スケバン
4月になり入学式の季節になってきました。
僕の寮の周りの桜が一斉に咲き誇り煌びやかに咲き誇っています。
桜の色がピンクだという人がいますがどちらかというと白に近くその白に薄くピンクが乗っかっているような感じ。
この色がピンクかと言われれば微妙。
よく見ればピンクかも知れないが僕の目には白い花びらに見える。
そんなことを僕は周りにも言ったことがあるが賛同は得られなかった。
あくまでも僕の個人的な意見と言った感じなのか、それは分からない。
春休み前から始まった入学式の準備は今日で終わった。
もう終わったのだ。
初めての生徒会入り。
去年の入学式はただ見ているだけだった。
急なスピーチには手こずったが今回はそういうこともなかった。
全て生徒会長がやってくれたから。
今の生徒会長ははっきり言って完璧な人で一年の時からクラス委員長をやっていた。
そしてクラスになじめない僕に対しても積極的にコミュニケーションを取ってくれた。
おかげで僕もクラスにに馴染むことが出来た。
今の生徒会長は人柄はもちろん、運動、学力共にピカイチだと思う。
そうそう、この学校のことも一応お復習いしときますね。
僕が通っているこの学校は進学科、普通科、そして特殊科の3つの学科があります。
進学科、普通科はごく一般的な高校と言った感じ。
問題は特殊科。
この学科は普通の学科ではなく隠された学科。
特殊能力を持った僕みたいな人が通う学科です。
他の学科からも秘匿されていて僕たちの存在を知らない生徒も多いと思います。
ちなみに生徒会は特殊科から選抜されるので一般の生徒からは何処のクラスの生徒か分からないようになっています。
元普通科の知り合いからは七不思議とも言われているようです。
だから、入学式も2回行います。
つまり同じことを2回するわけですけども。
2回目の特殊科の入学式は一種異様です。
一応、うちの学校はマンモス校と言われているようです。
生徒数が多いのです。
1回目の入学式は生徒数の多さで圧倒されます。
それに比べて2回目の入学式は圧倒的に数が少ない。
しかし、オーラが違う。
何て言うか1回目の入学式と同等かそれ以上のオーラを感じる。
ま、みんなそれなりの能力者かそうでなければ圧倒的な(学力の)天才。
そう感じるのも無理はないか。
しかし、女子校の入学式、しかも舞台の上で会長の世話をする僕。
正直、2回目とはいえ居心地が悪すぎる。
元男の僕にとっては。
入学式の後片付けが終わり1人で寮に帰る途中に事件が起きた。
それはある新1年生に呼び止められたことだった。
「おう、おう、そこの姉ちゃん、ちょっと面かしな」
「何、鹿十ぶっこいてんだよ。
テメエだよ、テメエ。
テメエしか歩いてねえだろ」
僕のことを行っているんだと思い慌てて振り返った。
見ると背の大きいのと背の小さい女の子が立っていた。
僕にしゃべりかけているのは小さい方。
ランドセルがに会うかもと思ってしまうほど可愛く思えてしまう。
そして大きい方は小さい方に気を使ってなのかかなりオドオドしているように感じる。
でも異様だったのはその服装だ。
異様に長いスカート。
(背の低い方は普通のスカートを履いているだけかも知れないが)
2人とも髪は茶髪。
後、ほんのり化粧をしているような。
そして2人とも物騒なことに何らかの武器をを持っている。
背の高い方は鉄パイプ、低い方は竹刀を持っている。
背の低い方の竹刀は若干サイズが大きく見える。
いや持っている本人が小さいのか。
背の高い方は何か厳つい黒いマスクを付けている。
どちらにせよ彼女たちのファッションは一昔で言う「スケバン」と言った格好。
一応、言っておくが僕だって「スケバン」と言ったものをはっきりとは知らない。
毎日何十冊と暗記させられている毎日を送っている僕だがその中の資料の1つとして認識している。
実際この目で見るのは初めてだ。
とにかくここでいちゃもんを付けられるのは面倒だと思い、彼女たちに連れられるまま空き教室の中に入った。
「会長さんよ、いい気になってんじゃねえよ」
そういえばこの2人、入学式の時もずっと僕を睨んでいた。
思い返せば文化祭の時も。
それはともかくやはりしゃべるのは背の低い方、背の高い方はオドオドしているばかりだ。
オドオドしている方はなんか小声でしゃべっている。
「ねえ、こんなこと止めようよ」と小さくカワイイ声がよく聞くと聞こえてくる。
小さい方は構わず
「会長さん、あたしは何でも出来ますって言うあんたのすまし顔が気にいらねえんだ。
1回ボコらせてくんない。
サンドバッグになってさ」
あ〜、僕は今変なのに絡まれてんだと思いつつさっきから気になっていることを言った。
「あのさ〜、僕は会長ではなく副会長なんだけど」
すると慌てて
「そんなこと分かってんだよ。
ちょっと間違えただけだろ。
こっちはあんたの名前も知ってんだぜ。
なぁ、遠山 聖雪さん」
「それは姉の名前。
僕はあおい。
つまり、いぶの妹」
と言い返すと背の低い方は絶句していた。
しばらくすると背の低い方は背の高い方に
「話が違うじゃない。
渡された資料も全然違うし。
本当にこの人で会っているの?」
背の高い方は
「だから、それは古い資料って言ったじゃない。
新しい資料は私が持っているって。
そんな古い資料を丸暗記したって何の意味もないんだから」
話し合いが終わると背の高い方がキリッとした態度で
「私たちは三条橋先生の使いでやって来ました。
こう言えばなんとなく分かりますよね」
僕は少し意味が分からなかった。
少し考え込んでいると
背の高い方は
「私たちはあなたに稽古を付けに来ました。
つまり、今のあなたじゃどう転んでも私たちに勝てません。
それを教えに来たのです。
ちなみに私たちは「チャイルズ」ではありませんけど」
彼女たちの言うことがいまいち理解できない。
とにかくこれから稽古という名の対決が始まるのだそう。
なぜ僕が彼女たちに勝てないのか、僕は今のところ分からない。




