表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/83

異世界

  (今回のお話は明岳あけだて 直央なおの視点でお送りします)

 私たちは見事に完敗した。


 私たちが入学する前、この学校のトップである彼女(主人公)に勝つように師匠にみっちり修行をさせられていた。

私は光、 共に修行する沈香しずかは重力の修行に明け暮れていた。

ちなみに師匠は重力の能力のことをかさねの能力と言っていたけど。

でも一年間にわたる修行も徒労に終わった。

彼女の能力は私たちとは比べものにならないほど強かった。

去年の文化祭にも偵察に来たのに全く役に立たなかった


 私たちか完璧に負けたところに師匠の三条橋先生がすっと入ってきた。

そして私たちに向けて一言、「ご苦労さん」とだけ言った。

「ま、こうなることは分かっていたけどね。

実力が全然違うし。

取りあえずおめでとう。

これであなたの課題は終了よ。

まぁ、これからが本題なんだけどね」

師匠は私たちではなく完敗した相手に話しかけてきた。


  しばらくして対戦相手でもある彼女から何か納得したように話しかけてきた。

「改めて自己紹介するね。

僕の名前は遠山とおやま 葵唯あおい

高校3年生。

僕は一応、全属性の能力を持っているらしい。

自慢ではないけれど三条橋先生を除けば僕がこの学校で一番強いと自負している。

ただ、それは三条橋先生からは「うぬぼれ」と言われているけど。

一応、言っておくけど姉貴には一度も勝ったことはないからね。

だからうぬぼれてはいないと思うんだけど。

まぁ、これからが本題なんだけど。

僕能力はほんの数年である程度の強さまで一気に駆け上がった。

ほんの数年前までは普通の中学生だったんだけどね。

この学校に入学してから僕の生活は一変したんだ。

でね、僕の力には秘密があるんだ。

いわゆるチートって言うか。

みんなが苦労して修行した能力を一瞬で手に入れる方法を僕は持っている。

その代わり、僕は大事なものを失ってしまったけど。

それは別の問題で今回の本題とは全く違うことだけど」


  そして彼女は意を決したように一呼吸おいて話し続けた。

「僕の能力の本質はコピー能力。

発動条件は僕と対戦して負けた相手の能力を僕が得ること。

安心して、体には害がないし、君たちの能力がなくなることはないしレベルも維持される。

あくまでもコピー能力だから。

君たちの能力だけをコピーする訳なんだけど、ここからもいろんな条件があるんだ。

まず、君たちが僕の弟子になってもらうこと。

これは三条橋先生から了承してもらっている。

ていうか、僕が君たちの師匠になれって今、さっき三条橋先生から言われたんだけどね。

そしてコピーされる娘を君たちにも了承して欲しい」


 私たちは有無無く頷くしかなかった。


「そして、君たちの安全は僕が保証する。

これから訳の分からないところに行くことになるけどそこは安全で何も危険のないところだから。

プライバシーもちゃんと守られているから。

ちょっと言っていることの意味分からないと思うけど。

僕のコピー能力は人格そのものをコピーする。

まずはその事だけを覚えておいて」


 そう言うと彼女は私たちの目を見て何やら呪文を唱え始めた。

1人1人目をまっすぐ見ながら。

何語か分からない意味不明の言葉の羅列を独り言のようにしゃべり続けている。

その間、三条橋先生からは「1ミリも動くな、1言もしゃべるな!!」と厳命されていた。

ていうか、今、体が金縛り状態で全く動けないのだが。

しばらくすると私は気絶していたようだった。


 目が覚めるとそこは草原だった。

何もないだだっ広い草原。

まるで異世界に来たような感じだった。

手元には何かメモののような紙が置いてあった。

その紙切れには何やら指示書みたいなものが書いてあった。

そのメモは細かい文字でびっしりと書かれたものだ。

紙切れ一枚ながら本一冊分の内容が書いてあるような非常に細かく小さな文字がびっしりと書いてあった。

でもなぜか、それを私は一瞬で理解が出来た。


 どうやら、私は遠山とおやま 葵唯あおいの頭の中にいるらしい。

つまり、私はコピーされた人格。

元の人格は何事もなくただただキョトンとしているようだ。

そりゃそうだろ、元の人格は何も起きていないのだから。

何の変化も起きていない。

変化が起きているのはコピーされた私の方。


 新しい生活場所は快適そのものだった。

修行はしなければいけないがそれも週休3日で10時間か週休2日で8時間かを選べる。

私は週休3日の方を選んだ。

休みは多い方がいいに決まっている。

週の修行時間は変わらないから朝三暮四みたいなものだけど。


 休みの日は普通に映画を見たりアニメを見たり好き放題に過ごした。

どうやら彼女の頭の中に入ってくる情報を自由に閲覧することが出来るらしい。


 この世界には彼女にコピーされた複数の人物が存在する。

彼女たちともすぐに仲良くなれた。


 ここで知ったこともある。

確かにコピーされた人格はいずれも彼女よりも弱い人物のようだ。

そしてこの世界では誰でも遠山とおやま 葵唯あおいのレベルまで能力を上げることが出来るらしい。

ただ、ここにいるだけだと彼女にとっても何の役にも立たない。

何せ、私たちの情報は彼女には一切上がってこないから。

ではなぜ人格ごとコピーする必要性があるのか。


 私はしばらくしてから知ることになる。


 そういえば、最後に言ってた彼女の一言が気になっていた。

「僕の能力はただコピーすれば終わりって事じゃないんだ。

なぜならコピーしたって君たちの能力を得られるわけじゃない。

君たちの能力を得るためにはもう一段階の条件をクリアしなければいけないんだけどそれは君たちが知る由もない。

まぁ、いずれ分かることだけど。

取りあえず、明日の放課後また、この場所に来てよ。

コピー能力の全容を教えるから」


 コピーされた私からしてみればその明日はもうとっくに過ぎている。

一体どういうことなのか誰か教えてほしいものだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=518122787&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ