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お姉ちゃん

  「早く起きなさい、遅刻するわよ」

最近の日常はこうやってお姉ちゃんに起こされて1日が始まる。


 「全くいつもだらしがないんだから」

そう言いながら制服を着せてくれ髪をとかしてくれる。

そして眠い目を擦りながらテーブルに向かうとお姉ちゃんの用意した朝食を食べて学校に出掛ける。


 最近はそういった日々が続いている。


 ここまで説明しといて何だが色々とおかしな点があるので1つ1つ解説しておこうと思う。


 まず、僕の「お姉ちゃん」呼びだが、これは姉から強要されている。

僕は最初は「姉貴」と呼んでいた。

しかし、ここしばらく一緒に暮らすようになってよそよそしいからと「お姉ちゃん」と呼ぶように言われているのだ。

確かに長い間、お互いの存在も知らずに暮らしていた。

姉は妹がずっと欲しかったと言っている。

それが僕なのだが理想の妹像というものがあるのだそうでそれを演じさせられえているわけだ。

最初は嫌だったが1ヶ月で慣れてしまい今では普通に「お姉ちゃん」と呼べている。


 そして次に髪をお姉ちゃんに解かれていることだが、これもお姉ちゃんが妹にやりたかったことらしい。

僕は普通の女の子と違い髪の毛にも神経がある。

そのために髪の毛を自由に動かすことが出来るのだ。

だから本来は髪の毛を解く必要性はない。

でも姉が妹にやりたかったこと10箇条のうちの1つにそれがあるらしい。

どうしてもやりたいと僕に懇願された。

あまり髪の毛を触られたくない事を告げると

「大丈夫、絶対気持ちがいいから」

と謎の言葉を言った。

確かに姉の髪の解き方はマッサージをしているみたいでとても気持ちがいい。

本当に絶妙な解き方だ。

なぜか姉も気持ちよさそうな顔をしているのが不思議なのだが。


 そして1番の問題は教育実習が終わって1ヶ月以上経つのに僕の部屋に住み着いていること。

確か、お姉ちゃんは現役の女子大生だ。

教育実習が終わった後、大学に通うでもなく僕の部屋に当然のように住み着いている。

教育実習の時は能力の練習の関係か白髪しろかみだったが今は黒髪に戻っている。

お姉ちゃんは女子大生で僕は女子高生なのだが実は双子だ。

姿、形は僕とお姉ちゃん、全く同じと言える。

お姉ちゃんは女子大生になってから眼鏡をかけ始めたので余計に同じ姿だ。


 僕はちゃんと大学に行っているのかと聞いたらお姉ちゃんは

「こっちにはこっちの事情があるの。

あなたも卒業したら分かるわ。

取りあえずここが私の1年の拠点になるからよろしくね。

ちなみに教育実習は春夏秋冬、1回ずつあるから。

来月、また教育実習、よろしくね」


 7月にもまた来るのかと僕は困惑した。

それよりも1年間僕の部屋に住み着くという宣言にも戸惑ったが。


 お姉ちゃんは

「単位に大学の単位(授業)については心配しないで。

実はうちの高校、一部大学の授業もしてくれるの。

だから、私も高校に通いながら大学の授業を受けているの。

それで単位が取れることになっているから」


 唐突だけど,最近僕の分身が至る所に現れるって言う噂を聞いたことがある。

でもお姉ちゃんの話で合点が付いた。

 あぁ、それで僕が行っていないところにも僕の目撃談があるんだ。

って、そんな話初耳なんだけど。

最近、僕のドッペルゲンガーが出現するって聞いていたけどそれが原因か。

全くはた迷惑な話だ。


 忘れているかも知れないが僕は元男だ。

女の子になった今でも女子としての常識がお姉ちゃん曰く備わっていないらしい。


 学校から帰ったらまずはコスメの練習だ。

双子だから鏡のように対面しお姉ちゃんの真似をし僕も化粧をする。

そのおかげで化粧するときの僕は左利きになってしまった。

ファッションについてもよく話すようになった。

このブラウス可愛いね、このスカートかっこいいねとか。

だいぶ、女子のファッションに詳しくなったような気がする。

ていうか、学校にいるときも普通に女子の話しについて行けるようになってきた。

確かに最初は周りも僕がこんな話しをするとはと驚いていたが今では慣れたもんだ。


 こうして生活していくうちにお姉ちゃんがあることを言ってきた。

「あなたが出来ることは私も出来たいの。

いくつか出来るようになったからちょっと見てみて」

そういうと僕を少し遠ざけた。


 お姉ちゃんは

「あなた、分身が出来るでしょう。

私も出来るようになったの」


 確かに僕は分身が出来る。

最大10人分なのだが。

それを姉が出来るというのだ。

どういうものか僕は見てみた。


 姉は五カ所に氷のマークを付け始めた。

そしてそこから姉そっくりの氷像が一気に作られた。

そしていつの間にか色が付き見事に分身が成功した。

もちろん、それぞれがしゃべったり動いたりすることが出来る。

そして分身を解くと氷像が崩れ本体1人だけが残った。

僕とやり方が違うが確かにそれは分身だった。


 お姉ちゃんは

「この分身はあなたの部屋に初めに来たときに思いついたの。

だってあなたの部屋、ぬいぐるみやロボットがメイドや執事みたいに動いているじゃない。

どうやって動かしているのって聞いたらその秘訣を教えてくれた。

この分身はその応用」


 確かに僕はぬいぐるみやロボットをそのように使っている。

でも、それはお姉ちゃんの見えないところでさりげなくやっていたつもりなのだが。

大体、僕が色々と研究して今年初めて使い出した能力。

「人形遣い」と言う能力らしい。

まだ実験段階なのだが。

ましてや秘訣なんて誰にも言えるわけがない。

姉がどこでそれを知ったのかは謎だ。


 姉は僕の表情を見るなり焦ったように話題を変えた。

「もう1つ能力を得たの。

雷の能力」

そう言うと手から雷の糸を出して見せた。

それは間違いなく雷の能力。

「最近出せるようになったんだけどね。

まだ微力の電力。

少しビリビリするぐらい。

暇なときにこの(雷の)糸を出してあやとりをして遊んでいるわ」


 何という能力の無駄遣い。

しかし、僕が言うのも何だが2つ目の能力を持つというのはものすごいことだ。

僕はそれに驚いた。


 そしてお姉ちゃんは

「少し、汗をかいたわ。

今日も一緒に入りましょう」

と僕を無理矢理お風呂に入れさせられた。

もう、姉とのお風呂は慣れたのだが。

まだなんとも気恥ずかしい。

「双子なんだから同じ顔、同じ体、恥ずかしいことなんてないじゃない。

妹と一緒にお風呂に入るのも夢だったんだから」

そう言われると断れるはずもなく。


 お風呂から上がると自由な時間が出来る。

その時は姉の干渉を受けない。

自分の部屋に入り少年漫画や男の子向けのゲームにふける。

それが僕の至極の時間だったりする。


 明日にはまた、自分が女子だという現実に突き戻されるのだが。


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