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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第11章 僕とヤンデレ彼女と諏訪湖花火
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僕とヤンデレ彼女と諏訪湖花火 13話

※100日チャレンジ49日目

俺たちはホテルをでると、昨日に引き続き身体を刺すような暑さが照りつける。

昨日は歩行者天国で気が付かなかったのだが、普段湖畔まわりは車通りの多いところのようだった。


「さぁて!今日はどこ行こっか、直輝くん!」

「なんというか……舞衣元気だな。」


どこか肌がツヤツヤで元気いっぱいの舞衣と少しやつれてる俺。

というか、シンプルに舞衣の体力がお化けだった。


「もう!情けないな〜、また襲っちゃうぞ〜!」


襲う……という単語で俺は少し昨晩の事を思い出す。

なんというか、男女って本能に身を委ねるとあんな行動しちゃうんだなと思い少し恥ずかしくなってる自分がいた。


「だー!ここいこ、ここ!なんか城あるっぽいし!」

「あはは、直輝くん可愛い〜。」


俺は湖畔より少し陸部に行った高島城という城についた。

とはいえ、大阪城や姫路城にくらべたらこじんまりとした小さな城である。


天守閣以外は無料で、地域の人の憩いの公園のようだった。

木々が茂っていて、芝生が整備されている快適な公園である。


俺たちはそこにあるベンチに腰かけてペットボトルのお茶を飲んでいた。


やっぱり木陰は涼しい、普通の日陰よりもより涼しく感じるから好きだ。

すると、俺の肩に舞衣は心地よさそうに頭を寄せた。


「暑い。」

「んー?私は快適〜。」

「まあ、それならいいんだけど。」


なんというか、あの晩からお互いの距離が近くなった気がする。なんというか、全てをさらけだしたのだから今更何を隠すのだろうか。


そんなことを思いつつ、木漏れ日から心地の良い涼し気な風を浴びる。

お盆が終わり、残暑というものが長野県にはいち早く来ていた。


一般的にはお盆を過ぎれば秋が近づいてくる。

蝉の声も少しだけど少なく感じた。


「あー、落ち着く……直輝くんといると、全てが嘘みたいに落ち着くの。」

「そんなもんか。」

「そんなもんよ!逆に……離れてばかりだと不安でいっぱいになる。」

「すみません、善処します。」

「ほんとに……頼むわね。クンクン……あー、いい匂い。直輝くんの柔軟剤の香りも好き。汗の匂いも好きだけど。」


流してるけどちょっと発言があぶない気がする。

まあ、そういう所も含めて好きなんだけどね。


「さて……んーー、ふう……ちょっと天守閣でも見よーぜ。」

「うん!そうね!」


俺たちは天守閣に登る。

中は博物館になっていて、歴史に関する書籍であったり、遺跡から見つかった火縄銃などが置いてあった。


へー、この城…もともと湖畔に沿って建っている水城だったんだ。それを埋め立てて……というか、あの広い範囲を先人たちは埋め立てることが出来るのかと感心してしまう。

やはり、先人たちは偉大である。


他にもこの諏訪地域が温泉地帯であることなど、様々な記載がありこのさり気なく来た地域に対しても不思議と愛着が湧いてくる。


舞衣は……スマホを見ていた。

誰かとLINEでやり取りをしているようである。


「誰と話してるの?」

「え?千秋よ千秋!」

「千秋って……誰だっけ?」

「え、御坂千秋ちゃんよ!昨日虎ノ門くんといた……。」

「あー!下の名前千秋っていうんだ!というか……いつの間にそんなに仲良くなってたんだな。」


確か2人で一緒に待ってもらって20分くらいで意気投合してるとは思わなかった。

最初はちょっと邪険にしてたような気がしたけど。


「今度ね〜、二人でご飯でも行こうかなって話してるの!あの子カップ麺かレトルトカレーしか食べないみたいだし。」

「結構偏食なんだな、ちょっとわかる気もするけど。」

「あー、千秋ちゃん可愛いから私取られちゃうかもー。」

「棒読みだぞ、第1女同士だろ。女同士って興奮するのか?」

「……ちょっとありかも。」

「うおおおい!?マジなの、そういうもんなの!?」


そういう考えに理解が深い訳では無いのだが、時代なのかと考え込んでしまう。そうか……同性もいけるのか。


「うっそー!私が興奮するのは直輝くんだけだよ。」

「いや、それもなんか恥ずかしいから複雑だよ。」


そんなことを言いながら、俺たちは城の最上部に上がってみる。

城から見た湖畔は絶景そのものだった。


近くから見るのもいいけれど、少しだけ離れて街並みと一緒に見る諏訪湖も眺めが一望できて趣深い。

そして、少し高いところにいると普段よりも強い風が吹き荒れて心地が良かった。


城って不思議である。

景色が高いのも相まって、この土地を支配してるような気分になる。

それでいて、時代ごとに建築の趣がある。

意外と俺は城が好きなのかもしれない。


下を眺めると、すぐ隣にカフェがあった。

それを見てすこし小腹がすいていた。


「……じゅるり。」


ああ、俺じゃなくて舞衣が。

相変わらず食欲は底知れない。

朝も朝食はきちんと取ったはずなのに2時間足らずで彼女はもう空腹だった。


「ねね!直輝くん!あのカフェで休んでかない?今グーグルマップでリサーチしてみたけどアップルパイとサバランがめちゃくちゃ美味しいって書いてあるの!」

「いや、めっちゃ調べるの早いな、さすがZ世代。」

「直輝くん?Z世代は20~25くらいの人達を指していて、私たちは違うらしいよ?」

「え?マジで?」


少し距離が近くなって、少し離れて。

でも、俺たちはいつも通りだった。

楽しかった旅があと少しで終わってしまう。


そんな余韻に浸りつつ、俺たちはゆっくりと残暑の中を歩いていく。

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