ガールズトーク
夏休みが終わりようやくに地上に戻った。
と言っても周りが女子ばかりの日常。
僕はこの状況に慣れることはない。
僕は性転換前はごくごく普通の男子高校生だった。
女子と口をきくのもはばかられるぐらいの。
まぁ、自慢ではないけど中3の時、彼女はいた。
しかも向こうから告ってきた。
彼女が出来たときはめちゃくちゃ嬉しかった。
でも色々とあって1年で自然消滅。
本当は高校生になっても付き合いたかったけどバレンタイン辺りから彼女の様子がよそよそしくなっていった。
高校入学辺りには連絡をしてもなしのつぶて。
その後性転換したりなんだかんだで気がつけば会わなくなっていた。
まぁ、こっちの事情でもあるけど。
そして今、僕は普通に女子高生として過ごしている。
女子校にいる自分はやはり居心地が悪い。
そんな僕の周りは弟子であり(元もいるけど)友達と称する5人がいつも集まっている。
そしてその5人はいつも僕の興味の無い女子特有の話題を僕の周りでしゃべっている。
もちろん、僕は黙って聞いてているだけ。
彼女たちの話題は僕にはちんぷんかんぷんだから。
別に彼女たちがうっとい(鬱陶しい)訳ではない。
でもいつも思うのだが僕の周りに集まる理由が分からない。
何せ僕は参加しないのだから。
でも彼女たちは僕の周りに集まってくる。
僕はその環境を是認しているだけだ。
でもたまに火の粉が降りかかることもある。
話題がたまに僕の話題になったりするから。
「そういえば師匠、信桜さんとはどうなったの?」
突然、そう聞かれ僕は答えられなかった。
さっきまでコスメやファッションの話をしていたから急な方向転換に僕はついて行けなかったのだ。
「ほら、1年の信桜さん、天巫と幼なじみの」
いきなり、なぜそんな話になったのかと呆然としていると
「師匠、あの娘好きなんでしょう。
電波の私には嘘は通用しませんよ」
と送愛は言った。
芸林 送愛、彼女は雷の能力。
そして能力の副作用としてあらゆる電波を無差別に受信してしまうのだそう。
いわば彼女は情報の海に漂っている状態。
そしてその中で情報の選別する能力を身につけたのだそう。
そしてそういった過程で嘘を見抜く能力も身につけた。
まぁ、全部彼女の言い分だけど。
「でも嘘を見抜く能力が無くっても師匠はバレバレですけどね。
だって、師匠ってすぐ顔に出るもん。
嘘のつけない性格だってすぐ分かりますもん」
僕は自分がポーカーフェイスだと思っていたがそんなだったとは初耳だ。
僕は正直に
「確かに好きだけど別に何もないよ。
合同修行の時にたまに会うけど話したりすることもないし。
話すって言っても挨拶程度かな」
天巫は
「(信桜)雨音は私といる時間が長いかな。
会えなかった時間が長かったからそれを埋める様に過ごしているわ。
でも師匠、勘違いしないで下さいね。
私は雨音に恋愛感情はないから。
それは雨音も同じ。
私たちは大切な友達同士。
それ以上でもそれ以下でもないから。
大体、私は師匠と違って男性が恋愛対象だから」
僕は黙って聞いていた。
別に天巫と雨音の中をどうこうするなんて事は考えてもいない。
天巫は
「そうだ、私が師匠と雨音の仲を取り持ってあげる。
そうでもしなければ師匠と雨音が仲良くなるなんてあり得ないもの。
それに私たちの仲直りのきっかけを作ってくれたし。
そうだ、そうしましょう」
僕は天巫の勢いに呆気を取られていた。
天巫は
「雨音の好きなものや趣味嗜好なんかは全部知っているわ。
師匠を全面的にサポートするから」
どうやら僕は信桜さんと付き合うことが決定事項の様だ。
まぁ、僕にとっては嬉しいことだけど。
天巫は
「でも、それには問題があるの。
彼女は男性が恋愛対象だから。
でも、問題ないか。
師匠は元男子だし、今でも心は男子だって言い張っているし」
問題ないのか?
と僕は思ってしまったがあんまり難しいことは考えない様にしている。
「でも、師匠は学校では姫って呼ばれているけど大丈夫?」
って誰かが聞いてきた。
ていうかいつの間にかクラス全員が僕らの話に参加している。
確かに僕は「姫」と呼ばれているのには納得できない。
それについてなぜなのか聞いてみた。
海城さんは
「私が代表して答えるわね。
師匠は見た目完璧女子なんです。
それも男子が想像するそのものなんです。
そんな女子この世に存在するわけがありません。
それは師匠が女子校に入学してからいたく身に沁みていると思います。
でもそれを無意識に師匠は体現しているのです。
師匠はここに入学するまでに色々と苦労したようですが。
そんな完璧女子は女子に好かれるか嫌われるかどちらかです。
両極端なんです。
たいていの完璧女子は男子に媚びている風に見られ嫌われます。
でも師匠は絶対に男子に媚びることはないので嫌われ要素はゼロ。
双子で生徒会長でもあるお姉さんは師匠が入学する前から王子と呼ばれていたそうです。
だから対となる師匠は姫と呼ばれているのです」
僕はこの説明には納得いかないが一応は納得して見せた。
「信桜さんはとにかくかっこいい男の子がタイプ。
性別以外は多分師匠は好みのタイプだから頑張って!!」
いつの間にかクラス全員に励まされていた。
そしていつの間にか授業時間に入っていたが誰も気づいていない。
ていうか先生も一緒になって聞いていた。
当然、授業の一つは潰れた。
そしてそのせいで放課後強制的に補習をさせられた。
誰1人僕に文句を言わなかったのがせめてもの救い。
ていうかこれって僕が悪いのかなと思いつつ補習を受けた。




