表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/83

忍者

 (今回のお話は灰庭はいにわ 忍葉しのはの視点でお送りします)


 突然ですが私は忍者だ。

私は忍びの里で育った由緒正しい忍者。

幼い頃から忍者の術をたたき込まれてきた。

ちなみに私が生まれ育った場所は男子禁制の場所。

男というものに現実世界会わずに育ってきた。


 だから、この学校に入りいろいろと常識を学んでいる。

と言ってもここは女子校ですが。


 でもここに入学し1番驚いたのは自称男子だという謎の女子高生。

しかもしゃべらなければかなりの眼鏡美少女。

声も本当に可愛くてthe美少女と言った中央突破のカワイイ声だ。

それなのに最初はかなり残念な頭をしていると思った。

それは変な妄想にとりつかれているという意味。


 実際、その美少女はかなり頭が良い。

授業中、ノートも取らないくせにテストはいつも満点。

その事について彼女に聞いたことがある。

どうも彼女は完全記憶能力者で見聞きしたことは1つも忘れないのだそう。

「男だった時にこの能力に目覚めていればよかったのにな〜」

と残念な独り言を除けば彼女は完璧美少女だ。


 彼女が元男子だと信じられるようになったのは彼女の弟子になってからだ。

私が女ばかりの世界で育ってきたせいかやはり彼女は違う。

普通の女の子と。

言葉遣いは別に気にならなかったが、彼女の言動や仕草、思考などはやはり普通の女子とは違うものだった。

どう違うかというとそれは言葉では説明できないか。

感覚的なものだから。


 それに私たちとは違い、あんなチートな能力を持つんだから普通の女子とは違う経歴を持つものだろう。

でないと師匠(主人公)と私の能力差に納得が出来ない。

何せ目覚めてから約3年ぐらいしか経っていないのだから。

(正確には2年7ヶ月)


 私自体の能力の目覚めは小学生ぐらいだっただろうか。

それよりも前だったのか詳しくは覚えていない。

物心ついた頃からそれはあったらしい。

昔はよく自分の出す炎で遊んだものだ。

その時のことはとても懐かしく思う。


 ちなみに私の能力は炎で忍者の武器を作ること。

もちろん私にしか触れないのだが。

種類はいろいろとある。

手裏剣でも十字や卍、棒や三方や八方、珍しいのだと星形のものもある。

もちろんこれらの全ての手裏剣を持っている。

そしてそれらを炎で再現が出来る。

私の能力は結構便利だ。

それらのものを自由自在に大きさを変更できる。

私のやる気次第では自分の身長ほどの手裏剣を炎で作ることも可能。

やったことはないが。

後、忍刀も炎で再現可能。

これでも私、剣の達人でもあるんです。

もちろん、手裏剣術も達人クラス。


 そんな私が最近気になる人が出来たんです。

あ、言っておきますが恋愛の話ではありません。

ここは女子校です。

私の恋愛対象は男性。

女子を好きになることはありません。

でも憧れが強すぎて友達には少し退かれています。

私のタイプは現実にはいないって言われるので。

何せ現実の男子には会ったことがありません。

でも今は二次元で充分です。


 そんなことはさておき、私の気になる人の話です。

実は最近、能力が爆上がりしたのです。

と言っても今年の1月の話ですが。

その時に師匠の師匠から、詳しく言うと三条橋先生からこう言われたのです。

「あなたたちの能力は既に幹部クラスの能力です。

だからこれからは弟子を持ちなさい。

5人の弟子を。

それがあなたたちの課題です」

今は12月。

大分時間が過ぎてしまいましたが未だに弟子は0人です。


  そんな私が最近校舎裏でとても奇妙な人物を目撃したのです。

その人物は忍者装束で恐らく自作の手裏剣を使って忍者ごっこをしているのです。

しかも1人で。


 最初は目を疑いました。

お仲間とも思ったのですが身のこなし等々、はっきり言って素人レベル。

それに忍者装束とは言えピンクの忍者装束。

昔はどうだったか知りませんが今日日、ピンクの忍者装束なんてあり得ません。

だって目立ってしょうがないじゃないですか。

昼間は白、夜間は黒が忍者装束の基本。

最近では緑や青のものもありますが桃色は論外。

(ちなみに緑は森の中、青は水の中などです)

明らかに自作の装束です。

よく見てみると手裏剣も段ボールで作ったようなあまりにもしょぼい。

ただの忍者オタクだとすぐに分かりました。


 そしてその人は冬休みに入ってもずっと同じ場所で忍者ごっこをしています。

私はある日、思い切って声をかけてみました。

「ねぇ、いつもこんなことをしているの。

よく飽きないわね」

今思えば気の迷いだったのかも知れません。

その娘は

「この学校に忍者がいるらしいのです。

私は忍者になりたい。

だから私はその人にアピールするためにここで忍者の修行をしているのです。

半分趣味もかねてですが」


「あのね、あなたのは修行とは言わないの。

忍者ごっこ。

忍者のまねごとにしか見えないわ」


「なんでそう言い切れるのですか」

と彼女は私に対して少し怒ったように見えた。

私は

「実は私は忍者なの」

と言うと彼女の段ボールの手裏剣を手に取り的に当てて見せた。

彼女は

「凄い!!

紙(段ボール)の手裏剣が的に刺さるのを初めて見ました。

本物なんですね。

是非弟子にして下さい」


 私は

「ごめんなさい。

普通の人は弟子に出来ないの。

でもこの校舎は特殊科だからあなたも何らかの能力者なの?」


「自分は特に何かの能力者ではありません。

でも私には普通の人と違う点があります」

と言って右の手のひらを広げ小さな炎を見せた。

それは間違いなく能力の炎だった。

「私は能力者とは何なのかを知っています。

うちのクラスにも凄い人がいますし。

それに比べたら私は何の能力も無い一般人ですよ」


「いやいや、普通の人は手のひらに炎なんて出せないから」

と私は慌てて否定した。

「いいわ、あなたを弟子にして上げる。

あなたはそんなに見ない顔だから2年生じゃないわね。

学年と名前を教えて」


「私の名前は黒代くろしろ 純花あやか

1年生です。

可憐で優雅な忍者を目指したいです。

どうぞよろしくお願いいたします」


いやいや、そんな忍者は存在しないからと心の中で思いながら彼女の申し出を受け入れた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=518122787&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ