そうだ!王国を作ろう!
俺は光に包まれて気を失い、そして目を覚ますと俺の目の前には幻想的な世界が広がっていた。
ここが….俺の….第2の人生の舞台か!!簡単にどんな感じか説明すると、本当にファンタジーの世界、中世ヨーロッパみたいである。
俺は力がみなぎってきて拳に力が入る。そして自分の拳を見ると転生したというのもあって若返っている!カップラーメンの塩分とアルコールによって破壊された腎臓と肝臓もこれで元通りってわけだ!!
「よっしゃわー燃えて来たぞーー!」
新しい世界に新しい肉体、俺は前世でもありとあらゆる縛りから解放されて今!やる気に満ち満ちている!
「なにやろっかなー!」
俺は地面にあぐらをかいて座り、顎に指を持って来て真剣に考えた。
第2の人生でしかも俺はこの魔法道具に加護を持っている!それに、魔法は習得が難しいって俺無双できるじゃん!
いや待てよ….せっかく異世界に転生して、争いごとのない真っ白な状態になったのに無双してどうすんだよ….
どうせなら平和に….でも何か歴史に名が残るようなおっきいことしたいな!
そこで俺は頭を数十回転させて良いことを思いついた。
ここは中世ヨーロッパくらいなんだろ?ていうことはまだ、国がどうたらって成り切ってないはずだ!
じゃあ、俺が自分で土地を切り開いて俺の国を作ろう!
「名付けてヤマダ王国ってな!」
俺は立ち上がって早速王国を作る為に地面に線を引いて矮小な国境を作ろうとしたところ、声が聞こえて来てびっくりした。
《まずは飲み水を確保しろ》
「わー!びっくりしたーー!!」
そう、喋るシャベルが突然喋ったのであった。たしか、第2の人生のアドバイスもしてくれるって言ってたな。
と言うことはコイツは将来、俺の側近になるというわけか!まあ、確かに飲み水の確保は大切だ。人間は水がなければ数日と持たず、逆に水があれば1週間は生きれると。
さっきみたいに無闇矢鱈に走り回るのはよくないな。特に今は異世界に来てすぐ。今が最も危険だ。
いや待てよ….わざわざ探しに行かなくても魔法で水を出せばいいじゃん!
ポチャーーン……
「水ーー!水ーー……?」
しかし、数的数的しか水が垂れてこないのである。おかしいな魔法でもっと出てくると思ったんだが......
《さっき、炎や水を少し出せるくらいにしか魔法の力が与えられていないって言われたばっかりだゾ》
おっ…そ、そうだった….まさか、未来の王様がこんなおやじギャグに2回も不覚を取られてしまうとは….
でもそれじゃあ結構ピンチじゃね?魔法で水を出すことができねえなら、どうやって水を確保すりゃあ、いいんだ?
《耳を澄ませ。次第に川の音が聞こえてくるハズだ》
俺はそう言われるがまま目を瞑り、集中して耳を澄ませた。
すると、チョロチョロと夜間尿の時に出るしょんべんみたいな水の音が微かに聞こえてきた。
「あっちか!」
俺はその音が聞こえてくる方向に向かって駆けて行った。そして、走っているときに気がついたがなんだか俺、速くねえか?
「おいシャベル、今の俺なんだか早くねーか?これも魔法のせいなのか?」
《そうだ。今のお前は魔法により身体機能が向上している。後数日もすれば今よりももっと早く走れるようになるだろう》
すげ〜な本当に!魔法とか加護とかってよ!
そうして走れば走るほど、川の音が大きくなっていき俺は目的の川まで到着した。
ザーーー ザーーー ザーーー
透き通るように美しい水と周りに生える植物だったらが調和してていかにもファンタジー!幻想的すぎる!
そして俺はこの川の比較的浅瀬まで向かって川に入り、手のひらに水を溜めて豪快に飲んだ。
ゴクゴクゴク
「ぷっはぁ〜〜〜!サイコー!」
水を飲むだけだというのになんだろうこの満足感は…. !パンイチで酒飲みながらミミガーを食べていたあの時よりも幸せだ!
すると俺の目の前にアユ?か知らないが、何匹か魚の群れが泳いでいるのを見つける。
あれ、捕まえて塩焼きにして食いてえ〜!いや、塩はないから普通の焼き魚でいいか。それにしても、焚火で焼いたらさぞかしうめえよな〜….
俺はその魚を捕まえられずにいることにもどかしさを感じていた。自分の影にすらびっくりして逃げる魚をどうやって素手で捕まえればいいんだ….そう俺が思い悩んでいると、側近が呟いた。
《オイラはモリにも変身できるゾ。オイラを使って魚を捕まえればいいのに…...》
そっ…そうか!そういえばコイツは万能な魔法道具って言ってたもんな!
「じゃあ、モリに変形しろ!」
俺はシャベルを握ってモリになれと唱えると、グニャグニャと色と形を変えていき次第に本当にモリへと変形した。
シャキーーーン
「お、おお......ポセイドンが持ってそう......!!」
モリの完成である。これで魚を捕まえやすくなったぞー!俺は早速素潜りしてみるとここで嬉しい誤算があった。
ブクブクブク
はっ!?目を開けてられる!めっちゃ綺麗に見えるぞーー!なんと、身体強化されているおかげで水の中でも普通に物が見えるのであった。
それにスイスイ泳げる〜〜〜!結構苦戦すると思ってたけど、こんなところにまで魔法の効果で助けられるなんて!
ズグッ ズグッ ズグッ ・・・
俺は5、6匹魚を捕まえた。まあこんなに多くは余計だったかもしれないが大いに越したことはないだろう。
そして俺は川の外に出た。もちろん、体が濡れているので異世界転載したときに着ていた服をこのまま着るわけにはいかない。体が乾いてから着ることにする。
学校のプールの授業中あるあるだが、プールの中よりもプールから上がった時のほうが寒い現象….
この川でも同じことが起こると思っていたが、予想外にもそうはならなかった。これも魔法のおかげか!体がポカポカして裸でも普通に過ごせる!
でも、恥ずかしいから取り敢えず大きめの葉っぱでアソコは隠しておこ!
ガサガサガサ
「よし!かんせーーい!さっそく、じゃあ焚火でもする枝やら木くずやら集めますか〜」
そう言って俺は、川の近くを物色した。なるだけ水に濡れていないものを選んだ。そっちの方が絶対に燃えやすい。そうに決まっているんだ。
すると俺は固い岩に足を取られてすってんころりんしてしまったのである。
「あっ、あ、あーー!」
ドンッ!
魔法で身体が強化されているからそこまで痛くなかったが危ない危ない......今のでまた死んでたらさっきの死神様に申し訳ない......
しかし、その岩は岩というより滑らかな形をしていたのであった。何だこの岩は......そして俺はそれを持ってみるとこれは間違いない!
「卵!?それにこんなにおっきい!!おいシャベル、この卵って何の卵か知ってるか?」
《それはドラゴンの卵だ。かなりの珍味らしいゾ》
「どっ!ドラゴンの卵だと!」
まあ確かにこんだけ大きいとドラゴン中に入ってそうだな......でも、なんだかこれ割って食べるのも申し訳ねえな。よし!できるか分からないけどこいつをふ化させよう!ドラゴンをペットにするゾ~!
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「ふーーー!魚もいっぱいいるし、焚き火の材料も手に入った!それにドラゴンの卵まで手に入れた!あとはなんかいい感じの野宿に使えそうな場所はねーかなー?」
そう言って俺は、キョロキョロと周りを見渡していると何やらいい感じのサイズの洞穴を見つけた。
「ラッキーーーー!!!マジでついてるわ洞穴とか!」
ここなら雨風を凌げるし、獣みたいな奴もそう簡単に入ってからねーべ!
ということで俺はその洞穴の中に入り、一晩をここで過ごすことにした。