やっぱりチートのようでしたー4
「…………う…うん…?」
「アレイ!」
アレイが目覚めると、心配そうに覗き込むフェルの顔があった。
「フェル……?」
進む馬車の中で寝かされていたようだ。
「良かった……!急に気を失って……!」
「ごめんね。心配かけて……」
「おおっ!目が覚めたか!良かった!」
アレイ達の声に御者も気付いたようだ。
「何ともない?具合悪いとこない?!」
「う、うん。多分大丈夫。」
とは言ったものの、やけ酒での前世があるので異常がないかそっとステータスを確認した。
アレイ=ホープス level 001++++
「―――っっ?!」
思わず大声が出そうになったのを無理やり押さえる。
『+《プラス》が増えてる?!てか!レベルアップしたの?!』
気を失ったのはレベルアップの反動だったらしい。
どうやらレベルアップ直前で転生されたようだった。
『ま、まぁ。暫くはレベルアップなんてしないでしょ。…多分。』
深く深呼吸して、
「休んだからもう大丈夫よ。」
安心してもらえるようニッコリと笑ってみせた。
「でも魔法使った時の事もあるし、心配だよ。」
やはりというかフェルの表情はすぐれなかった。
「ハハハ!どうやらアンタとんでもない力があるかもしれないな!」
会話を聞いていた御者がチラリと目配せた。
「もしかしたら勇者になれるかもな!」
ハハハ!と豪快に笑う御者に
「いやいや、そんな大層な…」
アレイは苦笑いでしかない。
「アレイ、勇者になっても私の事忘れないでね?」
「フェルまで!っーか、変なフラグ立てないで!!」
勇者とか冗談じゃない!16歳になったんだもん。お母さんの言う通り、身の回り位守れたら良いし、平和に暮らすんだ!
「ハハハ、それだけ元気があれば大丈夫だ。もう直ぐ街に入るから、そこであと二人乗せて次はいよいよ王都だ!」
そういえば乗り合いだった。
「アレイ、私も強くなりたいから色々教えてね?」
「教えるだなんてそんな…でも一緒に勉強していけたら嬉しいな。」
「うん!一緒に頑張ろうね!」
改めて手を取り笑い合った。
「さぁ!街に着くぞ!」
「「あっ!!」」
街道に、同じ制服の男の子が二人手を振って待っていた。