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地理教師

 (今回のお話は波津はづ 流海るみの視点でお送りします)


 私は旅が好きだ。

それも国内ではなく海外が良い。

母国語以外の言語を話す人たちに囲まれるのがとても好きだ。

かといって私自身母国語以外喋れるわけでは無いけど。

旅自体は身振り手振りを使えばなんとかなる。

最近では翻訳アプリなるものまである。

とにかく旅は勝手気ままにできて良い。


 あ、自己紹介するの忘れました。

わたしの名前は波津はづ 流海るみ

一応、教師をやっています。

うちの学校は優秀なようでとても良い。

何せ私みたいな人間が教師としてやっていけるのだから。


 一応、教科は地理を担当している。

私はその中でも世界地理が得意だ。

実際に見聞きしてきたことを話せるから。


 私が担当しているクラスはレベルがものすごく高い。

何せ1年生で高校の履修範囲全てを終えるから。

私が今担当している2年生のクラスでは大学レベルの地理を教える事になる。

だから授業の準備から大変なのだ。


 私の授業の仕方は少し変わっていると言われている。

でも私はこのスタイルを変えるつもりは無い。


 私の授業は教科書を使わない。

最初は黒板さえも使わなかったから生徒から苦情がいっぱい来た。

今では仕方なく使っているけど。

その使い方もかなり適当。

でも生徒が優秀だからなんとか授業は成り立っている。


 私の授業の特徴はほぼ私の体験談。

実は自慢なのだが私は世界のほとんどの国に行っている。

ほとんどというか全てだ。

だから授業は私の体験談だけで済むのだ。


 でも言っておくがただ単におしゃべりをしているわけではない。

その中ではちゃんと教えるべき所を押さえてしゃべっている。

だから試験時期になって一応ある教科書を見直すと生徒みんなが一様に驚く。

何せ適当にしゃべっているようにしか見えないから。

自慢話を話しているわけではない。

ちゃんとやるべき事はやっている。


 さて、みなさんが気にしているのは私の能力のことだろう。

この学校でしかも能力者たちを教えているのだから何らかの能力者だと感づいておられる方もいるだろう。

あ、言い忘れていましたっけ。

私が能力者たちに授業をしていると言うことを

私が受け持っているクラスは全員ではありませんが半分は能力者たちです。

そしてもう半分は能力者ではありませんが頭脳明晰な天才な生徒たち。

つまり、私のクラスの生徒たちは特殊な人たちの集まりです。

教える側も全員ではありませんが能力者なのも納得です。


 しかも去年は水曜日担任というよく分からない役職でした。

今年はその任も解けて楽にやっています。


 私のこの学校における仕事は主に2つ。

1つはさっきも言ったけど教師的役割。

もう1つはこの学校における能力者的役割。

一応、この私にも弟子がいる。

何て言うかどこかのお嬢様みたいな女の子だ。


 私はこの女の子が苦手だ。

何て言うか熱を持っているというかやる気がみなぎっているというか。

私が修行指導をしているといつも突然に怒り出す。

「もっとやる気を出してください」とか「真面目にやってください」とか。

とにかく面倒くさい。

それに馬も合わない。

「先生には覇気が足りない」とか余計なお世話だ。


 そしてその修行が終わると私の修行が始まる。

それもついこの間まで私の弟子だった相手からだ。

私に教わっていた奴がほんの少しの時間で逆転することになるとは本当に腹が立つ。

って言ってもそれはごく最初の頃の感情。

次第にその怒りは小さくなり今では怒るのさえ面倒くさいと思うようになった。


 その生意気な元弟子は本当に器用な奴だ。

どのぐらい器用かというと授業中はノートを取らない。

瞬間記憶能力とか言う奴で聞くと私の授業内容は一言一句全て覚えているらしい。

だから授業中はノートを取らずに私を授業中ずっと凝視している。

ちょっと怖いぐらいに。

そういえば他の授業でもそうしているとも言っていたっけ。


 そして授業後は私の修行相手。

ちなみに私の能力は水だ。

一番最初にプールの水を自分の能力だけで満杯にしろと言われたときは面食らったっけ。

今では十八番芸で自分の弟子にもそれを練習させたりもした。


 あと、私の十八番芸はもう1つあって、余談だけどね。

湖の女神の真似ができるのだ。

詳しく言うと水の中に潜りそして水面から顔を出す。

それだけなら誰でもできるけど私は体に一滴の水滴をも付けずにその事ができる。

能力のおかげでね。

旅先でお金がなくなったときよくこの芸をやっていたっけ。


 でも驚いたのは元弟子でもある師匠はその芸を1回見ただけで簡単に真似をすることができた。

しかも

「なんだ、思ったより簡単なんだね」

と言う言葉を添えて。

ちょっとムカついた。

思えばあの頃から私と師匠の立場が逆転し始めていた。

何せ無能力の状態から1ヶ月で私たちの能力を超えたのだから。

今では逆に教わる立場に。

私たちは彼女の踏み台にされたような気分だ。

まぁ、本人には自覚が無いけど。


 私の元弟子で師匠でもある遠山とおやま 葵唯あおいはとにかくチートだ。

一回教えたことはすぐ覚える。

それどころか私たちからすると1日で何年分にも相当する修行量をいとも簡単にこなしているようだ。

機能の彼女と今日の彼女とでは全く能力が違うと言うこと。

彼女自身が段々強くなっているのは肌で分かる。

私は彼女に自分自身どういった修行をしているのか聞いてみた。

1つはチャイルズ特有の修行とのこと。

そしてもう1つは彼女自身の能力を使ってのチートな修行だとのこと。

詳しい内容は教えてもらえなかったがさぞかし私の考える範囲を逸脱している事だろう。

彼女の修行内容は興味はあるがやりたいとは思えない。

面倒くさがりの私には到底できないこと。

ただ気がかりなのは日に日に彼女の女子力(カワイさ力)が下がっていること。

素質は良いのだからもったいないといつも思っている。

黙っていれば美少女なんだから。




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