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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第11章 僕とヤンデレ彼女と諏訪湖花火
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僕とヤンデレ彼女と諏訪湖花火 11話

※100日チャレンジ47日目

ピュー…ドドーン!


19時から打ち上げられる花火の総数はなんと4万発だそう。

そして、そんな花火は2時間以上かけてゆっくりと放たれます。

せっかくお金をかけて座ったとしても花火ってずっと見てられるかと言うとそういう訳じゃないと思う。


ほら……あれだよあれ、山の頂上だって感動はするけど2時間みてられないじゃないっすか。

というわけで、少し花火に俺たちは飽きてしまっていた。


「いや〜まさか龍がここいにたのは本当にびっくりしたよ。」

「ああ!ほんとだな。俺もまさか長野県の南部から帰り道でこんな花火大会やってるとは思わなかったよ。」

「今日帰るの?」

「ああ、さすがに帰りてえよ。だからもうそろそろおいとましますわ。」


流石にもう宿も取れないのを察してか龍は時計をみて少し考えている。

もう少し話したかったけど、また学校で会えるかもしれない。


「あ、そうだ!みんななんか食いたいものあるか?俺たちで買いに行くよ。」

「え、虎ノ門くん…この席どうするの?」

「あ?ああ、佐倉と御坂で待っててくれないか?まあ20分くらいで戻ると思うから。なおっち、行こーぜ!」


そんな事を言いながら、俺と龍は施設をあとにする。

まあ、俺としてもちょうどいい箸休めになった。


☆☆


私は佐倉舞衣。

直輝くんの彼女であり、普段はメイド喫茶でバイトをしています。


クラスメイトの虎ノ門くんと合流をして、突然できた彼の彼女である御坂ちゃんとお留守番をすることになりました。


結構…複雑です。

あー!もう!もっと直輝くんと一緒にいたいのに…。

少し邪魔されてる気分の方が勝ってるので私の気分は不機嫌そのものでした。


それに対して純白の髪と肌を持つ彼女は足をバタバタさせて楽しんでます。

楽しそう…というより、花火見たことあるのかしら?って思うくらいに釘付けで見ている。


「先輩!ありがとうございます。一時素敵な席に座らせていただいて。」

「べ…別に…まあ、ゆっくりしなさい。」


彼女は身長180という巨大な背丈をしていますけど、中身は歳下の女の子。身の丈にあった楽しみ方をしているそうです。

ちょうどいい、この2人の関係性にはあまりにも謎が多いのだから。



「まさか、虎ノ門くんに彼女ができるなんて驚きね。どこで出会ったの?」

「え?ああ…歩道橋で偶然…。」

「歩道橋?歩道橋でナンパされたとかそんなかんじ?」


少し非現実的だけど、虎ノ門くんは見た目はかっこいいし、人見知りしないのであまり不思議では無い気もするけど。


「いえいえ!自殺しようとしていたら偶然止められたんですよ。」

「ちゃんとヤバい子だった!?」


いけない、自傷をしていた私も流石に自殺はハードルが高いので声を荒らげてしまった。

もう少し話を聞いてみるとしましょ。


「えっと……なんで自殺を?」

「んー、知的好奇心と……アルビノへの生きづらさ故ですかね。結構不便なんですよ、太陽の光を浴びると火傷しますし……将来希望がないなーと思って。」


どうやら彼女にとってはこの美しい容姿も生きづらさしか無かったようだ。

まあ、日光あびれないって相当きついもんね。


「なんというか…色々あったのね。」

「そうなんですよ。飛び降りるのは痛いのが一瞬で済みますからね〜。親は私よりも健常者の妹を愛してるし、私には現実世界に居場所がないなと思ったんですよ。」


少し…わかる気がする。

私も今の父親に血が繋がってないと診断をされてからは一切愛されなくなってしまった。

家にも学校にと居場所がなかったあの頃を思い出す。


きっと…同じ感情だ。

この子は孤独だったんだ、長い間。

誰にも愛されないで、認めて貰えなくて自暴自棄になっていたのかもしれない。


「御坂ちゃん……ヤバいって言ってごめんなさい。あなたの気持ち少し分かるかもしれない。」

「え?先輩もなんかあったんですか?」


彼女の視線が花火から私へと変わる。

表情は少し不思議そうだった。


「ええ、わたしも父親と血が繋がってなくてね。母親と浮気相手の子どもなのよ。それがわかってからは父親は私を愛していない、あなたとは悩みは大きく違うかもだけど……私もあなたに近い感情があったわ。」

「血が…繋がってない…?じゃあ…先輩も家だと居場所がないんですか?」

「ええ、むしろ出張といってほとんど帰ってこないわよ。最低限の生活費だけ渡されてる。目も合わせてくれないわ。」


私の話を聞くと、彼女は少しだけ青ざめていた。

いやいや、死にそうになるあなたに比べたらまだまだ小さな悩みだと言うのに。


「…辛かったですね、私はアルビノはあるけどたまに声はかけてくれるんですよ。それすらもなくて…寂しい…ですよね。」


すると、突然大柄な彼女に抱きしめられる。

大きな彼女の腕が私を包んでいた。


「ちょ、御坂ちゃん!?」

「先輩……これで少しは寂しさ和らぐ…ですか?」


最初は驚いたが彼女の体温は落ち着くようだった。

きっと彼女なりの気遣いなのだろう。

突拍子もない行動だったり、不気味ににヘラと笑うから誤解していたけど、この子は感受性が強くていい子なのだ。顔を見るととても悲しそうな顔をしていた。


「…ありがとう、御坂ちゃん。」


私たちはゆっくりと離れていく。

心臓の鼓動と花火による空気の振動が合わさってなんとも言えない感覚が私の中から込み上げてくる。


「御坂ちゃんにとっては、虎ノ門くんは大切な人なの?」

「は…はい!大好きな彼氏です。私を死なせないって面と向かって宣言して、初めて私のことを綺麗だとか可愛いって言ってくれて。ありのままの私でいいって言ってくれたんですよ。」

「私も…直輝くんが好き、私の事をいつも守ってくれるから。私の全てを受け入れてくれる…そんな彼が好き。」


白の御坂ちゃんと黒の私。

対象的な色をもつ私たちは本質は一緒だった。


「先輩、私の友達になってくれませんか?」

「もちろん、こちらからもおねがいね!みさ……ううん!千秋!」

「じゃあ…舞衣先輩!」


二人で慣れない呼び方に笑ってしまう。


モノクロな私たちが同じ思いで共鳴していくと

花火が見せる夜の万華鏡のような景色は私たちの全く違う心を彩っていくようだった。


「おーい!お待たせ〜。」

「適当に買ってきたぞー!みんなで食おーぜ。」


そんな中、私たちの王子様が夜空の舞踏会の中迎えに来る。


「「はーい!」」


「あ?なんだ、いつの間にか仲良くなってら。」


私の想いは、花火デートの邪魔が入ったという憂鬱な気分から、素敵な出会いをしたというご満悦な気分へと昇華していた。


ああ、なんて素敵な日なのだろう。

私を、取り巻いていた孤独はいつの間にか居なくなっていた。


私は、変わった…変わったのだった。

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