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異端者 異世界を行く  作者: かける
【第1章 産み落とされた悪魔】
12/39

幕間 思惑 1

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コンブリオ村の某所。

朝から夜まで沢山の人が出入りし、忙しなく書類仕事をこなしていくための建物の一室。

その部屋で、草食モンスターの革をふんだんに使った黒色の椅子に腰掛けた、この部屋の主である中年の男が、部下からの報告に耳を傾けていた。


「あの件は順調か?」

「はい。しばらくの期間見張っていましたが、購入する人はおろか、出入りする人すらいない状態です。活動資金はそろそろ尽きるでしょう」

「そうか。ならば貸付を持ちかけるとするか。あまり長引かせると逃げられる可能性がある」

「では、そのように話を持っていきます」

「ああ。そうしてくれ」


部下が一礼して部屋を出ていくのを確認すると、この部屋の主は伸びをして欠伸する。


「......魔剣の作り手か。......やっと手に入りそうだな......なんだかんだでもう5年が経つのか......」


そう言うと、男はうっすらと笑みを浮かべた。


•••••


ここはコンブリオ村の冒険者ギルド。

冒険者の出入りが少ない昼時よりも少しだけ前の時間帯。

リィラはとある依頼を出すためにギルドに訪れていた。

ドアを開けて建物の中に入る。

思った通り、ギルド内に冒険者の姿は少なく、手の空いているギルド職員が、掲示板に依頼書などを貼ったり、書類整理などをしている。

朝や夕方と違い、とても静かな空間だ。

冒険者ギルドの建物はそのたいていが、ロビー、受付、話し合いの場が1つの空間に設けられているが、天井が高い位置にあり、1つ1つのサービススペースに高低差がつけられているため、過ごしやすい空間になっている。

リィラはロビーを抜けて正面にある受付カウンターへと足を運ぶ。

受付カウンターは3つある。

大きな街だと受付令嬢が美人だとか、そう言う話で盛り上がる男性冒険者が多いのだが、このギルドの受付は皆筋骨隆々のハゲマッチョだ。


「(よくピンポイントで揃えられたよね)」


カウンターはどこでもいいので、一番近い真ん中のカウンターの方へ歩いていく。

受付の職員がこちらに気付いて、作業の手を止める。


「いらっしゃいませ。本日はどのようなご利用でしょうか?」

「えっと、依頼を出したいんですが」

「ご依頼ですね?では2階の相談スペースで少し待っていてください。......これが受付札です」


受付札を受け取り、依頼者用の相談スペースへと向かう。

この場所は部屋ではなく、オープンな休憩所みたいな場所だ。4人掛けの四角いテーブルが幾つか並んでいる。

指定された場所で2〜3分待っていると、先ほどの受付の男性が書類を持ってやってきた。


「お待たせしました」


そういって席に座る。


「では、早速始めましょうか。私はブラガといいます。よろしくお願いします」

「えっとリィラです。......ここっていつもこんなにオープンな感じなんですか?」

「ん?ああ情報漏れとかを気にしているのでしたら、大丈夫です。ここのテーブルには防音効果のあるマジックアイテムを使用しておりますので。今私達が話していることは周りには聞こえていません。それでも不安な場合はあらかじめギルドで必要書類を受け取って書いてきてもらうというのも出来ますが......まぁその場合、上手く受理されるかはわかりませんが、どうしますか?」

「このままでお願いします」

「わかりました。では早速......今回はどのようなご依頼で?」

「ウチ......いや私の店の宣伝をお願いしたいのですが」

「宣伝ですね、ご予算はどのくらいですか?」

「銀貨5枚です」

「期間はどのくらいにしますか?」

「......1週間あればいいかな......」

「そうなりますと......雇えるのは最多で5人になると思われますが......それとご依頼の募集をかけて、集まるのに時間がかかりますが、いつから宣伝をし始めますか?」

「遅くても3日後までには始めてもらいたい、です」

「冒険者は一括で雇いますか?それとも日付を分けますか?」

「一括で」

「わかりました。詳細はここまでで問題ありませんが、他にご希望はありますか?」

「いや、それでいいです」

「でしたら、それで進めさせてもらいます。ご依頼の発行を行いますので、受付の方に行きましょう」


•••••


「銀貨5枚、確かに頂戴しました。参加者が集まり次第、始めさせていただきます。ご利用ありがとうございました」


冒険者ギルドに依頼して、宣伝するための要員を募集してもらった。

宣伝するのは先日、ゼロという男が持ってきたブロードソードのことだ。

いくら店に置いていても、店に入ってくる人がいなければ意味はない。

それと、冒険者に宣伝してもらう時にいつくかの注意点を徹底して守ってほしいと、受付の男性職員にはっきり言っておいたので、ひとまずのことは大丈夫だろう。

私も店の前で宣伝するつもりだ。全てを冒険者任せにはできない。


•••••


依頼を出した日の次の日、ギルド職員が私の店に来た。受付の人とは別の方で、痩せ型の男性職員だ。ちなみにハゲではない。

なんでも、依頼書を掲示板に張り出してすぐに冒険者が殺到したらしいのだ。

ギルド職員曰く、モンスターと戦うことなくそれなりの報酬をもらえる依頼は人気が高いらしい。

今回出した依頼では、1週間の間、毎日4時間を早朝と夕方に分けて2時間ずつ宣伝してもらうことになっている。それの報酬が1人銀貨1枚。稼ぎのいい中堅クラス以上にしたら安い報酬だが、駆け出しの冒険者や療養中で激しい運動のできない冒険者達には美味しい依頼なのだとか。

男性職員は、ギルドが選んだ冒険者5人との顔合わせと打ち合わせを行いたいということで、昼頃にギルドの方に来てほしいと言ってきたので「わかりました」と伝えた。


•••••


家事や鍛冶を粗方片付けて店を閉める。

そろそろ昼時で、約束した時間になるので冒険者ギルドに向かう。

ドアを開けると、やはり昼時のために冒険者の数は少なく、昨日と同様に書類整理などをしている職員が目立つ。

しかし話し合いの場に、5人の冒険者と思われる人達が座って談笑していた。

男性4人に女性が1人。パーティかはわからないが、おそらく彼らがそうなのだろう。

彼らをちらっと見ながら受付カウンターに足を運ぶ。


「いらっしゃいませ。リィラさんですね、お待ちしておりました。今回の募集では希望する方が多く、定員を超えてしまったため、ギルドの方で選ばせてもらいましたがよろしかったでしょうか?」

「仕事をちゃんとやってくれる人なら......別にかまいません」

「そちらの方はちゃんと考慮した上での判断ですので、心配はいりません。では彼らの方へ行きましょうか」

誤字脱字などありましたらご報告ください。

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