やっぱりチートのようでしたー2
「そろそろ行こうか?」
朝になり、テントの外から御者が声を掛けてきた。
アレイとフェルは疲れていたのだろう、初めての野営でもぐっすりと眠れたようだった。
「ハハハ、タオルを出しな。濡らしてやるから顔を洗いな。」
固く絞って顔を拭い、手足をよく拭く。
それだけでも随分さっぱりした。
テントを傭兵達と片付け、
「さぁ、行くか!」
再び王都へと走り出した。
天候良く、道中はすこぶる順調だった。
昼頃、一休みと食事を取るため開けた場所に馬車を停めた。
アレイとフェルは夕べのパンをまた焚き火で温め直して食べたが、傭兵達はおそらく保存の為塩漬けにでもしていた肉を焼きだして、そこらに香ばしい匂いがたちだした。
「「いい匂い~。」」
「嬢ちゃん達も食べるかい?」
わーい♪
なんて言い、いただこうとしたその時。
『ヴォォォ!!!』
匂いにでも釣られただろうか、大型の狼型の魔物が現れた。
その数5頭。あっという間に囲まれてしまった。
「嬢ちゃん達!馬車に隠れろ!」
傭兵の一人が叫んだが、四方を囲まれてはどうやっても馬車まですんなり行けそうにもなさそうだ。
うん、足止め位して後は傭兵さん達に頑張ってもらおう。
それが彼らの仕事だし。
アレイがそう考えを巡らせていると、
『ガァァァ!!』
一斉に魔物が向かってきた。
「風よ切り裂け。」
そうアレイが軽く手を挙げ呟くと、
ゴォォォォ!―――
小さめの竜巻が幾つも発生し、魔物達を切り裂き高く舞い上がり地面に叩き付けた。
「なっ!なんだ?!」
魔物は足止めどころか、ズタズタになって討伐されてしまった。
「ア…アレイ?」
「あ、あはは、は…、」
軽くかまいたちを起こして、威嚇と少量のダメージでも、なんて感覚で、弱めの魔法を使ったつもりなのだ。
やっぱりというかチートにも過ぎる。もはや笑うしかない。
「あー……必死だったから、何かまぐれ炸裂しちゃたみたいだね?」
「え、まぐれ?」
「そ、そう!まぐれ!!全くのまぐれ!」
「いやぁ、流石ジャスニクスの生徒さんだな!」
「学園でも十分やっていけるよ!」
アレイが何とか苦笑いで「どうも、」と返すと。
「とにかく、ここを離れよう!血の匂いで他の魔物が寄って来るかも知れない!」
御者が馬上で急かした。
だったら、肉焼くなよ。と思ったが、
「行こう、フェル!」
ここは有りがたく切り上げさせて先を急いだ。