催とかで忙しかったというのに……。」


いや、それはそれでリア充だと思うんだけどな。

久しぶりの通学路はそんな俺たちの夏休みの話で花を咲かせていた。


少しずつ、また少しずつ周りに同じ制服の人が見えてきて学校という日常が近づくのを示唆するようだった。


そして、陽光を反射する校舎は……これから起こる波乱万丈を静かに物語っていた。

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