コピー
(前回の続きです)
それから1ヶ月ぐらい経っただろうか。
僕はしゃべり方を取り戻した。
その時の僕はまだ頭の中に出てくる女言葉を男言葉に変換してだがやっと本来のしゃべり方を取り戻した。
どうやって取り戻したかというと少年漫画を読みまくったのだ。
少女漫画のせいでしゃべり方がおかしくなったのなら少年か漫画を読むまでだ。
安直な考えだが。
それでも最初は大変だった。
それは無意識下の少女教育の賜物なのだろうが。
どうしても女子目線で見てしまう。
それでも何十冊も読むうちにその考えが消えていった。
そして初めて男言葉を喋れたときには涙が出てきた。
本来の自分を取り戻せた様で。
といっても体が元の体になったわけではない。
僕は女子としての生活を強いられた。
拉致されたと言っても生活は快適だった。
時々、なぜ僕がそこにいなければならないのか疑問を持つほどに。
同級生だった女子高生5人は僕の身の回りの世話をしてくれている。
だから僕はほとんどやることがない。
5人は僕のことを「お嬢様」と呼ぶ。
最初は本当に嫌だったけど慣れって本当に怖いもので最近では何も思わなくなっていた。
やることと言ったら本を読むこと。
それもひたすらに。
最初は1日に10冊読むのがせいぜいだった。
今では1日に数十冊は読める様になってきている。
今の状況になって分かったことだがどうやら僕には速読の才能がある様だ。
しかもかなりレベルが高い。
「あなたの才能はそんなものじゃないのよ」
と5人組の誰かが言っていた。
僕はこのとき、その本当の意味を知らなかった。
だから軽く受け流した。
それから何日か経ったある日、僕は武道場に呼ばれた。
武道場には例の5人組が道着に着替えて立っていた。
火脚さんが
「これから私がこの5人を代表して挨拶をします。
お嬢様(僕)は私たち5人が何者かを知らないと思います。
ちらっとは話しましたけど。
私たちは能力者です。
それぞれ種類は違いますが。
今からお嬢様には私たちの本気の演舞を見てもらいます。
私たちは実は今の状況をよく分かっていません。
上からの命令を一つづつ熟している状態なんです。
今回も100パーセント本気の演舞をお嬢様に見せろとの命令なんです。
これが何を意味するのか分かりません。
お嬢様は能力について素人とのこと。
どうかビックリなさらないでください」
と言うと彼女は演舞を始めた。
火脚さんは両手に炎のボールらしきものを持っている。
僕はすぐにその炎が本物だと分かった。
彼女はそれを素手で持っている。
そしてその炎は刻々を変化をし大きく吹き荒れていた。
正直、とても熱い。
火脚さんは顔色一つ、汗一つ書かずに演舞をしていた。
そして一通り終えると「次は私ね」と冬室さんが立ち上がった。
冬室さんは何も持っていなかった。
そして道場の中心に立つと次々と氷の柱が立った。
それも一瞬で。
彼女はそれを次々と素手で壊しまくった。
そして足でも。
それは可憐な動きだった。
次々と出る氷柱を一瞬で壊しまくる。
言い方はあれかも知れないがモグラ叩きの様だった。
そしてよく見ると何も付けていなかった手足が白くなっていた。
まるで氷の防具を着けているみたいに。
波津さんは自らを水で覆う大技を見せてくれた。
そしてその姿での蹴りや突き。
まるでウォーターカッターの様だった。
時間が経つにつれ彼女が身に纏っていた水の量が増えその度に威力も増していた。
威力は離れていた僕でさえすさまじいものを感じた。
金時さんは電撃の様なものだろうか。
道場の真ん中に着く前に既に電流みたいなものが見えていた。
そして真ん中に着くとその電流の様なもの一気に増えた。
電流の束が一つの塊のようにも見える。
彼女の突きや蹴りもすさまじいものだ。
最後に吹原さん。
彼女は静かに立った。
彼女は僕の隣で風を纏った。
そして空中に浮きながら進み真ん中に立った。
真ん中に着いたと同時に風の勢いは増していった。
それはものすごい風力だ。
彼女はその中心で演舞をする。
演舞していくうちに風の力も増していた。
僕はこのように5人の凄い演舞を目の当たりにした。
普通だったら唖然とし何も入らないだろうが不思議と驚きはなかった。
金時さんは
「上からはただ見せるだけで良いって言われたけどあなたはどういう感じなの?」
と聞かれた。
僕は何も言えなかった。
正直ただただ凄いだけだ。
感想はそれ以外にない。
正直、こんな凄いも飲みせられて戸惑っているぐらいだ。
波津さんは
「それじゃぁ、あなたも何か演舞してみなさい。
私たちの見よう見まねで良いから」
そう言われ僕は道場の真ん中に立った。
「えっと、こんな感じだったっけ」
と僕はなんとなく呟いた。
そうしたら一瞬で僕の右手から炎が上がった。
「うわっ!!」
と僕は思いっきりのけぞった。
でも不思議と熱くはなかった。
僕は落ち着き集中して自分が出した炎を小さくして消した。
五人組は呆気にとられていた。
火脚さんは
「一発で炎が出せる奴、初めて見た」
と驚いていた。
それから僕は5人がやっていた技を次々と披露した。
僕はなぜか出来る様な気がしたし、事実出来てしまった。
全ての技を披露しきったときに吹原さんが僕に近づいてきた。
彼女は喋れないのでスケッチブックでの会話になる。
吹原さんは
「正直、驚いたわ。
でも上の人が言っていたことは本当だった。
あなたはコピー能力があるらしいの。
それも技を盗むレベルではなく人格ごとコピーできる能力。
まだその域ではないけれど。
ちなみにあなたの速読もそれに付随した能力。
冗談じゃなくコピー能力が開花した今、本を1日で100冊単位で読める様になるわ。
そしてそれを記憶できる完全記憶能力もあなたは持っているの。
そして今は発動していないけれど完全防御能力も。
早ければ明日にでも発動するわ。
苦労するだろうけれど頑張ってね」
いきなりチート能力をいくつも持っていると言われても僕はピンとこなかった。
そして次の日に発動した完全防御能力に僕は苦しめられることになる。




