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過去

 (今回は信桜しのざくら 雨音あまねの視点でお送りします)


 私はある日、先輩に呼ばれた。

正直、心当たりはないけどちょっと不安だった。

言い方はあれかも知れないけど焼きを入れられるかと本当に思っていたりした。

だから先輩の用事が終わった後、何事もなくほっとしている。


 でも、終わってみてなんだけど何のために呼ばれたのだろうか。

私が一方的に質問して先輩が答えていた。

それじゃぁ、まるで私が先輩に用事があるみたいだ。

実際は逆なのに。


 確かにあの先輩には入学してからお世話になりっぱなしだ。

天巫あみとの仲を取り持ってもらえたし色々と面倒を見てもらった。

普段はあまりしゃべらない先輩だけど性格が良いのは分かっている。

だから私が先ほど思っていたのはよく考えれば分かることだった。


 それから数日、ことあるごとに先輩のことを考えていた。

そういえばこんなに先輩のことを考えた事って有ったかなとも思った。


 先輩は不思議な人だ。

自らのことを元男だと自称する。

そしてその事を隠しもしない。

ここは女子校。

そんなことを言ったら周りから疎まれると思うのだが実際はそうはなっていない。

むしろ好かれている方だとも思う。

そういえば先輩のファンクラブが存在するとも聞いている。

都市伝説だけど。


 先輩はぱっと見美少女だ。

どういう美少女かというと髪の毛はロングの清楚なメガネ美少女。

黙っていればだが。

ちなみにだが能力者で眼鏡をかけている人は居ない。

この学校の能力者のクラスでもまず見ない、というのは言い過ぎか。

能力を発動していない人はならば眼鏡をかけている人も居るが能力者は眼鏡をまずかけない。

と言うのも私たち能力者は能力が発動すると共に視力が回復するのだ。

能力者で目の悪い人は見たことがない。

だから私は最初に先輩を見かけたとき少し驚いてしまった。


 とにかく、先輩のことを知れば知るほど謎が深まる。

そういえば、先輩は「僕のことを知りたければ3年の浅桜あさくら 桃映ももえに聞いてくれ」と言っていた。

3年生のクラスに行くのは初めてだし放課後行ってみることにした。


 3年生のクラスに着くと私が声をかける前に向こうから声をかけてきた。

「あなたが信桜しのざくら 雨音あまねさんね。

話は聞いているわ」

向こうは私を認識して居るみたいだが私はあなたを知らない。

一応念のため確認してみた。

浅桜あさくら 桃映ももえ さんですか?」

「え〜、そうよ」

「なぜ、私のことを知っているのですか?」

「なぜって葵唯あおいから聞いたからに決まっているからじゃない」

「でも、それが私だとよく気がつきましたね」

「能力者のクラスって他のクラスと違って訪問者が少ないから。

見知らぬ一年生っぽいっ娘が来たら話に聞いてた娘だって分かるわ」


 そして、私はクラスの中に招き入れられた。

よっぽど訪問客が珍しいのか私の周りに人だかりが出来た。

彼女は1人1人謝って2人っきりになる様に懇願した。

そして、私たちは教室で2人っきりになった。


 「ごめんね、騒がしいクラスで。

それに私自身、外様だしね」

私は思わず「え!?」って驚いた。

「私は元々一般のクラスだったの。

でも、寮で突然能力が暴発しちゃってね。

私自身もこんな能力があるなんて知らなかったから。

今は生徒会長さんの元で修行をしている身なの。

あ、生徒会長さんは葵唯あおいのお姉さんね」


 「取りあえず話を始めるわね。

話は葵唯あおいから聞いているから」

私はうんと頷いた。

葵唯あおいが元男なのは本当よ。

そして男時代、私と付き合っていたのも本当。

私は男性が恋愛対象。

だから可哀想だけど今の葵唯あおいは恋愛対象外なの。

葵唯あおいには悪いけど」


 私はその証拠をお願いした。

「残念だけど、その証拠はないわ。

彼(女)、写真嫌いで写真を撮ったことすらないの。

隠し撮りで写真を撮ったこともあるけどそれもなぜかすぐにバレて彼の目の前で消去させられたわ。

なぜ写真嫌いなのかは知らないけど。

でも、彼(女)の男時代は私の頭の中に残っている。

それに彼(女)は男時代、めちゃくちゃモテたんだから。

それもアイドル並みのルックスでファンクラブが出来るぐらいに。

なぜか彼(女)は自覚は無かったけど」


 その後、彼女は奇妙なことを言い始めた。 

「不思議なのはその日によって人格が違うっていうか。

告白されそうな日はいつもと様子が違うっていうか。

初めはなんかかっこつけているのかなとも思ったの。

でも、告白してくる女子は玉砕。

彼(女)は私と付き合う前は誰とも付き合ったことがないの。

その事を彼(女)に話すと彼(女)はキョトンとしていた。

「僕は君に告白されるまで女子に告白されたことは一度も無いんだけど」って。

そうそう、写真嫌いのことも彼(女)に聞いてみたら「そんなこと言ったっけ」ととぼけていた。

まるで日によって人格が変わる様な不思議な感覚。

聞けばチョコも一度ももらったことがないんだって。

いやいや、あんたがいっぱいチョコをもらっているところを目撃しているんだけど。

でも、彼(女)は真面目に否定していた。

まるで記憶にない様に」


 「そうそう、彼(女)のことをもっと知りたければお姉さんに聞いてみれば。

お姉さんの方がよっぽど彼(女)のことを知っているから」

と言って彼女の話は終わった。


 今度は先輩のお姉さんに聞いてみよう。

確か、先輩のお姉さんは生徒会長。

そして、私と同じチャイルズ。

ちょっと怖い感じがして話したことがないけど。

私は先輩よりもお姉さんの方がなぜか男っぽく感じる。

それが生徒会長が王子と言われる由縁か。

会うと決めた瞬間に私は身震いがした。




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