個人音楽鑑賞カフェ
「ハーメルン」で一時発表、削除したものです。
これも、このコロナ時代では不可能でしょう。
大型家電量販店に大量にできた試聴販売コーナーも吹っ飛んだのでしょうね。
それ自体が、ヘッドホンの大きな売り上げでもあった、メーカー負担でも生産数を増やして工場・素材を通じて経済にプラスになっていたでしょうに。
そのチェーン店はレンタルビデオ、特にCDが充実した店の近くに店を出す。
やや大きめの食堂だった店を改装していることが多い。
いくつかの、トイレの個室よりやや狭いほどの個室がある。
それ以外はカウンターだが仕切りがあり、ゆったりできる椅子がある。
CD、あるいはUSBメモリやMicroSDカードなどを持ってきて、音楽を聴く店だ。
100分で一定額。機材のランクによってやや席料が違う。
近くのレンタルビデオ店でCDを借りてきて聞いて返して帰る、それがいちばん手軽な利用法だ。
もちろん、席ごとに機材が異なる。大きい電器店の試聴コーナーで、自分のスマホからつないで試聴するにも似ているが、CDアルバム一枚丸々くつろげる。
カウンターに行けば、コーヒー・三角パック紅茶・三角パック緑茶・ハーブティーはおかわり自由。最初に二杯持って行くのを勧められている。
雑音を出さないよう、電熱器でやかんを加熱している。電子ケトルのスイッチ動作音も、電気ポットのポンプ音さえ許さない。
菓子類はない。
冷暖房は完備しているが、表面を薄板でごまかした発泡スチロール板で覆い、スリットから空気を出し入れするほど雑音を出さないことに注力している。
個室は、ヘッドホンだけで20万円を超える各メーカーフラグシップ級のオープンエアが中心。ソニ社、オー社、ゼン社、スタ社など。
音漏れが激しく、外の音も聞こえるので音を遮断する個室を用意しているのだ。見た目は簡素だが、壁や扉の中に段ボールや発泡スチロールを使って防音はしっかりしている。
アンプも10万以上、しかもバランス接続。
静電型ヘッドホンや人気フラグシップ機の席は予約待ちだ。
USBメモリも使えるCDプレイヤーが入っている。またCD同等音質の衛星ラジオ機材もある。
カウンターはそれほど高価なヘッドホンではない。ヘッドホンは2~6万円程度、アンプも5万円ぐらい。バランス接続ができるものはリケーブルしている。大きいヘッドホンはすべて密閉型だ……別の客に音が漏れないよう、外の音が入らないよう。
音楽は小ぶりのSSD・ファンレスノートパソコンからUSB-DAC内蔵ヘッドホンアンプで聞く。
CDをパソコンに読ませてから聞くわけだ。そのやりかたは、頼めば店員が教えてくれる。
客が席を立ったら、データは消す。
インターネットにつながっているので、ネットラジオや動画投稿サイトの音楽も聞ける。
どの席も、標準は100分。CDは84分だが、準備時間なども考えてのことだ。特にリッピング。
個室も二重ガラス窓があって腰のあたりが外から見えるようになっており、自慰行為は絶対に禁止。そういうDVD鑑賞店とは徹底的に差別化している。睡眠や食事も禁止。
店に入った時点で、最初に入店する人は説明を受ける。会員証を見せれば略せる。
特に、清潔には気を遣っている。
カナル式のイヤホンがある席では、100円ショップ水準のイヤピースを使い捨てで渡される。また客を案内する前後で、筐体や耳に触れるケーブルをアルコールウェットティッシュで消毒してくれる。
普通の大きいヘッドホンを耳につけるときは、中に穴が開いたキッチンペーパーを使うように言われる。頭に触れる部分にもすべて、キッチンペーパー。
店の会員証と紐づけられる、自分専用のイヤピースを預けておくこともできる。
ある程度以上大きい電器店では、MP3プレイヤーやスマホの普及以来無料で試聴できる機材が充実している。
だが、ゆっくりくつろいでCD丸一枚分、というのはさすがに店に迷惑だし、一時間立ちっぱなしもきつい。
ここでは有料だがゆっくりと。それがこの商売のニッチ。
老人が安価に、長い時間じっくり楽しむにも向いている。
もちろん、電器店と同じように「試聴」の面もある。だから機材は同じように調達できている。