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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第9章 俺と母ちゃんの富士五湖修行
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俺と母ちゃんの富士五湖修行 2話

※100日チャレンジ9日目

俺と母ちゃんは、高速に乗って山梨に向かう。


大まかに東京から行くルートだとふたつある、神奈川に行ってから静岡に行って御殿場から北上して一気に富士五湖に行くルートか、八王子から一気に行くルートだった。


そして、車の中では冒険というプレイリストのせいか、「魔女の宅急便」で流れるルージュの伝言が流れていた。

子気味良いリズムが、これから何か楽しいことを示唆するようにウキウキとしたメロディだった。


特に、イントロのジャズ風のピアノがとてもたのしくて俺も歌い出したくなる


「あーのーひとーのママに会うためにー!あのーひとのー列車に乗ったのー♪」

「まて、母ちゃん早速歌詞を間違えてるぞ。あの人は列車保有してるんか!?超富豪じゃねえか。」

「…………なるほど、列車の保有か〜アリね。」

「え、嘘だよな?母ちゃん。」

「なーんてね!流石に母ちゃんもそこまでは金ないわよ!車だって日本車が精一杯!」


母ちゃんが言うとマジで現実になりそうで怖い。

資産いくら保有してるのか分からないけど。


「そういえば、母ちゃん富士五湖って何があるか知ってるの?」

「…………。」

「おい、母ちゃん。なんで黙るんだ?」

「あ、談合坂サービスエリアって結構人気みたい!休んでく?」

「ちょっと待て、なんで話逸らすんだ?……もしかして、富士五湖って単語しか知らないってことは無いよな?」

「…………てへ。」

「てへ、じゃねえよ!おいおい聞いたことねえよ!目的地すらきめてないも同然じゃねえか!」



母ちゃんはこうやってたまにめちゃくちゃ抜けている時がある。

エネルギーはあるのだけれど、どこか無鉄砲なところが危なっかしい。


たまたまAV女優という道で成功してたけど、一歩間違えたら相当大変だったと思う。

俺はたまたま彩奈に貸してもらった漫画や、四尾連湖でキャンプした時に知ったので何とか頭に入っていた。


「あのな、母ちゃんよ。富士五湖っていうのはな?

本栖湖、精進湖、西湖、河口湖、山中湖の5つの湖から成るものが富士五湖っていうんだ。」

「さすが私の息子、物知り!背中は任せたわ。」

「いや、生殺与奪を他人に握らせるなよ!」


本当に30数年間どうやって生きてきたのだろう。

母ちゃんは最強と危なっかしさが共存している歪な存在だ。

きっと、その歪さこそが唯一無二の存在になるキーだったのかもしれないけど。


「ちなみに今八王子だけど、どこから行くのが良さそう?」


俺はGoogleマップと富士五湖の位置を照らし合わせて、無理に高速のコストを考えない程度にルートを考えた。


んー、どうやら西から東へ行くルートが一般的らしい。

バスや車だが一般的でそのルートの方が帰るのも楽である。

母ちゃんの運転する体力も考えると負担がでかいので

最初に本栖湖、次に精進湖というルートがいいのかもしれない。


「母ちゃん、そしたら甲府南インターチェンジまで進んでそこから南下していこう。体力面もきついから、今日は精進湖という湖にホテルがあるからそこで宿泊して無理なく行こう。」

「さっすが私の息子!了解!」


母ちゃんは明るく返事をする。

いつも母ちゃんは明朗快活である。

コミュニケーションが明るいので、普段の俺のくらい性格も明るくなっていった。


高速での移動はそんな感じで進んでいく。

その間に俺はホテルに電話をして空きがあるか確認することにした。

電話であんまり予約とったことないけど、多分できる気がした。


プルルル……


「はい!レイクホテルです!」

「すみません、本日予約をしたいのですが空きはございますか?」


まず、要件を簡潔に言う……これが電話の大事なポイントらしい。ちょっと心拍数が緊張で上がる。


「はい!空いてますよ!何名様ですか?」

「2人です。ツインベッドだと助かります。」

「ツインですね!……えー、ちょうど空きがありました!それでは予約をお取りしますね!名前をお伺いします。」

「天野直輝です!」

「天野様ですね!電話番号は現在かけてる番号でよろしいですか?」

「はい!それで大丈夫です!」

「承知しました。それでは本日お待ちしております!」

「ありがとうございます、失礼致します。」


ツー……ツー……。


予約が取れたみたいだ。

俺も案外コミュニケーション取れるもんだと小さな成長を実感する。

意外とこうやって人は社会に順応していくのだろう。


「さっすがうちの息子!」

「まあ、母ちゃんの息子だからね。」

「どこにしたの?」

「レイクホテル浅ノ湖。」

「ええ!?まって、そこ知ってる!」


母ちゃんが驚いて、少しハンドルが乱れる。

ちょっとクラっとしたが嬉しそうな母ちゃんをみるとそこを突っ込まず冷静に聞く姿勢を貫いた。


「……知ってるの?」

「知ってるも何も、この前サブスクのドラマ観てたんだけどね!そこの舞台になってたとこだったのよ!私いつかそこも行きたいな〜ってまがりせんべい食べながら思ってたら、思いがけないところで夢が叶っちゃった!」


どうやらドラマの舞台らしい。

彩奈といい、好きな物の聖地にいくと人はこれ以上にない喜びを見せる。

これも旅の醍醐味なのかもしれない。


「じゃあ、私今日は温泉も楽しめるわ〜。」

「そういえば、そのドラマどんな話なの?」

「うーん……宇宙人とか未来人とか超能力者が出る話!」


あまりにも断片的すぎてドラマのイメージが湧くどころか、別のものが浮かんでしまった。


「え、母ちゃん……涼宮ハルヒでも見てたの?」

「え、ハルヒ?何それ?」


どうやらアニオタとドラマオタには決して分かり合えない次元の壁があるようだった。

いや、宇宙人未来人超能力者ってそのドラマ知らないとハルヒでしかないでしょ。


まあそんなツッコミを覚えていたら談合坂サービスエリアまで付いていた。

ここは、大きな商業施設のようなサービスエリアなので、中央道高速道路の人気の休憩スポットとなっていた。


「ひとまず、ここで何か食べて考えましょ!」

「そうだな。2時間近く運転したし、適度な休憩は大事だよ。」


そうして、俺たちは高速道路を左のレーンに入りサービスエリアに向かっていく。



ゆっくりと速さが減速しカーブされて、俺たちはゆっくりとリラックスモードに入っていく。


さあ、ランチの時間である。

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