第1話 アルビノ少女
どうもつちのこと申します。第3作になるこちらの小説ですが、当然の如く、百合要素があります。えぇ。作者も楽しみでたまりません。
えー、何が言いたいのかと言いますと...どうぞこの作品をよろしくお願いします。
薄暗い部屋の中、ある1人のアルビノ少女がパソコンから流れる音声を聞いていた。
『今回は最近石油を掘り当てたクルーシア国国王アレキサンドロス四世だ。いつも通りこちらで手足は用意しておく。詳しい情報や構造図もこのファイルに入っている。期間は1週間。頼んだぞ。』
「...。」
──プツッ...
手紙に入っていたUSBを改造したパソコンに差し込み、詳しい情報を取得。その後、ダミー諸共USBを破壊する。
ボスが送ってくれた城の構造図はもう頭の中に入っている。あとは、付近の家から狙えるところを探すだけだ。
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今回の仕事の協力者の車に乗り、空港に向けて出発した。
「今日はよろしくお願いします純白の死神さん。」
「ん。」
車には、パッと見冴えないような感じの男が運転席に座っていた。この男が今回の仕事の足となる人だ。
「確か...海外旅行で最近話題になっているクルーシア国に来たシングルファーザーと娘という設定でしたよね。」
「...。」
「父親は任せてくださいよ!これでも中学の頃は──」
「──秀明中学校、現:秀明大学付属中学校出身近藤智也24歳血液型はA型。中学1年生から演劇部に所属。その後、高校2年生で賞を受賞。現在は岩手にある実家で両親、そして妻と子供2人の合計6人と自身の職を次期社長と偽りながら生活中。」
「...おっと。そ、そこまでご存知でしたか...。」
「相手のことを調べるのは一般常識。」
「(そんな訳ないでしょう...。やはり、ボスから聞いていた通り、この方は普通ではないようだ。まぁ...だからといって気をつけようとか言ったところで私の私生活はバレちゃってるから気をつけようがないんだよねぇ...たはは...。)」
「...ふぅ。到着しましたよ悠里。」
「...えぇ。」
空港に着いた私は真っ白な髪を隠すように黒いパーカーのフードを被り、隣にいる佐藤正樹と手を繋ぐ。大人になったら1人で海外に行けるんだろうけど、今はまだ15歳。親役の人がいないと海外に行けないのは仕事の都合上不便だ。早く大人になりたいものだ。...まぁ15歳だけど、あまり成長しないからいつも小学生ぐらいに間違われる。...セノ○ック買おうかな。
「ん?どうかしまし──いや、どうした?」
「んーん。何でもー。」
「かわっ...!ごほんっ...!そ、そうか。じゃあ予約はしてあるからな。行くぞー。」
「うん!」
ここはもう公共の場だ。いつ誰がこちらを見ているか分からない。...いや、分かるんだけど念には念をね。毎回飛行機に乗る時皆こっちを見てくるんだけど、何でだろう...?もしかしたら私はまだ怪しいと思われるような行動を取っているのか...?これは後で調査だな。
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「──では、旅行楽しんでいってくださいね!」
「うん!ありがと!」
「はい。ありがとうございます。」
10年近くやっている無邪気な子供の演技未だに慣れない。やはり無邪気なという点が私に合っていないのだろう。
そんな無駄なことを考えながら私たちは飛行機に乗った。
「楽しみだな。」
「...うん!」
おっと危ない危ない。演技を忘れるところだった。
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今回のターゲットはクルーシア国国王アレキサンドロス四世。彼は歴代の国王の顔に泥を塗るような愚王だ。歴代の国王は環境問題について真面目に対策を考えていたのにも関わらず、今代の四世は馬鹿なことに、石油を見つけるため、そこらじゅうを掘りまくったのだ。これには世界の政治的指導者達も激怒。ボスは依頼主のことは何一つとして教えてくれなかったが、私の調査では、サウジアラビアのとある人物からの依頼だと分かっている。...まぁ知ったところで何かするわけでもないけどね。それでも依頼があれば別だけど。
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「やっとついたな〜!」
「そうだね!」
偽りの笑顔を顔に貼り付け、普通の家族を演じる。
日本から約10時間。ようやく目的地であるクルーシア国に到着した。期間は1週間。とりあえず、城近辺の建物の情報からだな。