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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第11章 僕とヤンデレ彼女と諏訪湖花火
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俺とヤンデレ彼女と諏訪湖花火 9話

※100日チャレンジ45日目

ボボーン……


そうやって音を鳴らすと船は諏訪湖の中心に向かって進み出す。

太陽は甲板を強く照らし諏訪湖が陽光を乱反射している。

匂いは……湖というものの、少々藻が臭いを出してるのか少し生臭く感じる。


「わぁ〜!諏訪湖最高!」

「そうかい。」


まあ、たしかに綺麗なのだが富士五湖を経験した後だと少々物足りなさを感じる。

ちなみに東の方向には諏訪富士というものが見えるらしいのだが、今日はあいにくそれがどれなのかは分からなかった。


「きゃ〜!ここが君の名はの……!」

「君の名は?あの戦争で知り合う男女の小説?」

「いや、直輝くん……世代的には入れ替わってる映画の方が思いつくと思うんだけど。」


どうやらふたりが認識している君の名はには少々認識の違いがあったようだ。

面白いよ?半年後に会う約束をして再会するのに困難を極めたりとか、ストールを独特な巻き方をして登場人物の名前に沿って「真知子巻き」だなんて流行ったらしいし。


「なるほどな、それで……舞衣の知ってる方の君の名はここが出てるの?」

「うん!フィクション多めだから、隕石でできた湖とかそういう設定はあるけどね。というか直輝くん……本当に見たことないの?」

「ないんだよな〜、あの頃母ちゃんAV女優現役だったから映画を見る概念がなかった。」

「あー…………。」


いや察するなし。


「ねえ、今日は寝る前に君の名はでも見ましょうよ。夜は長いわよ〜!」

「おいおい……まじか。まあいいよ……。」

「……えへへ、口噛み酒ごっこたのしみ。」

「え、口噛み酒?なにそれ?」

「ううん!気にしなくていいの!」


なんだろう、なんか舞衣がまた俺の想像を絶することを考えてそうだ。

た……多分大丈夫だと思うけど、あまり過激なものかお断りしておこう。


そんなことを話していたら遊覧船はもといた位置に引き返していた。

恐らくだけど中心に行ってからその後引き返しているのだろう。


意外と呆気ないものだけど、とはいえ普段水の上にいることも無いし夏の思い出として素晴らしい非日常を体験することが出来た。



さーて、次はどこに行こうか。


「舞衣、次はどこに行こうか。」

「んー……諏訪といえば諏訪大社ね!」

「諏訪大社?」


俺はネットで検索すると、どうやら全国にある諏訪神社の本山がここにあるみたい。


南に上社、北に下社があり俺たちは現在諏訪湖の東部にいるので行くとしたら下社かもしれない。

徐々に歩行者天国も人が溢れてきて、交通量も増えているのでタクシーなども使えそうにない。


さすがは長野県……車社会である。

じゃあルートとしては下社にお参りに行ってからその後花火大会かな。


気がつくと港に着いていて、俺達は船を降りる。


時刻はまだ15時……もう歩くとお祭り騒ぎで売店や人々で賑わっていた。


「へー、こりゃあいい、チョコバナナあるかな。」

「直輝くん……めっちゃチョコバナナ好きね。」

「まあ、美味いしな。」


俺たちは下社を目指し、途中気になったお店があったら買いに行くスタイルにした。

気がついたら俺は片手にチョコバナナ……舞衣は唐揚げを持って歩いていた。


完全にお祭りモードである。

それにしても諏訪湖花火は道路交通規制が毎年来るぐらい人々で賑わうと聞いていたがどうやらあながち間違いでもないみたいだった。


人混みをぬけて俺たちはゆっくりと歩くと、巨大な神社の諏訪大社があった。

俺たちは赤い門の前で一礼をした後に見てみると歴史ある風景に言葉を失っていた。


すごい、神社には詳しくないけどしめ縄が人3人分くらいの太さで見事に巻かれている。

石畳を上り歩いていくと木々の涼しさと、神社の神秘的な雰囲気も相まっていてこれだけでも来る価値があるものだと実感する。


すると、舞衣は気がついたら手帳を巫女さんに渡して戻ってきた。


「あれ、どうしたの?」

「えへへ、御朱印帳お願いしてきたの!」

「用意がいいね。」

「えへへ〜私にかかればなんでも用意してるわよ!例えば直輝くんが気分悪くなった時用にロキソニンとか、他にもスタンガンとか婚姻届とか検査キット、なんでもあるわよ!」

「いやいや!後半のものおかしくない!?旅行には絶対使わないものでしょ。」


この子その気になったら入籍する気だよ。

いやいや、俺たちはまだ高校生だから早いと思うんだけどな。


俺たちはやっとのことで神社の最奥部に到着をする。

鐘と賽銭箱があるのでいかにも神社って感じだ。


えーっと……五円玉はどれかな……。

意外と五円玉って欲しい時に無くて、要らない時に財布に溢れかえることってあるよね。


「はい!直輝くん五円玉!」


俺が既に持ってないことを把握してるのか舞衣は笑顔で五円玉を差し出す。

何だこのクズ男製造機……なんでもござれだな。


「あ……ありがとう。」


とはいえ、後ろにも人が並んでいたので素直に受け取り、お賽銭を入れて鐘を鳴らしお参りする。

願い事は……家内安全、健康第一、学問成就……ちょっと五円玉だけだとお願いし過ぎかな?


「縁結び縁結び縁結び。」


どうやら隣の人の方が願いが重めのようだった。


お参りを終えて俺達は木々や、池……石畳の歴史ある神社の風景を見てちょっとした散歩を楽しむ。


「直輝くんは神様に何お願いしたの?」

「あー、家内安全、健康第一、学問成就かな。」

「いや、物欲なさすぎでしょ。私はなんだと思う?」

「めっちゃ縁結びって言ってたやん。」

「いやーん!聞かれてた。恥ずかしいよー。」


ガッツリ周りの人にも聞こえててドン引きされてましたよ姉さん。


「子どもの数だけでラグビーチーム作りたい。」

「15!?いやいや、もっと母体を労わってよ!」

「大丈夫よ!ビッグマムは85人もいるもの!」


いや、ワンピースの四皇の化け物と比較されましても。

そもそも15人も子供って埋めるものなの?

っていかん!まだ俺たちは学問優先だからそんなことは考えては行けません!


「もう!直輝くんは固いな〜。」

「いや、舞衣が柔軟性の高すぎる思考をしてるだけじゃ……。」

「まあいいわ、直輝くんも大学に行きたいし私も看護師になりたいから学業優先ね!あ、御朱印帳貰ってこなきゃ。」


そうやって舞衣はさっきのところに行く。

あ、そっか……舞衣看護師になりたいんだったな。

きっとこれだけのバイタリティをもっているから素晴らしい看護師になるだろう。


夢がはっきりしてる彼女に対して何となく大学に行きたいという俺は少し劣等感に近いものを感じた。

彼女は真っ直ぐ走ってるから迷いがないのだ。


そんなことを考えてると、舞衣が不思議そうにこちらを眺めていた。


「……どうしたの?」

「ああ、いや……舞衣に比べたら俺ってやりたいことぼんやりしてるなって思って……。もう高校2年生だと言うのにフラフラしてて大丈夫なのかなって不安になった。」


すると、舞衣は驚いた顔をするとニコニコと微笑んで話してくれた。


「大丈夫よ!私はたまたま看護師さんに助けて貰ってこの人みたいになりたいなってきっかけを貰っただけで直輝くんはまだそれがないだけだよ。」


「そうかな、母ちゃんだって俺の歳の頃には産む覚悟をしてたくさん仕事してたみたいだったし、なんか不安になってきたよ。」


「でも今直輝くんは自分を変えようと勉強頑張ったり、みんなと触れ合えている……去年の直輝くんだったら想像もできない事ばかりだったじゃない。心配する必要ないわよ、私たちはまだ人生の5分の1も生きてる訳じゃないんだからじっくり考えてもいいわよ!」


そうやって……俺の手を引いて夕焼けに染まる舞衣に心がキュンとする。


ああ、そうか……この子はいつも過激だけど本当によく見てくれている。

確かに俺は寄り道ばかりだけど、確かに進んでいる。

だからこその大学勉強だ。

その先でやりたいことを見つければそれでいいのだ。


「舞衣……いつもありがとう。俺は舞衣みたいな彼女が出来て本当に幸せだよ。」


そう言うと、舞衣は顔が赤面してそっぽを向いてしまった。


「……今、顔見れない。」

「あはは、堂々と子作りとかは言えるのに。」

「そ……それとこれとは別……!私も直輝くん……好きだし。」


俺も舞衣も心拍数が上がり少し気まずくなるのを感じる。


しかし、そんな俺を舞衣が神社の出口へと手を引いてくれる。


「行きましょ!花火大会!」


そうやって舞衣が微笑む。

夕焼けなのか、赤面しているのか少し赤く染まった舞衣の姿は改めて俺の最高の彼女なのだと実感をさせてくれるようだった。


若い男女が神社を後にし、また湖に進む。

湖は少しずつ太陽の光を遮られ……ゆっくりと闇に紛れるようになった。

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