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共学

 (前回の続きです)


 僕は仕方なく彼女たちに自分の過去の話をし始めた。


  「君たちは興味が無いかも知れないが僕が男子高校生だったときの話をしなければならない」

彼女たちは一様に驚いていた。

僕が男子高校生だったときがあったなんて信じられないよう

取りあえず僕はそれを無視して話を続けた。


 「僕が通っていた高校は普通の進学校だったと思う。

これでも僕は一生懸命勉強したんだから。

当たり前だけど4月に入学して男友達が出来て。

当時僕は男子だったから当たり前だけど。


 授業だって普通に受けていた。

ちゃんとノートを取って授業を受けていたし、体育の授業だって普通に出ていた。

ちなみに当時の運動神経は男子として中の下。

自分としての感覚はそんなに悪くは無かったしかといってずば抜けていたわけでもない。

普通より少ししたぐらいかなと思っていた。


 入学してから1週間、ある異変に気づいた。


 あ、その前に話しておかなければいけないことがあったっけ。

それはある女子のグループだ。

僕のクラスには飛び抜けてカワイイ5人の女子生徒がいた。

男子はみんなその女の子たちの虜だったんだ。

僕も友達と一緒に誰が一番好みかって話し合ったっけ」


 僕は続けて

「僕ら男子はその5人の女子の話を毎日していた。

ていうか、その5人はクラスのアイドルでもあった。

当然、女子にも人気があったし嫌いなクラスメートはいなかったと思う。

その5人の名前は

運動神経抜群の火脚ひあしさん、

いつもお淑やかな冬室ふゆむろさん、

誰とでも友達になれるフランクな波津はづさん、

いつも怒っているのになぜか人気があるツンデレの金時かねときさん、

無口で誰も声を聞いた事が無くいつも微笑んでいるスマイルの吹原ふきはらさん、

以上の5人だ。

僕はこの5人に翻弄されることになるんだけど。


 ある日、ふと気がついたんだ。

彼女たちの視線に。

友達に言うと意識過剰だってからかわれた。

でもそれはそうではなかった。

授業の時はもちろん、体育の時だってわざわざ1人が休んで僕をじっと見ている。

その事は僕以外誰も気づいていなかった。

僕は次第に彼女たちの視線を避ける様になっていた。


 休み時間も段々と彼女たちの視線を避けるために1人で過ごす様になっていた。

そしてどんどんと友達が去って行き僕はぼっちに転落していった。

好きでぼっちになったわけじゃないのに1ヶ月も経たないうちにそういう状態に追い込まれてしまった。

もちろん僕だって為すがままにそうなったんじゃない。

彼女たちにも抗議をしたさ。

でも、彼女たちが僕を見続けているくせにこっちから話そうとすると逃げてしまう。

僕が今でもも忘れられないのが

5人のうちの1人に話しかけようとしたとき

「今はその機ではない。

君には悪いと思っているがこれは仕方の無いことなの」

と言われたことだ。

僕はその意味を当時分からなかった。

今は理解しているけど。

結局彼女たちと会話をしたのはその一回きり。

しかも僕と口をきいた彼女は仲間にめちゃくちゃ怒られていた。

それも可愛そうなぐらいに。

そんなに僕と口をきいたら行けないのかとその時無性に腹が立った。


 でも、彼女たちにいじめられていたわけではない。

普通に日常的なやりとりはしていたし僕を監視していた事以外は普通の女子高生。

大体、僕はその時、異性と会話をすることはない思春期まっただ中の男子高校生。

彼女たち以外の女子生徒ともほとんど会話をしたことがない普通の男子高校生だった。

つまり、彼女たちに監視されていることを除けばごく普通の高校生活だった。


 そんなある日、4月も終わりそうなときだったと思う。

僕はいつも通り、登校していた。

でもその日はいつもと違っていた。

まず、どこ行っても彼女たちの監視がなかったことだ。

僕はそれに慣れつつあったからかえって新鮮だった。

そして、その彼女たち5人がそろいもそろって午後の授業を欠席したのだ。

これにはクラス中がどよめいていた。

何せ、僕たちの日常の中心には彼女たちがいたから。


 僕にとってはこの日が特別な日だった。

何せ監視がないどころか彼女たちがいない。

僕はのびのびとその日1日を過ごした。


 そして、家に帰るととんでもないことが起こった。

「お帰りなさいませ」

と今日早退したはずの5人が家の中にいたからだ。

僕は思わず自分の家の表札を確かめた。

間違いなく僕の家だった。

家に戻るとなぜか彼女たちは言い合いをしていた。

そんな彼女たちに僕はなぜここにいるのか聞いてみた。

なんか訳の分からないことを言っていたっけ。

しかも最後には笑顔で「あなたを拉致しに来ました」って言われた。

しかも親の許可は得ているとか、僕に拒否権はないとか眩しいぐらいの笑顔で言われた。


 僕が呆気にとられていると

1人の女の子が「そこから動かないでくださいね」と言ってきた。

そしてその中でもリーダーらしき1人が

「これ、私が読むの?

昨日一応練習したけどさ。

訳の分からない言葉の羅列。

一回も上手く読めたためしがないのだけど」

と文句を言いながらたどたどしく呪文らしきもの(恐らく呪文で間違いないと思うが)を唱え始めた。

その呪文を唱えている最中、なぜか金縛りみたいな症状が出た。

立っていながら指一本も動かせない状態だ。

足下を見ると魔方陣みたいなものが浮かんでいた。

そして僕は足下から出現した変な光に徐々に包まれていく。

そして、その光が消えたとき、僕は思わず叫んだ。

「なんじゃぁ、こりゃぁ」


 金縛りが解けた僕は女の子になっていた。




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