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冷泉 凌華 (委員長)

  「改めて言うわ。

安心しなさい、りょうか(委員長)はあなたより強いわ

ていうか、能力からしたら私より強いかも。

チャイルズを超える能力の持ち主。

能力だけなら私たちのグループの中で1番なんだから」


 委員長は

「あなたなんて一瞬で負かせてみせるわ」

委員長は相変わらずの棒読み。

恐らくお姉ちゃんに言わされているのだろう。

冷や汗をかきながら僕にたきつけてきた。


 それにしても委員長の棒読み。

あまりにも棒読み過ぎてゲシュタルト崩壊してきた。

今、委員長は本性で言っているのかお姉ちゃんに言わされているのか分からなくなってきた。


 お姉ちゃんは

「りょうか、最強タイムはどのぐらいかしら?」

「10分ぐらいだと思います。

それ以上は、多分身体が持ちません」

「じゃぁ、10分が試合のタイムね。

あおい(僕)、死ぬ気で闘ってね。

なめてかかったら一瞬であなたが負けるから。

何せりょうかは最強にして最弱

私の援護もあるから最強よ」


 と言うわけで僕は委員長と闘うことになった。

委員長の構えは変わっていた。

半身はんみで構えているのだが既に片足ジャンプの状態。

ジャンプの度に右足、左足を交互に付けている。

「さぁ、始めましょうか」

委員長がそう言うと一気に間を詰めてきた。

僕は驚き一瞬で後ろに下がる。

委員長は

「言っておきますけど絶対防御は効きませんから。

対処法も知ってますし。

何なら氷以外の能力を使ってもいいですよ。

絶対に当たりませんから」

と言うとまた一瞬で間を詰めてくる。

「こういう戦い方してますけど近接戦は実は苦手なんですよね」

と言うと後ろに下がり一気に間を開けてきた。


 そういえば委員長と闘ったことがなかったな。

そう思いながら僕は攻撃を仕掛けた。

委員長は僕の攻撃を見事に避けている。

まるで僕の能力みたいに。


 「そろそろ攻撃をしますね」

委員長がそう言うとパンチを繰り出した。

と言っても僕からだいぶ離れた位置から。

「え!?」と僕が驚いていると氷の塊が僕の所に飛んできた。

「これが私の能力です」

委員長がそう言うと次から次へと拳から氷の塊が飛んでくる。

それが次第に速くなってしかも球数も増えてくる。

避けるのに必死になる。

よく見ると足からも氷の塊が飛んでいるようだ。

しかも彼女は一所ひとところにいないでいろんな所に移動しながら攻撃する。

床から天井から壁まで使って。

目で追うので必死だ。


 それにしても委員長は無表情だ。

普段のにこやかな表情からはだいぶかけ離れている。

暗殺者みたいな表情と言ってもいい。

委員長は

「あなたの絶対防御の弱点を教えるわ。

あなたの絶対防御は点での防御は最強だけど面での攻撃には弱い。

だから私はあなたにとって最悪の相手なの。

気づいてないのかも知れないけどあなたの周りは既に氷だらけ。

あなたの身体もだいぶ氷付けになっているから」


 確かに僕の身体にはだいぶ氷が付いている。

しかもかなり寒い。

最初は余裕こいていろんな能力を使って反撃していたが今は氷の能力を使って反撃するのがやっと。

ていうか氷の能力を使わなければ凍死をしてしまう。


 それにしても気になるのがお姉ちゃんだ。

委員長を援護すると言っていたのに気がつけば委員長を攻撃してばかりだ。

まるで僕の援護をしているように。

最初に言っていたのは何だったんだろうか。


 やっと中盤ぐらいになってきた。

僕の疲労もかなり蓄積してきた。

ただ、気になるのは委員長の疲労度だ。

かなり辛そうな顔をしている。

そりゃそうだろう。

この5分間、一瞬たりとも止まることなく動き続けているのだから。

攻撃していない時も小刻みにジャンプしているのだから。

攻撃しているときは上下左右、縦横無尽に攻撃してくる。

必要以上に動いているのだから。

それになぜかお姉ちゃんからも攻撃を受けている。

疲れて当然だろう。


 それにしてもこれだけの能力、氷だけでもかなりの威力。

身体能力もかなりのものだ。

普段運動音痴な委員長とは思えないほどの俊敏さ。

なぜ「チャイルズ」ではないのか不思議なくらいだ。

そういえば最強にして最弱ってどういう意味なのだろうか。

今の委員長はとても最弱には見えない。

それにお姉ちゃんの援護とは思えない委員長に対する攻撃。

最初は僕の援護かとも思ったけどどうもそうではない。

なぜそう思うのかというと僕の有利、不利関係なく試合にも関係なく攻撃している点だ。

何か意図があるのだろうかそう思いながら僕は委員長と闘っていた。


 後半、明らかに委員長のスピードは落ちてきた。

僕はそれを狙い攻撃を仕掛ける。

と、その時お姉ちゃんも委員長を攻撃してきた。

そうしたら、一瞬委員長の動きが軽やかになった。

そして委員長はお姉ちゃんに対して明らかに「ありがとう」と言って僕に攻撃を仕掛けてきた。

それから1分後、委員長はいきなり動きを止めた。

ちょうど10分経った頃だった。


 委員長は

「もう駄目みたい」

そう一言言った。

お姉ちゃんは泣きながら

「よく頑張ったわね」

と言った。


 僕は何が起きているのか分からなかった。

よく見ると委員長は苦しそうな表情をしている。

足下を見ていると氷が絡みついていた。

それからしばらくすると委員長は全身が氷に覆われてしまった。

まるで氷像みたいに。

これは例えではない。

中に人が閉じ込められているとは思えないほど透明なのだ。

本当に委員長の氷像なのだ。

僕は呆気に囚われていた。


 お姉ちゃんは

「これが彼女が最強にして最弱といった意味。

彼女は能力を使うとこのように氷に覆われてしまうの。

具体的に言うと一秒でも地表に着くとね。

だから彼女は動き回っていたの。

そして私は少しでも足や手が固まりそうになるときに攻撃をして氷に覆われないように援護していたわけ。

彼女は能力値は私よりも確かに上なんだけど器が小さすぎるの。

だから普段は戦闘には不向き。

身体能力も一瞬しか強化できないしね。

10分なんて最長の記録よ。

よく頑張ったわね」


 僕は

「死んだわけじゃないよね」

と聞いた。

お姉ちゃんは

「えぇ、この能力の解除には私の力で1時間ぐらいかかるわ。

そうしたらいつもの委員長に戻るから」


 僕が安心しているとお姉ちゃんは

「1時間も待っているのは暇でしょう。

そうね、その間、私が彼女と会ったときの話をしましょうか」


 と言うとお姉ちゃんは委員長との出会いを話し始めた。



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