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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第11章 僕とヤンデレ彼女と諏訪湖花火
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僕とヤンデレ彼女と諏訪湖花火 14話

※100日チャレンジ50日目

シャララン……


「いらっしゃいませ。」


カフェのドアを開けると女性が迎える。

母ちゃんより少し年上くらいだろうか。


「二人で!」

「2名様ですね、こちらの席いかがでしょうか?」


店内はこじんまりとしていて、テラスに近い席を案内される。

俺は舞衣を奥に座らせて、俺があとから座る。


「お!レディーファースト!直輝くんも大人になったねぇ。」

「そういうもんなのか?」

「そうよ、彼女として誇らしいわ!」


そんな俺らのやり取りを店員さんが笑顔で見ていて少し恥ずかしくなった。

付き合ってはいるものの、改めてこういうやり取りをするのははずかしい。


「さてと……確かアップルパイとサバランだったわね。お願いできますか?」

「かしこまりました、すぐにお持ち致しますね。」

「はい!あ、後アイスコーヒー2つでお願いします。」


そう言って舞衣はすぐに注文をしてくれる。

俺も少し小腹が空いていた。


「あーあ、この旅もあと少しで終わりね〜。学校嫌〜。」

「そうか?俺は久しぶりにみんなに会えるから少し楽しみだったりするぞ。」

「むー、直輝くんは私だけ見てればいいのに〜。」


あんだけ嫌だった学校も、龍とか舞衣……その他にもたくさんの友達が出来たから、結構勉強に打ち込んだこの夏休みが少し寂しくさえ感じた。


人間関係って少し考え方を変えるだけでとても貴重なものだとも捉えるようになった。


とはいえ、来年は受験シーズン……こうも遊んでいられないかもしれない。

だからこそ、今をできるだけ楽しみたいとさえ感じている。


「次は文化祭があるな。」

「うげぇ〜そうだった。じゃあ夏休み終わったら文化祭実行委員とかやるかもじゃん。」

「かもな。」


文化祭実行委員は基本的にみんなからの推薦でなるもんだけど、クラス委員をやっている俺と舞衣は去年も選ばれていた。

なので、夏休みが終わったら俺たちはまたひとつ余計な仕事が増えるのが確定している。


「まあでも……直輝くんと2人っきりになれる口実が増えるか……ふひひ。」


おいおい、またなんか言ってるよ。まあいつも通りだけどさ。



そんなこんなで話してると店員さんがケーキを持ってきた。


アップルパイとサバランである。


「サバランって……なんだっけ?」

「んー、一言で言うとパンにお酒の入ったシロップを吸わせたもの!」

「……うまいのか?それ。」

「全く〜直輝くんはお子ちゃまね!はい、あーん……。」

「ん……あーん。」


この不思議なパンを口に運び、俺は驚愕をした。

パンからは桃の香りとほんのりのアルコール独特の香りを感じる。

シロップを吸ったブリオッシュのようなリッチなパンは口の中でジューシーにとけていった。


その味がクリームと見事に味わいが調和している。


「うまいな、ちょっと俺には難しい味だけど。」

「えへへ、知らないものを食べると勉強になるよね!」


ゆっくりとコーヒーを飲む。

先程の甘みが流されて口の中がスッキリすると同時に心がホッとする感じがする。


「んで、なんの話してたっけ?」

「んー、私が直輝くんともっと一緒にいたいって話だったかな?」

「いや、今も一緒にいるじゃん。」

「もっと一緒にいたいの!24時間365日!」

「どんだけだよ!お互いに疲れちまうわ!」


俺のツッコミに舞衣はあははと笑い満足そうだった。

彼女もたまにからかうのが好きだったりする。


「まあでも、私も色々あるけどね〜。看護学校とか見に行かなきゃだし、メイド喫茶もあるしさ!」

「そういえば……ことねさんだっけ?随分仲良いよね。」

「……直輝くん、私に飽き足らず、瑞希やことねさんにも手を出す気じゃ……!」

「出さねえよ!出したことないし。まあでも……あの人も綺麗な人だよな〜なんというか、クールビューティーでスラッとしてて…………おい、なんで手をチョキにして構えてるんだ?」


舞衣からほんのりと殺気を感じる。


「直輝くん、すぐ他の女の子見るから嫉妬しちゃうよ。」

「すまんすまん!分かった、善処するから目潰しだけはやめてくれ、結構痛そうだから。」

「……そう?」


なんでちょっと残念そうにしてるんだろう。

たまに彼女が分からない。


まあ、そんな感じでいつも通りの感じで俺たちはカフェを出た。

さて、そろそろ帰ろうか。

時刻はお昼すぎ、ここから特急で2時間だから……まあゆっくり帰っても17時くらいには帰れる計算になりそうだ。


俺たちは少し暑さの治まった諏訪市を歩いてから、適当なお土産を用意して最初に来た上諏訪駅に到着をする。


今回は、母ちゃんが喜ぶように生薬の入ったお酒を持っていくことにした。

母ちゃんにはいつまでも元気でいて欲しいしな。


俺は少しだけ舞衣を見る。

すこしこの時間が終わるのが名残惜しそうな感じだった。


「旅行も終わりだな。ほんと……最後に最高の思い出だったよ。」

「あはは、ほんとにね。直輝くんといると本当に時間があっという間に過ぎちゃう。……もっとゆっくり出来ればいいのに。」


デートははじめてじゃない。

付き合いだした頃なんかは江ノ島にも行ったし色んなところにも行った。

でも、旅行で知らないところに二人で行くのはよりお互いに意味のある時間だった。


「また行こう、旅が終わるのは寂しいけどその寂しさは次の旅のための材料になるからね。」

「うん!約束だよ!」

「ああ、神に誓ってもいい。」


夏のなかジリジリと泣く蝉の音に紛れて踏切が一定の感覚の音を鳴らす。

電車が汽笛を鳴らしているのがわかり、最後の電車が近づいていく。


それは、ひと夏の思い出の区切りを指すようでもあった。

俺たちは互いの手を握り、ゆっくりと列車の到着を待つ。


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