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刷り込み

(前回の続きです)

 「なんじゃぁ、こりゃぁ」

と叫んだ僕は女の子になっていた。


  そして僕は気を失った。

気を失う前に僕を女の子にした同級生たちは何かしら説明らしきことを言っていたが僕の耳には届かなかった。

あまりにもショックで周りのことが分からなくなっていたから。

そのショックで僕は気を失ったのだと思っていたが実はそうではなかった。


  「お嬢様、起きてください、朝ですよ」

僕はその声で目を覚ました。

寝ぼけまなこでふと周りを見渡すと僕はとんでもないところでねていたことが分かった。

「何これ、一体どうなっているの?

一体、ここはどこなの?」

僕は思わず声を発していた。


 どう見ても僕は女の子の部屋で寝ていたからだ。

僕の部屋ではない。

この部屋にはカワイイぬいぐるみやらファンシーなもので溢れている。

僕の部屋であろうはずがなかった。


 「ちっ、目覚めちゃったか。

サービス期間はもう終わりなのか」

メイドらしき誰かが言っていた。

僕は

「これはどういうことなの?

ここはどう見ても私の部屋ではなさそうだけど」


 「!?」

なんかしゃべり方がおかしい。

ようやく僕は気づいた。

しゃべり言葉が女言葉になっていたことから。

そしてもう1つ気づいたことがある。

それは僕が女の子の姿になっていること。

さっき誰かが「お嬢様」と僕を呼んでいたわけだ。

それに僕が女の子になったのは夢ではなく現実だと改めて認識した。


 僕は改めてメイド姿になった元同級生の5人に質問した。

「これは一体どういうことなの?

改めて説明してくれるかしら」

僕はどうもこのしゃべり方に違和感を持った。

何せ頭に浮かんだ言葉が勝手に女言葉に変換される。

でも今はそれに構ってられない。

とにかく誰かこの状況を説明して欲しいから。


 メイドの1人、冬室ふゆむろさんだっけが答えてくれた。

「まず、あなたは性転換いたしました。

性転換って言ってもあなたは元の性に戻っただけ。

つまり、あなたは最初から女の子だったのです。

自覚は無いでしょうけど」

僕は彼女の言葉に混乱した。


 「あなたは元の性に戻った後に気を失ったのです。

でも完全に気を失ったわけではありません。

自我を失ったと言いますか。

あなたは覚えてないでしょうけどこの1ヶ月ちゃんと生活はしていたのですよ。

女の子として。

そしてあなたは今、自我を取り戻したのです」


 え、ちょっと話を整理してみるとしよう。

この一ヶ月間、僕は無意識下で生活をしていた様だ。

そして目覚めたのが気絶してから1ヶ月後という訳か。

ちょっと話が見えない。


 僕が戸惑っていると波津はづさんがさらに補足し始めた。

「私たち5人はあなたが目覚めるまでの一ヶ月間、指をくわえて待っていたわけじゃないの。

あなたは今まで男子として育てられた。

それを根底から否定するために女子の常識をとことん詰め込んだわ。

女子として生活に困らない様に基礎的なことからアダルトなことまで。

女性心理を教えるのはかなり苦労したわ。

でもそれには少女漫画が一番と言うことに行き着いたの。

だから1日100冊を目標に今人気の少女漫画を読ませたわ。

とにかくあなたが自分が女子だと言うことをこれでもかと教えたの。

本当に大変だったわ」


 どうやら僕は無意識下で女子としてのスパルタ教育を受けていた様だ。

恐らく僕のしゃべり方もその賜物なのだろう。

おかげで僕が男だったときの記憶がうまく思い出せないはずだ。

でもおぼろげながら覚えている。

これから自分を取り戻すためにかなり苦労するのだろう。

それにしても何で僕はこんな目に遭わなければならないのだろうか。

僕はそれを聞いてみた。


 火脚ひあしさんは

「私は反対だったんだよ。

どこかの姫様を育てている様でさ。

でも自我を取り戻して良かったよ。

あんたが経験した一ヶ月間は詳しく言うと刷り込みモードって言うらしい。

卵から生まれた鳥が目の前の鳥を親と思い込む現象と似ていてあんたの場合は元の性別に戻ったときに目の前の人たちに従う風に最初から設定されていたらしい。

あんたが男の子として育てる事になったときにそういう呪いが付けられていたらしいから」

 

 吹原ふきはらさんは

「それじゃぁ、説明になってないじゃないの。

私がちゃんと説明しますね。

私たち5人は実は能力者なんです。

超能力者と申しましょうか。

ちなみに私の能力は「風」です。

一般で言う超能力とは違いますが。

私たちの能力は戦闘に特化したもの。

なぜか女子にしか授からない能力。

あなたは生まれたときから能力が高すぎたらしいの。

でも生まれたときはあまりにも無防備。

簡単に殺されてしまいます。

だから能力と見合う体力が付くまであなたは男子として育てられたの。

でも計算では高校生になるまでには性転換している予定だったんだけど思いのほか時間がかかってしまったの。

本部の指示で短い間だけど男子高校生として見守ってあげてとのこと。

だから私たちはあなたを監視するためあなたの高校に入学した。

そして機が熟して今こういう状況になったの」


  金時かねときさんは

「ちなみにあなたを拉致したのも今、こういう状況におかれているのも国は黙認しているから。

私たち能力者のことも秘匿されていること。

私たちはそういう存在だから。

私たちは国を守る義務がある。

私たちは専守防衛の要なの。

それは私たちも納得していること。

そしてそれが私たちの使命なのだから」


 僕は彼女たちの話を聞いて一応は納得した。

到底納得できることではないけど。

そして気になったのが何もしゃべらなかった吹原さん

スケッチブックに彼女たちの言葉を一言一句漏らさず字幕の様なことをしていた。

ていうかお願いだからなんかしゃべってよ。

僕は彼女の声を一度も聞いたことがないのだから。


 まぁ、それはどうでもいいことだが取りあえずはしゃべり方を元に戻さなくてはいけないなと僕は心に誓った。






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