ネット通販代行
煙草屋など、コンビニより小さい面積の店舗を用いる。
人通りの多いところ。多くの老人が住む老朽化団地の中心。
店舗に在庫はない。かなり大きなモニターディスプレイとパソコン、大型の冷蔵庫・冷凍庫があるだけ。
自分ではインターネットができない老人などが店に来て、ネット通販サイトの画面を見ながら店員の操作に指示を入れる。
店には、「インターネットには巨大なスーパー、巨大な本屋、巨大なホームセンターがありますよ。ここがその出店です」とある。
客に指示された商品を、店員は素早く最安値を探し、注文する。
送り先は客の住所であることもあるし、この小さい店舗で預かることもある。
通販サイト、その提携運送業者から見れば、店舗受け取りなら再配達のコストがかからないので割引する価値もある。
本当にインターネットを使えない老人は多いのだ。
その老人こそ、足腰が弱っているのだから宅配されるネット通販を必要としているのに。
卵を買うのにタクシーを呼ぶなどしたら年金がいくらあっても足りるものではない。
もう一つの業態は、スマホとモニターとなるタブレットの組を持って自動車で呼ばれた家庭を訪れ、玄関先で操作する。
この場合には当然、購入した商品は通常配送で注文した家に着く。
あるいは、ちょっとした調べ物を手伝ってやることもある。車にはインクジェットプリンタもあり、短時間でできる物なら写真のプリントアウトも有料でする。
さらに単純化して、この形にも……
一枚一枚のページが分厚い、幼児用の絵本のようなカタログが半年おきに、契約した老人世帯に届く。
絵本には、人が暮らすのに必要な商品の写真が図鑑のように並んでいる。後半には、水道や給湯器の修理など生活するうえで必要な訪問サービスもある。
写真を直接押し、カタログを閉じると、電話が鳴る。合計価格を言ってくるので了承すると、銀行口座から直接引き落とされ商品が届く。
スーパーで食料をいくつか買うように。
厚い紙そのものの中に電子回路がある。
極限まで操作を単純化した通販。
むしろ、ネットやテレビ以前から、この業態があってもおかしくなかった。
小さい店舗にいくつも通販用カタログを置いてある店。実物なし。
そこに行って注文し、半金を渡して数日待てば商品が届いている。商品を受け取ってもう半金払う。
注文したまま消えたら半金で処理される。
宅配便もそのタイプの店が受け取り預かるようにすれば、不在者票・再送の手間はかからなかった。