表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/83

おしゃべり

 僕はこれまでに3人の友達(仲間)が出来た。

委員長から1ヶ月以内に5人友達(仲間)を作れと厳命されている。

残り2人だ。

さて、残り2人をどうやって見つけようかと思案していた。


 ある日の昼休み、僕はいつものメンバーとは一緒に食事をせず1人で昼食を摂ることにした。

メンバーも増え毎日繰り広げられるガールズトーク、僕にはついて行けないことが多々ある。

たまに1人になりたいと思うことがあるのだ。

メンバーもこういうときには何かを察して何も追求しない。

そして、僕は人気のないところにいって昼食を摂るのだ。

そのときに僕にとってのお決まりの場所がある。

心が安らぐ場所だ。


 今日もその場所に行ってみた。

しかし、予想に反して先客がいた。

よく見るとうちのクラスメートだ。

確か名前は芸林げいりん 送愛そうあさんだ。

僕が転入してきたときに真っ先に話しかけてきた娘だ。

この娘はいろんないろんな話し合いに首を突っ込む。

しかもかなりの噂好きでおしゃべりだ。

クラスにいるときはしゃべっていない時を見たことがない。(もちろん授業中は別だが)

僕にとってはちょっと苦手なタイプだ。

しかし、彼女の物静かな姿は見たことがない。

今、彼女は物静かに食事をしている。


 ふと彼女は僕に気づいたようだった。

最初は恥ずかしそうな表情をしていたが次第に僕をにらみつけてくるような表情に変わった。

まるで僕がここにいてはいけないかのような表情で。

僕は気まずくなり思わず

芸林げいりんさんが1人で食事って珍しいね。」

と口走ってしまった。

芸林げいりんさんは

「別に珍しくないわよ。いつも1人だし。第一、友達もいないしね。」

と言った。

僕は意外に思った。

いつもクラスで明るく振る舞っている彼女が実はぼっちだったことに。

僕が驚いていると彼女は

「あら、意外だったかしら。私、ある理由から人とは関わりを持たないようにしているの。まぁ、あなたも能力者らしいから言うけどそれは能力に関係することだから。」

すると僕は

「能力に関係することだったら僕に聞いてよ。自慢じゃないけどこのクラスの中だったら僕が一番能力に詳しいと思うよ。なんてたって担任よりも詳しいんだから。」

と言ってみた。


 事実、僕はクラスの中では一番能力が高いのだ。

そして、言い忘れていたが教師の一部も能力者だ。

(このことについては後日説明します。詳しくは「担任」の回で)

そして、その教師連中よりも僕は高い能力を持っている。


 そんなことを話していると彼女は笑って

「なんでそんなに自信家なの?まぁいいや、なんか悩んでたことが馬鹿らしくなってきた。あなたにだったら話してみてもいいわ。私はどうやらテレパスみたいなの。人の心が読めるみたいなね。私には制限なく人の心が入ってくるみたいなの。だから自然と人に秘密を知ることが出来るの。最初はそれが普通のことだと思っていたわ。でも、次第に周りが気味悪がるようになってきたの。どうしてそんなこと知っているの?そんなことあなたが知っているはずがないのにって。だから、普段から人の話の中に入ってさも情報収集をしているように参加しているの。普段から噂好きのおしゃべりだと認知されていれば周りから変に思われることはないでしょ。でも次第に自分もこの能力に怖くなってきてね。普通の放課時間(休み時間)だったらしょうがないけど長い放課時間だったら出来るだけ人の心を読まないように人から遠ざかるようにしているの。」

そこで僕はふと疑問に思った。

僕がこの場所に来たとき、彼女はしばらく僕の存在に気がついていなかったのだ。

もちろん僕はテレパスに対する特殊な訓練など受けていない。

だいたい、この世にテレパスがいると言うこと自体が初耳なのだ。

僕は

「じゃあ、僕の心が今読めるの?」

と聞いてみた。

すると彼女は

「意識して出来ることじゃないの。ていうか、意識して何度もトライしたことがあるけれどそのときはなぜか出来ないの。何も意識していないときだけ人の心が読めるみたいなの。」

と言った。

そこで僕はテレパスした内容を聞いてみた。

彼女は

「なぜか会話調のことが多くて。いつも誰かと誰かが話している内容だったわ。だから、気軽にその内容のことを話したら、決まってなぜ知っているの、あなたには話していないのにって驚かれるわ。あと、不思議なのは観ているはずのないテレビ番組覚えてたりすることがあるの。お昼の番組とか。これについては自分でも驚くわ。」

その話を聞いて僕は閃いた。

「多分、君はテレパスなんかじゃないよ。能力の関係で恐らく電波を受信しているんだと思うよ。」

彼女は驚いたようだった。

続けて僕は言った。

「恐らく友達の心を呼んだというのは携帯の電波を受信したからだと思う。テレビ番組の話も恐らく同じ。他にどんな症状があるの?」

彼女は半信半疑の表情からが何か合点のいったような表情になった。

彼女は

「そういえば最近、気がつくと見知らぬ世界に紛れ込んだような感じに陥ることがあるの。まるで白昼夢を見ているみたいに。もしかしてこれも私の能力の性なの?」

と聞いてきた

僕は

「どうやら君の能力は暴走気味のようだね。これからすることは意識的に君の能力を暴発させることだから。そうしたら、有り余っている力が沈静化すると思うんだ。いいかい、ぼくの言うとおりにしてみて。まずは深呼吸をして。そして精神を集中させるんだ。精神を集中したところで頭の中で何かを爆発させるイメージを持つんだ。ダイナマイトで爆発させるみたいな。出来るだけ大きな爆発を想像して一気に爆発するんだ。」

僕がそう言った瞬間に事件が起きた。

学校周辺の全てのブレーカーが落ちたのだ。

そして、携帯は圏外表示

どうやら僕の指示のせいで辺りは停電してしまったようだ。

僕が戸惑っているのと裏腹に彼女はすっきりとした表情で

「なんかもやもやとしたのが消えたみたい。こんな感覚初めて!!本当にありがとう。これからもいろいろとアドバイスして欲しいわ。」


 やっと4人目の友達(仲間)が出来た瞬間でした。

それにしても大変なことになっちゃいました。(みんなには内緒だよ。)







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=518122787&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ