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旅館

 (今回の話は前回少しだけ紹介した旅館での出来事の話です)


 僕は生まれて初めての海水浴を楽しんだ。

もちろん、女子として初めてだという意味だ。

男子だった頃には何回も数え切れないほど言っている。


 しかし、水着には慣れない。

そりゃぁ、学校の制服には慣れたけどそれとこれとは別だ。

特に慣れるのに時間がかかったのはスカート。

でも今では気にしなくなっている。

何せ休日には気がつけばワンピースを着ているぐらい。

別に気に入っているわけではない。

僕だって最初はワンピースには抵抗があった。

でも慣れてみるとこれほど楽な服はない。

語弊があるかも知れないが。

今日だって、水着になる前は水色のワンピを着ていた。

それを着ている僕に友達は不思議がっていた。

僕が女の子っぽい格好をしているのがよほど不思議らしい。

僕だってこの1年間、鍛えらたのだ。


 余談だが、女子の世界にもエロ本がある。

もちろん、女性向けのエロ本のことだ。

僕が初めてその存在を知ったときはかなりショックだった。

そして、その中身を見たときにかなり衝撃を受けた。

詳しい内容は言えないが男子のそれに比べてもかなり過激な内容。

僕はしばらくそれがトラウマになり今でも男性恐怖症気味だ。

元男子なのに。

そもそも僕の恋愛対象は女性だから。


  そんなことを考えながら僕たち6人は旅館をチェックインした。

僕たち6人が泊まった旅館は能力者専門の旅館。

ちなみに行った海もこの旅館も学校指定の場所だ。

部屋に入ったとき旅館の女将さんらしき人が見えて

「ここは特別な旅館です。

まずは注意事項です。

ここは能力者専門なのですができるだけここの敷地内では能力を発動しないでください。

従業員の多くは一般の人でお客さまが能力者であることを知りません。

何卒お願いします。

それとここは男子禁制の旅館。

従業員も含めて女性しかいませんのでご安心ください」


 僕はそれを聞いて思わずうつむいてしまった。

何せ体は女子でも心は男だから。

そんな僕を見ては豊深とよみ

葵唯あおいちゃんは立派な女の子です。

誰にも恥じることはありません。

もっと堂々としてもらって良いぐらいです」

と謎の励ましをもらった。

正直それを聞いて余計複雑な気分になった。


 僕は気分を切り替えて

「そういえばここは天然温泉なんだって。

良かったら入ってきなよ」

と彼女たちに言った。

送愛そうあ

葵唯あおいちゃんも一緒に入ろう!!」

と誘ってきた。

僕は

「いいよ、ここの内風呂で済ますから」

と答えた。

忍葉しのは

「まだ慣れないのですか?

女子の体に。

言っておきますけど私たちはあなたと同じものしか付いていません。

あなたも男子じゃないのですから堂々と入れば良いのです。

事実、寮では一緒に入っているじゃないですか」


 僕は彼女たちの説得に根負けし一緒に入ることになった。

でも僕は彼女たちの裸を未だに直視することが出来ない。

それにここは彼女たち以外にも入ってくる。

正直、心が男子の僕には罪悪感もある。

そう思いながら僕は彼女たちと温泉に入った。

彼女たちは温泉が気持ちよかったと感想を言っていた。

しかし、僕は羞恥心や罪悪感が心の中の大半を占めそれどころではなかった。


 温泉を入った後、

誰かが

「温泉と言えば卓球でしょう」

とはしゃいでいた。

当然僕も誘われたが

「僕は卓球が出来ないんだ。

絶対防御の副作用でね。

僕にはあらゆる攻撃が効かない。

その反対に物理的攻撃も出来ないんだ。

だから、体育の授業で球技や格闘技は見学してるだろう。

わかりやすく言うと僕はピンポン球をラケットに当てることが出来ないんだ」

と言うと僕はピンポン球をラケットの上に落とした。

そしてそれはラケットをすり抜け床に落ちてしまった。

「僕が触ると触れたものまで絶対防御が作動してしまう。

その代わり得点係を申し出るよ」

その後1、2時間めいいっぱい卓球をやった。


 そして部屋に戻ると友達らは僕を差し置き色々としゃべっていた。

いわゆるガールズトークって奴。

僕には未だに理解不能な分野だ。

内容は最近の流行のファッションや男性アイドルの話。

化粧品の話なんかもしてたっけ。

僕は彼女たちの話し声をBGMにし、暇つぶしにテレビを見ていた。

これでも僕はテレビっ子だからそれなりに楽しんで。


 しばらくすると彼女たちの興味は僕になっていた。

送愛そうあ

「ねぇ、話聞いてる?

さっきから私たち話しかけてるんだけど」

当然、僕は聞いていなかった。

でも、僕は完全記憶能力者。

聞いていなくても頭の中でいつでも再生できる。

全く厄介な能力だ。

その力で僕は即、内容を察した。


 ちなみにこの能力は性転換した時に身についた能力。

おかげで授業中はノートを取らずに授業に集中することが出来る。


 話を戻すとどうやら彼女たちの関心は僕が性転換する前にあるみたいだ。

僕は

「決して面白い話ではないよ。

少女漫画みたいにキラキラしてないし。

それに僕は女子にモテたことのない下層男子。

彼女がいたのも中学最後の1年間だけ。

それでも聞きたいのなら話すけど」

天巫あみ

「どちらかというと葵唯あおいちゃんの男時代には興味が無いです。

それよりもなぜ性転換をしたのか。

そして言葉遣いはともかくなぜ完璧な女の子になれたのかをお聞きしたです」

僕が完璧な女の子だというのは初耳だしそんな自覚は無いけど。

そう戸惑っていると送愛そうあ

「あえて言いますけど師匠は今や全校憧れの的なのです。

男っぽい生徒会長とうり二つでありながら清楚だと評判な師匠。

ファンクラブも会長派と師匠派とあります。

今や師匠は我が校のアイドルなのです」


 僕はそれを聞かされて正直戸惑った。

一体どこがどうなってそうなっているのか。

僕は思考がフリーズしてしまった。

そして、ちょっと一息入れた後、僕は

「話せるのは僕が性転換してから今の学校に入るまでの経緯いきさつ

あんまり上手く話せないかも知れないけどそれでいいんなら」


 彼女たちは興味津々に頷いた。

しょうがなく僕は話し始めた。



 




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