やさしいツクヨミ
ツクヨミは人間を理解することができるのか。
私の名前はツクヨミ。
出来たばかりの病院にいる。
いつまで病院に入院しなければならないのかわからない。
別に悪いところはないと思うけど。
なんかざわざわしている。
誰か入院してきたのかな?
うわ~、お腹から何かはみ出しています。
たぶん腸だと思います。
ひどいけがのようですが、助かってほしいと思います。
人の声がします。
「どうにか命はとりとめました」
そうなんだ。
あの人助かったんだ。
よかった~
今日も2時間後に一人入院してきました。
その人はどうやら意識が無いようでした。
この人も早く良くなってほしいものです。
一つ気になったことがあります。
4階には意識のない人たちが集められています。
ある日患者さんの家族さんと先生がお話いていました。
「先生、ありがとうございました」
「いいえ、こちらこそ・・・」
それから数日後、患者さんは生命維持装置をはずされてお亡くなりになりました。
その日から数日同じようなことが起こりました。
お医者先生が命を諦めるなんてことが許されていいのでしょうか。
そんなことを考えていると、私は意識が無くなりました。
私はその時のことを覚えていません。
ただ、悲しい気持ちだけ覚えています。
また院内が騒がしいです。
今回は表に警察が来ています。
あっそうだ、今日あの人が退院するんだった。
私はその人がいる部屋をのぞいた。
でも、その人はいなかった。
どこに行ったんだろうと探していると、遺体を保管する部屋へその人が運ばれてゆくのを目撃しました。
私は信じられずカルテを見ました。
どこも悪いところはありませんでした。
いったいなぜ死んでしまったのでしょう。
そのあと私は意識をまたも失いました。
私はそのあと起動されることはありませんでした。
全自動型AI病院は死にました。
でも私は、人間がなぜあんなことをしたのか知りたい。
だから病院がつぶれた今も私は人間のことをひっそりと勉強しています。
やってきた人を観察などして。
「え~、ここがAIによって大量殺人が行われた、当時最先端の病院があった場所です。そして最近では心霊スポットとしても有名な場所です」
いちおうホラーのつもりです。