ここに居る奴全員バカ
本日の天気は曇り。風向きは良好。メンタルは前向き。
絶好の自殺日和。
父さん母さん、先立つ不幸をお許しください。
僕、自殺して異世界転生をしようと思います。
ちょっと待ってちょっと待って、何言ってるんだコイツってきっと思うでしょう。
自分たちがあまりにも厳しい教育をしてしまったからこの子が変な子になってしまったんじゃないかしらとかそう思っているかもしれません。
大丈夫です。僕は元から変な子です。貴方たちの間から生まれなくても僕は変な子です。
本を読むことが好きな気弱な生徒でした。
陽キャが嫌いなだけのごく普通の陰キャでした。
三度の飯よりラノベが好きでした。
画面の向こうの嫁さえ居てくれれば辛い現実もなんとか耐えることが出来ました。
しかし、僕、気が付いてしまいました。
死んだら、異世界転生をするという定石に。
つまり、僕は画面の向こうの嫁に会いに行こうと思います。
正確には、転生先で出会うヒロイン(嫁)に会いに行きます。
まあまあ、落ち着いて。とりあえず落ち着いて。
この世界での僕は死にますが、他の世界で僕は健やかに生きます。
父さんと母さんに孫の顔を見せてやれないことが心残りだけど、僕と嫁の間に生まれた子であればなんか色々あって貴方たちに会いに行くと思います。
ラノベってそういうことわりとよくあります。
転生しなかった場合?
その時は乙女ゲームの主人公になったり悪役令嬢になると思います。それはそれで楽しく生きるので何も心配しないでください。
それでは、皆さん。さようなら。お元気で。
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「……ろ! 起きろ!!」
肩を強く揺すられて目を覚ますと、そこには鎧を着たイケメンが横たわる僕を見下ろしていた。
……まさか、本当に、成功したのか?
鎧を着た銀髪のイケメンなんて生きていた世界ではコスプレだの染髪でもしないと中々お目にかかれないぞ?
いいや、決めつけるにはまだ早い。もしかしたらただのコスプレ王国の可能性もあるし。
「ここは……どこ、でしょうか」
さぁ、答えろ。
僕の知らない土地の名前が出てきたらほぼ成功したと言っても過言ではない。さぁ、早く。
「ここ? ”成れの果て”だよ」
「な、成れの果て?」
待て待て、めっちゃ日本語じゃん。
なにその物騒な名前。
「異世界転生試みた奴の、成れの果て」
「……んん?」
あ? うん?
待って、ちょっと何言ってるか分かんない。
「ここに居る奴、全員! 一人残らず!
異世界転生主だっつーの!!!!」
…………はい?
「ありゃ~。また来ちゃった? 異世界転生主」
「おい! こっちにも居るぞ、異世界転生主!」
「城にいきなり自称お嬢様の異世界転生主出てきたってさ!!」
「チッ……次から次へと……! クソ、一々お前の相手もしてられねぇ! おら! 金やるからあとは適当に過ごしな! お前みたいなバカしか居ねぇからよ!!」
鎧を着た銀髪のイケメンが見慣れない紙幣を僕に投げつけると、さっさとその場から去って行ってしまった。
え? あの人さっきなんて言ってた?
ここに居る奴、全員、一人残らず────異世界転生主?
漠然とこういうの書きたいな~って思ってたのを吐き出しただけです~。
色々ネタ思いついたら連載に移行するのも良いかなと思ってます。